ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第587話 皇帝の苦労

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 一晩明けて、メギドの領主館の広場では、中隊長と冒険者たちが武器をふるっていた。

 どうやら休みをとってゆっくりするのではなく、いつもと変わらない一日として、朝の訓練を行っているようだ。俺もそれにならって、ストレッチを開始してレイリーに組み手の相手をしてもらった。

 レイリーと組み手をするのは、久しぶりだから何か変な感じはしたが、かなり充実した組み手になったと思う。それにしてもレイリーは強いな。

 俺と出会った時は、確かレベル一〇〇とかだった気がするのだが、魔物を倒して得られる経験値ではなく、訓練や模擬戦等で得た経験値が、計り知れない位高かったのだろう。

 レベル一〇〇と言っても、フレデリクの街の元団長はレベル一五〇とかだったのに、レイリーよりはるかに弱かったと思う。

 ステータスやスキルでは現れない、隠しパラメーター……何かゲームっぽい言い方だな。プレイヤースキル……もっとゲームっぽいな。まぁ経験ってことにしておこうか。

 そして、俺とレイリーの組手はいつの間にか、周りで訓練していた人たちが見入っており、終わると拍手をされてしまった。何やら見世物になった気分で、恥ずかしい。

 朝食を食べて出発の準備をしていると、レッドドラゴンを討伐してくれているメンバーが俺の所に来た。

「シュウ様! 今回私たちの出番は無いのでしょうか? 破壊工作などは、私たちにまかせていただいても、問題ないのですが」

「あっ! 七人には話して無かったね。君たちには違う事を頼みたいと思っているんだ。この街って今の所自給自足は出来ないよね、だから商人の護衛という事で、周りの街の兵士たちの囮になってほしいと思ってるんだ。

 ただ、危険が無いように隣街までや、通ってもらう道の周辺は掌握しているから、タブレットで敵の位置も確認できるし、盗賊として処理しちゃっていいからお願いできないかな?」

 俺がそう伝えると、控えめだったみんなの表情が、パァっと明るくなり、良い表情で全員がやる気にみなぎった返事を還してくれた。

「それで、商人の方はゼニスが後からきて手配してくれるから、そっちの指示に従ってくれ。他にも俺たち前線に行っている人間に、食料を届けてもらう役目も担ってもらうかもしれないから、それもお願いしたい。

 もしその時に街攻めがあれば、一緒に参加する事も問題ないから、活躍できる場は準備できるかもしれないよ」

 さらにやる気にみなぎった返事が返ってきた。この娘たちもワーカホリックにならないといいんだけどな。

 この世界の人間って、休むって事を基本しないから困るんだよな。街で休みを決めておかないと、俺が休みずらいんだよ! ただでさえニートみたいな生活になって、したいことをしている状態なんだから、お願いだから普段は休んでね。

 片付けも終わり出発することになった。三十人乗りの馬車は、さすがに大きすぎるので、ブラウニーの一人にメイドの嗜みの中へ入れておいてもらっている。

 入れた所で気付いたが、街中で馬車に乗ると危ないので、全部ブラウニーたちのメイドの嗜みの中へしまってもらってから、キッチン馬車の箱馬車だけ外に出している。今回キッチン馬車は、四台も準備している。

 シルキーたちからすると、俺のいる食卓に出す食事は手が抜けないので、移動中も調理したいという熱意に押されて、少し中身の違うキッチン馬車を三台作成し、今まであったキッチン馬車を改装している。

 今回向かう帝国の街の名前は、ダギアとラディッツというらしい。
 後者の街の名前を聞いた時は、噴き出してしまったがしょうがないだろう。あの有名なマンガで死んでよみがえると強くなる種族の人と、名前が一緒なんだから笑っちゃうのは仕方ないと思うんだ!

 門から出てバレルへ向かうために、馬車に乗り込み移動を開始する。昨日はレイリーが違う馬車に乗っていたが今日は、移動の間に話したいことがあるという事で、一緒の馬車に乗っている。

「今回の街攻めなのですが、違法行為に含まれませんか? そこらへんはどうなっていますか?」

「その辺は気にしなくていいよ。皇帝と話がついていて、向こうから頼まれたことだし、あっちの話では戦争準備をしているのがいけない。竜騎士がそのうち反乱容疑のかかった街を、俺に制圧してもらいそこの自治権を任せる、といった内容の書面が届くよ」

「では、一切の手加減をしなくていいんですか?」

「厳密に言うと、戦争ではなく反乱都市の制圧だから、関係ない人間を巻き込むのは、極力避けてほしいけどね」

「ふむ、全面的な戦争というニュアンスより、局地制圧戦に近い形ですかね?」

「多分その認識が一番近いと思う。って事は目標を決めた、潜入工作的な感じの方がいいのか?」

「それは冒険者にはつらい所だと思うので、街の前についたら野営地を作って、使者を出して皇帝からもらった書面を出してから、一日後に正面から攻めませんか?」

「レイリーにまかせるから、そこらへんは自由にしていいよ」

「了解しました。きちんと詳細が決まりましたら、報告に来ます」

 何かめんどくさい事になってるけど、レイリーに丸投げだ!

 バレルを素通りして、まず初めのターゲットになる街はダギア! 外周部という事もあり、防衛は得意だが戦力的には、そこまででもないと皇帝が。

 俺たちからすればどんな強靭な壁を作っても無駄だし、戦力差がどうにもならないくらいかけ離れているので、戦うなんて言う愚策はとらないでほしい。

 今からでも馬鹿どもに、戦争を吹っ掛けるのなんてやめろと言って、ぶん殴りたい気分だ……と小さな声でこぼしていた。

 部下が無能だと大変だな! 俺はグリエルとガリアを中心とした部下たちが有能だから、俺が適当でも問題ない! 他人任せだけど、俺はこれでいいはず!

 馬車で三日ほど進むと、今回のターゲットになっている、ダギアの街の城壁が見えてきた。
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