ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第608話 魔力欠乏

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 街の予定地も、一週間ほどで城壁付きの、立派な街の土台が完成した。今回は、バレルの街でやったことを思い出しながら、土木組のメンバーだけで作ってもらっている。

 その間俺たちは、何もしてなかったわけじゃない。俺と姉御組は土木組の相談役になり、他の妻たちは魔物の領域から建築資材を伐り出して、乾燥する魔法をかけて貯木場を作っていた。

 これはゼニスに頼まれて、建材を準備してほしいと言われていたので、分かれるいいタイミングだったので、皆には魔物の森から木を伐り出してもらっている。

 でも、岩塩の小山に向かう道の予定地には、手をいれないようにお願いをしていた。土木組のみんなの訓練だ、という事で残してもらっているのだ。俺たちも手伝うけど、みんなだけで出来るように指導していく予定だ。

 色々予定にないトラブルもあったが、特筆する事でもなく日常の一部として流されている。

「みんなだけで初めて自分たちで作った街にしては、問題もなさそうだね。新しく街を作る機会があるか分からないけど、俺たちが手伝わなくてもきちんとできそうだね。みんなよく頑張った。

 木材を切り出してくれていたみんなもありがとね、これでゼニスが後をやってきても、大丈夫だろう。明日からは森を切り開きながら、岩塩のある小山に向かって道を作るよ」

 街の予定地から岩塩のある場所までは、大体三十キロメートルはあるので、ニ日でたどり着く予定だ。中間地点の十五キロメートル付近に休憩所を作る予定だが、あまり使われる事は無いと思われる。

 道を作ったら、その上にレールを引くつもりだ。馬車よりはトロッコとか魔導列車に近い物の方が、効率がいいだろうとし、運搬に使うこの道は関係者以外が通る事は無いので、ディストピアの部外秘の技術を見えにくい位置に使う予定である。

 これはグリエルやゼニスから話を受けたので、そういう風に作る予定だ。

 予定では、トロッコの車輪の位置にクリエイトゴーレムで作った、補助動力を使う予定である。普通の馬で引いても、軽く引けるようにしている。

 岩塩の小山から街までは、緩やかな坂になっているので、岩塩を運んでくる時は、ブレーキを使いながら有人で降りてきて、空になったトロッコを運ぶ時に、馬を使う予定になっている。

 埋蔵量がどのくらいあるか分からないが、無駄に掘る事は無いように半受注制にする予定で、街にある程度の備蓄をして、売れた分だけ補充していくような形になる予定だ。

 一日目で進めたのは十キロメートル程だった。多少手伝ったとはいえ、初めての作業だったのだ、十分すぎるだろう。木を伐って、切り株を引っこ抜いて、整地して、壁を作るのだかなりの労力が必要だし、魔力だって消費するのだから、今はこの位が限界だろう。

 どの位魔力を使うか分かっていなかったが、土木組全員の魔力では、七キロメートルくらいが限界だろう。俺達が手伝ったから、+三キロメートル進めたと考えている。

 掘るだけより魔力操作は大変だし、作業時間的には川堀りの時と同じ、六時間程で魔力欠乏でグロッキーになってしまっていた。ちょっと無茶させすぎたとみんなで反省する。

 土木組だけで作業させるなら、魔力は常に半分は残して作業するように言っておかないとな。ここまで魔力を消費したのは、初めてだろうから注意するべきだったな。

 念のためにマナポーションも、しっかりと持たせておかないとな! 結構無茶させてるし、歳を考えると手厚くしておかないとな、高ランクのマナポーションを支給しないとな。

 俺が持ってるので今一番高いランクは、Bか。一般に出回っている物の中で、一番高いのがDランクだって話だし、たまに売りに出される高ランクなマナポーションは、ダンジョンの宝箱産って話だもんな。

 高ランクのポーションを作れる人はいるけど、Cランク以上はレシピが分からないため、生産ができないのだろうとゼニスと予想している。錬金術や製薬をしている人たちは、絶対にレシピを教えないから、作れなくても知っているという可能性もある。

 それって作れないと言っているようなもんなのに、どうなんだと思いたいが、作れない事より知らないと思われる方が屈辱で、日々試行錯誤しているとの事だった。

 一応文献は残っているのだが、解読できなくて作成に至っていない、というのが現実らしい。俺には自動翻訳のスキルがあるから、読めちゃうんだけどね。

 今までの勇者は、何で広めなかったんだろうな? ダンマスが広めないのは、自分に不利になるからだというのはわかるが……これ以上考えても仕方がないな。

 夕食の時間になり、ある程度体調が回復した土木組を見て安心した。初めての魔力欠乏を起こしたので、すぐに良くなるわけは無いよな。マナポーションを飲んだ所で良くなるわけではないので、明日は1日休養すると決めた。

 土木組は自分たちのせいだと気落ちしていたが、今回の事を予測できていなかった俺の落ち度だし、今までに魔力欠乏を経験させずに、育ててしまったことが問題だった。俺も何度も経験しているし、妻たちもみんな早い段階で経験している。

 魔力欠乏を一度も経験させずに、 
高レベルまで育ててしまい、魔力が多くなればなるほど慣れていないと苦しいという事が今回発覚したので、今度から魔法使いを育てる時は、しっかりと魔力欠乏を経験させるように決めた。土木組に謝り何とか許してもらった。

 休息日は土木組のみんなと一緒に遊び倒した。一番ビビったのは鬼ごっこに、土魔法の地形変化有で勝負が始まった事だ。広大な空き地があったので、範囲を決めて昼食後に少し休んでから、おやつ前までのニ時間程楽しんだ。

 壁を作ったり落とし穴を作ったり塞いだりと、色々工夫していたが、最後は慣れてきた俺が魔法をレジストというか、逆効果の魔法で打ち消して追いかけていた。さすがに人数が多かったので、全部を打ち消せるわけも無く、誰一人つかまえられなかったけどな。

 次の日もみんな元気だったので、ニ日をかけて岩塩の小山のある場所まで整地した。俺はそのニ日はトロッコを走らせるレールを、ひたすらクリエイトゴーレムで作っていた。

 鉄鉱石はDPで出しても大した消費ではないので、鉄鉱石からクリエイトゴーレムで純鉄を作り、炭素を純鉄の一パーセント準備して、少量のケイ素、マンガン、不純物リン、硫黄、銅などを、クリエイトゴーレムで炭素鋼に変えて、それをレールに整形していた。

 他にも色々候補があったのだが、炭素鋼が一番作りやすかったので炭素鋼になった。ちなみにレール一本がニ十メートルで作り、杭を打ちつける穴もあけてある。一番は屑魔石のGランクで魔核を作っても、自動修復が追いつくのがよかった。

 約三十キロメートルなので、三万メートルをニ十メートルで割ると一五〇〇本で、レールは左右で一本ずつ必要なので、三〇〇〇本は必要だ。

 余分に五〇〇本を作って、全部で四十キロメートル分準備した。ま純鉄や炭素鋼にする部分は、カエデやリンドも手伝ってくれていたので、俺は大半をレールを作る作業に費やしている。
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