ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
788 / 2,518

第788話 王族の絶望の先

しおりを挟む
 広間に向かうと兵士たちは縛られており、非戦闘員は泣いている者や怒鳴っている者がいた。普通そうなるわな。説明は、王族が来てからだな。

 隙をついて、攻撃を仕掛けようとする兵士もいたが、さすがに縛られている状態では、何もできないまま制圧される。まぁ、縛られてなくても素手じゃ、鬼人たちに怪我をさせられないだろうけどな。

 うるさかったので、死にたくなかったら王族が来るまで黙っていろと言ったら、全員が口を閉じた。10分位すると、んーんー言いながら王族の人間が運ばれてきた。自分で歩く事もしないで、かつがれてきたか。それにしても全員猿轡とはな。まぁ、あのバカ王子の家族だ、こんなもんだろう。

「えっと、あんたが王か?」

 そう質問をして、猿轡を外すように指示する。

「そうじゃ、ワシがテリオール=ウル=トバイムじゃ。王であるワシにこんな狼藉して、ただで済むと思うなよ! トバイム王国は帝国の庇護下にあるのだぞ! お前はあの大国を敵に回したことになる! 今解放するなら殺しはしない。青い血に誓って約束しよう」

 この世界でも青い血なんて言うんだな。

「青い血か……お前は、自分が王族・貴族だから偉いとでも思ってるのか? その王族・貴族だって元をたどればただの人間なんだけどな。血筋で偉い偉くないなんてないんだけどな。そこはどうでもいいか。この城の地下に、俺の街の人間が無実の罪で拘束され拷問をされていた。お前はそれを知ってるのか?」

「青い血をバカにするな! こうなれば皇帝にこの事を伝え、体に覚え込ませてや……グヘッ」

「俺が質問してるんだから答えろよ」

「わかったから、殴るのをやめろ!」

「やめろ?」

 聞き直して何度か殴ると、

「やべてください」

「でだ、地下にいた俺の街の人間が拷問を受けたのはなんでだ?」

「街で犯罪を犯したからに決まっているだろ!」

「ふ~ん、どんな犯罪だったんだ?」

「そんなのは知らん。ワシがそこまで知っている必要はない!」

「まぁそうか。知っている人間はどいつだ?」

「看守長なら知っているだろう。あいつだ」

 大分暴れたのだろう、怪我をしているうえに簀巻きにされてるな。歯が折れてるけど喋れるんだろうか?

「という事だそうだが、お前は何を知ってる?」

「俺は罪状は知らない。王子様が連れてきて、生きている事を後悔するように拷問しろと言われて、実行していただけだ」

「そっか、じゃぁ王子、罪状は何だったんだ?」

「ふん、俺に対する不敬罪だ。拷問されるのは当たり前だろう」

「そっか、そういう話になってるんだな。どうせお前らが本当の事なんて言うと思ってないし、俺の街の住人を拷問した事実は変わらん。という事で、王子は冒険者と同じ状況にしよう。で、王族の人間は……そうだな、皇帝にどうするのがいいか決めてもらうか」

「何をバカな事を言っておる! 帝国がお前のために動くわけがなかろう!」

「まぁ、普通はそう思うよな? 俺の街って言ってわかると思うが、俺は中立地帯にある樹海に街を作った人間で、お前たちの考えで言えば王族みたいなもんだ。それに、もうすぐ竜騎士が帝国の騎士を連れてきてくれるはずだ。

 ってそもそも、今こんな状態で、陸路で来れば2ヶ月くらいはかかるか? こっちから報告するんだったら、それの倍か? それなのにどうやって俺を殺すんだ?」

 俺にそういわれて、王が固まった。帝国とつながっているから何があっても安全だ! とでも思ってたのかな? 物理的に遠いこの国のために往復だけで4ヶ月かかるのに、準備とかも考えればもっとかかるだろう。

 それの対価にこいつらは何を払うつもりだったんだろうな。おそらく、庇護下にあっても報酬が用意できなければ来るわけないのにな。

「とりあえず、帝国の騎士さん達が来るまでは……って、来たみたいだな。ワイバーンが鳴いてるな。そうだ、外にいる黒龍は俺の愛騎だ。ワイバーンの方は、従魔なんだけど、この戦力を見てお前は4ヶ月間どう生きるつもりだったんだろうな? 2時間もあればこの街を壊せるんだけどな」

 俺のセリフを聞いて顔色が白から青に変わった。さすがに、黒龍はよくわかっていないようだが、ワイバーンが本当に従魔だとしたら、壊すことは本当にできるのだと理解したのだろう。

 王族のプライベートスペースに向かう時にワイバーンが見えたから、多分来る時にみたんだろうな。と言うか、ワイバーンを見たのに呑気にしてられる理由が分からんのだが……考えるだけ無駄か。そんな事を考えていると、帝国の騎士じゃなくて、インペリアルガードが入ってきた。

「おぉ、あなたは! 助けてください! この不届き者に襲撃されて、このような状況になっています。お礼はしますので、どうかお願いいたします!」

 俺と王の近くに近付いてきて、

「シュウ様、お待たせしました。皇帝より事情は伺っています。すぐに動けるのが私たち、インペリアルガードだけでしたので、馳せ参じました。テリオール国王、あなたの国は理不尽に他国の民を傷付けたのは分かっています。

 これは、同盟憲章に違反しています。よって、この国を治めるにはふさわしくありません。反乱などの考慮にいれ、王族はすべて帝国で奴隷とします。この国は、被害にあったシュウ様に譲渡されることになります」

「バカな!」

 と言うか今更だけど、帝国とこの国って同盟? 庇護下にある関係なんだな……証人として連れてこさせただけだったが、思ったより早く進んだな。

「でさ、この城の地下に、犯罪者が結構いるんだけど、引き取ってもらっていいか? こっちで運ぶからさ」

「了解しました。私たちが帰る際に一緒に運んでいただければ助かるのですが、どうですか?」

「助かる。後で皇帝に礼とここでよくしてもらったことを伝えておくよ。と言うか、事後処理を頼む予定だけど大丈夫か?」

「問題ありません! そのために派遣されたのですから!」

 しっかりと呼んだ理由を理解してくれているようで助かった。グリエルに連絡して、ここを掌握しないとな……人員は足りるのだろうか?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...