757 / 2,518
第757話 腕が……
しおりを挟む
なりふり構わず階段に飛び込み、飛び降りるようにジャンプをしながら階段を下りていく。この時、階段の入口を見ながら飛び降りていたのだ。加速された意識の中で、足場を確認しながら飛び降りていたので、転がり落ちるという無様をさらす事はなかった。
それでも、加速された意識の中で行っていなければ無様をさらしていただろう。体勢を崩しながら、それほど早く移動していたのだ。
ベルゼブブは、すぐに追ってくる様子は無かった。でも気は抜けない。あのスピードなら気付いたら目の前にいてもおかしくない。ストッパーをかまえながら、高速で階段を降りる。
「「「「「ご主人様!」」」」」
妻たちは、俺の心配をしていたようで、みんな声をそろえて俺の事を呼んだ。シュリ、リリー、シャルロットの3人は、俺の心配をしているが、任された仕事をするために俺と階段の間に入り【フォートレス】を使い壁を作っていた。
「ダマ! 準備できてるか!」
ダマは、準備ができていると器用にジェスチャーをして、足元を見るように誘導した。そこには100本近い瓶が並んでいた。
俺が普段使いしているエリクサーより、高価な物が置いてあるようだ。こんな窮地に費用対効果なんて気にしてる場合じゃないもんな。それに隣には50本程、綾乃が作ったと思われるSランクの品質のマナポーションまで置かれていた。
品質が高くなれば高くなるほど、中毒の危険性は下がるので、綾乃の作ったSランクのマナポーションは、正直助かる。エリクサーに関しては、今のところ中毒の報告は受けていないが、ランクが低くても製造が難しいので、中毒にかかりにくいと考えている。
「んぐっんぐっんぐっ、ぷはぁ~。みんな、心配かけたね。一応、右腕も8割程切り落としたけど、完全に落とし切れなかったから、今頃どうなってるか分からない。それにしても魔力の消費が激しいな。回復した端から消費しちまってるよ。もし意識がなくなったらみんな頼む」
このセリフを言ったらめっちゃ怒られた。時間にしてマナポーション3本分。その間、不気味な事にベルゼブブは階段を降りてこなかった。この階に戻る事ができないのだろうか?
そこらへんはよくわからないが、ゆっくりできたのは助かった。意識が加速していたため、脳がかなり消耗していたようで頭痛がしていたのだ。物理的な物では無かったので、エリクサーも効果を発揮せず。精神が疲労したのだろう。少しでも休めたのは本当によかった。
「あのハエ野郎を倒しに行くか。みんな、サポートよろしく。シュリとアリス、最後は任せたよ」
俺は、戦闘という面で最も信頼している2人に、最後の止めについて任せた。俺は俺の仕事をする。可能な限り弱らせて、パスをつなぐことだ。
「さぁ、ラストバトルに行こうか!」
フラグっぽかったが、自分たちの勢いをつけるためにあえて、そういうセリフを言った。
階段を登っていく。ベルゼブブを残した部屋に到着する。そこには自分の右腕を食っているベルゼブブがいた。自分の肉を食べるハエの王。その意図を理解できずに混乱をしかけたが、俺はひらめきのようにそれを感じ、その行為が危険だと判断して、一気に加速する。
右手に聖拳をまとわせて、上段から叩きつけるように頭に振り下ろす。
食事に集中していても、俺の神歩からの一撃をしっかりとらえており、食事の手を一切やめずに、ハエを払うかのように鳩尾からはえている腕ではたき落された。そこで俺の攻撃が止まるわけもなく、はたき落された勢いすら利用して、胴回し回転蹴りの要領で顔面をとらえた。
聖拳をまとわせた重い蹴りは、ベルゼブブの食事を中断させるのには十分な威力で、食べていた自分の腕を落としていた。落としたといっても、俺の蹴りによって遠くに飛ばされ、妻たちによって回収されていた。
そのまま俺は立ち上がり、こちらを向いたベルゼブブの鳩尾に拳をうめる。腕たちが一番ガードをしにくい場所を全力で殴りつけたのだ。
ベルゼブブが吹っ飛ん……こいつ耐えやがった! 殴りつけた右腕を掴まれ、ベルゼブブが口へ運んだ。俺は今、自分の右腕を食われている。前腕の中ほどから腕を噛み切られた。非現実的な光景だが、止まれない! 俺の右腕を食っているベルゼブブの横っ面を、左手で殴りつけた。
ベルゼブブは殴られる瞬間に、俺の右腕を食べるのをやめ、左手に向かって口を開いていた。あっ俺の左腕も食われたか……ベルゼブブの口の中に俺の拳がすっぽり入り、口が閉じられた。
「そう簡単に、2本目の腕まで食わせてたまるか!」
残った魔力を左腕に集中させて強化を図る。ベルゼブブは俺の左腕を噛み切る事が出来ず、半分も歯をたてられなかった。俺はそのままの勢いでベルゼブブの喉に拳を押し込むように力を入れ、地面にたたきつけた。
俺は残った力を振り絞り、薄れてゆく意識の中で……
シュリがあのハンマーをすでに振りかぶっており、腹部を狙った攻撃はベルゼブブの最後の抵抗と言わんばかりに、鳩尾からはえた腕が受け止めるが、効果はなく斧のようなハンマーに潰され、上半身と下半身が分かれた。
残された上半身はまだ動いていたが、振りかぶったアリスの大剣で首を落とされ、落ちた頭を誰かが潰すのが見え……
俺の意識はここで途切れた。
それでも、加速された意識の中で行っていなければ無様をさらしていただろう。体勢を崩しながら、それほど早く移動していたのだ。
ベルゼブブは、すぐに追ってくる様子は無かった。でも気は抜けない。あのスピードなら気付いたら目の前にいてもおかしくない。ストッパーをかまえながら、高速で階段を降りる。
「「「「「ご主人様!」」」」」
妻たちは、俺の心配をしていたようで、みんな声をそろえて俺の事を呼んだ。シュリ、リリー、シャルロットの3人は、俺の心配をしているが、任された仕事をするために俺と階段の間に入り【フォートレス】を使い壁を作っていた。
「ダマ! 準備できてるか!」
ダマは、準備ができていると器用にジェスチャーをして、足元を見るように誘導した。そこには100本近い瓶が並んでいた。
俺が普段使いしているエリクサーより、高価な物が置いてあるようだ。こんな窮地に費用対効果なんて気にしてる場合じゃないもんな。それに隣には50本程、綾乃が作ったと思われるSランクの品質のマナポーションまで置かれていた。
品質が高くなれば高くなるほど、中毒の危険性は下がるので、綾乃の作ったSランクのマナポーションは、正直助かる。エリクサーに関しては、今のところ中毒の報告は受けていないが、ランクが低くても製造が難しいので、中毒にかかりにくいと考えている。
「んぐっんぐっんぐっ、ぷはぁ~。みんな、心配かけたね。一応、右腕も8割程切り落としたけど、完全に落とし切れなかったから、今頃どうなってるか分からない。それにしても魔力の消費が激しいな。回復した端から消費しちまってるよ。もし意識がなくなったらみんな頼む」
このセリフを言ったらめっちゃ怒られた。時間にしてマナポーション3本分。その間、不気味な事にベルゼブブは階段を降りてこなかった。この階に戻る事ができないのだろうか?
そこらへんはよくわからないが、ゆっくりできたのは助かった。意識が加速していたため、脳がかなり消耗していたようで頭痛がしていたのだ。物理的な物では無かったので、エリクサーも効果を発揮せず。精神が疲労したのだろう。少しでも休めたのは本当によかった。
「あのハエ野郎を倒しに行くか。みんな、サポートよろしく。シュリとアリス、最後は任せたよ」
俺は、戦闘という面で最も信頼している2人に、最後の止めについて任せた。俺は俺の仕事をする。可能な限り弱らせて、パスをつなぐことだ。
「さぁ、ラストバトルに行こうか!」
フラグっぽかったが、自分たちの勢いをつけるためにあえて、そういうセリフを言った。
階段を登っていく。ベルゼブブを残した部屋に到着する。そこには自分の右腕を食っているベルゼブブがいた。自分の肉を食べるハエの王。その意図を理解できずに混乱をしかけたが、俺はひらめきのようにそれを感じ、その行為が危険だと判断して、一気に加速する。
右手に聖拳をまとわせて、上段から叩きつけるように頭に振り下ろす。
食事に集中していても、俺の神歩からの一撃をしっかりとらえており、食事の手を一切やめずに、ハエを払うかのように鳩尾からはえている腕ではたき落された。そこで俺の攻撃が止まるわけもなく、はたき落された勢いすら利用して、胴回し回転蹴りの要領で顔面をとらえた。
聖拳をまとわせた重い蹴りは、ベルゼブブの食事を中断させるのには十分な威力で、食べていた自分の腕を落としていた。落としたといっても、俺の蹴りによって遠くに飛ばされ、妻たちによって回収されていた。
そのまま俺は立ち上がり、こちらを向いたベルゼブブの鳩尾に拳をうめる。腕たちが一番ガードをしにくい場所を全力で殴りつけたのだ。
ベルゼブブが吹っ飛ん……こいつ耐えやがった! 殴りつけた右腕を掴まれ、ベルゼブブが口へ運んだ。俺は今、自分の右腕を食われている。前腕の中ほどから腕を噛み切られた。非現実的な光景だが、止まれない! 俺の右腕を食っているベルゼブブの横っ面を、左手で殴りつけた。
ベルゼブブは殴られる瞬間に、俺の右腕を食べるのをやめ、左手に向かって口を開いていた。あっ俺の左腕も食われたか……ベルゼブブの口の中に俺の拳がすっぽり入り、口が閉じられた。
「そう簡単に、2本目の腕まで食わせてたまるか!」
残った魔力を左腕に集中させて強化を図る。ベルゼブブは俺の左腕を噛み切る事が出来ず、半分も歯をたてられなかった。俺はそのままの勢いでベルゼブブの喉に拳を押し込むように力を入れ、地面にたたきつけた。
俺は残った力を振り絞り、薄れてゆく意識の中で……
シュリがあのハンマーをすでに振りかぶっており、腹部を狙った攻撃はベルゼブブの最後の抵抗と言わんばかりに、鳩尾からはえた腕が受け止めるが、効果はなく斧のようなハンマーに潰され、上半身と下半身が分かれた。
残された上半身はまだ動いていたが、振りかぶったアリスの大剣で首を落とされ、落ちた頭を誰かが潰すのが見え……
俺の意識はここで途切れた。
3
あなたにおすすめの小説
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ダンジョン作成から始まる最強クラン
山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。
そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。
極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。
そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。
ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。
ただそのダンジョンは特別性であった。
ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる