ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第802話 手口の一端

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「グリエルに聞いた人材の家に行くのは良いけど、どうやって連れていくかが問題だな。街に入るのには門を通らないといけないし、くすぐったい! どうしたんだイリア?」

 そうやって悩んでいると、脇腹をツンツンされてくすぐったさに体をねじり、突っつかれた方を見ると、イリアがいた。

「ご主人様はミューズの領主。その領主がコソコソする必要ないと思う」

「確かにその通りなんだけど、ここの兵士たちは、グレッグみたいに全員が納得しているわけじゃないみたいなんだよね。だからこういった場面を見せたくないんだ。それに聖国の司祭の手の者に見つかると面倒だからな」

「じゃぁ、そのグレッグさんの言った人材の家まで地下通路を引けばいいと思う」

「やっぱりそれしかないか。じゃぁ、3人組が起きないように薬でも嗅がせておいてくれ」

 地下通路を通ってグリエルの紹介してくれた家まで移動する。そこにいたのは、40歳位の優しそうなおじさんに、どこかのグラディエーターと見間違うほど強そうな30台前半の人だろうか? それが3人もいた。

 実際にこの人たちは、グリエルの息がかかっているのでかなり強い。元Aランク上位の冒険者で、ディストピアの訓練所で鍛えた人材なので、Sランクにひけをとらない強さにまで達している。

「シュウ様、お待ちしておりました。グリエル様より連絡を受けて、準備はしてあります。見た所、8名いますが……5名では無かったのでしょうか?」

「あんたがグリエルの言っていた人材か。お願いしたいのは、こっちの怪我をしている5人だ。一応ある程度治療はしたが、瀕死の状態だ。こいつらの手口と同じ方法でやり返してくれ」

「了解しました。ですが、請求した金額が払えたらどうしますか?」

「あ~それは無いから大丈夫だ。確認した所、こいつらの預金では足りないし、聖国の司祭たちもそこまで金を持っていない事は、確認できている。奴隷に落として連れていく事が、目的だった可能性が高い。じゃぁ任せた! 俺たちはもう1回戻って、犯罪者3人を連れて門を通ってくる」

 通路をのんびりと歩きながら、3人を引きずっていく。

「これじゃ、どっちが犯罪者か分かったもんじゃないな」

 苦笑をして、そんな事を呟いてしまった。

 正門に入る時は時間も時間だったため、待っている人が全くいなかった。だが、暇していた門番が俺たちに気付くと、身分証明書を見る前に日中から堂々と人さらいか? と言われ、もし見ないふりをしてほしければお金をそこに置いていけ・・・みたいな事を言い始めた。

 つい条件反射で昏倒させると、他の門番たちまで襲い掛かってきたので、合わせて昏倒させてしまった。

「あちゃ~、ついうっかりやっちゃったけど、誰も死んでないよな?」

「まぁ、この門番たちが死んでいた所で関係ないんじゃない? 初めのあれは別として、正当防衛でしょ?」

 自分の心配をしてつぶいたセリフをリンドが聞いていて、そう言ってきた。この状態が正当防衛になるか分からないが、このまま入るのはさすがに拙いのでどうしようか悩んでいると、ミリーがグリエルに連絡を取り始めていた。

 簡単に内容を説明したら、今からとんでくる! みたいな事を言って慌てていたらしい。お前が来る前に代わりの門番をはよ! って思ったら、大きな声を上げて門番たちより作りの良さそうな鎧を着た兵士が、1人とその後ろに門番と同じ鎧を着た兵士が2人。

「お前たち! 何をしている! 門番に手を上げるとは、って……えぇぇぇええええええっ!? 何でシュウ様が、こちらにおられるのですか?」

「おっ! ちょうどよかった、俺の事が分かる人間が来てくれて。混乱してるところ悪いんだけど、代わりの門番を配置してくれないか?」

「ちょっと隊長! 目の前に犯罪者がこんなにいるのに! しかも、代わりの門番を……って、なんで犯罪者が代わりの門番を連れてくるように言ってるんだ?」

 後ろにいた兵士は、更に混乱しているようだ。

「ちょっ! おま! バカ野郎!」

 隊長と呼ばれた作りの良さそうな鎧を着た兵士が、俺達に犯罪者と言った兵士に向かって拳を振り下ろして、結構ヤバい音が聞こえた。そのまま膝から崩れて前のめりに倒れそうなところを、もう1人の兵士が受け止めていた。

「シュウ様! 失礼しました! 今代わりの兵士を呼んでまいります! おぃ、そいつの事は放っておいていいから、詰所まで行って待機しているメンバーを、10人位連れて来い!」

 隊長と呼ばれた兵士が怖かったのか、倒れそうになっていた兵士を投げ捨てるようにして、詰所へ向かったようだ。この兵士、後遺症が残ったりしないよな?

「キリエ、ちょっと心配だから、今倒れた兵士に魔法をかけてやってくれ」

「えっ!? 吹き飛ばすなら、イリアちゃんとかでいいんじゃないですか?」

「心配だって言ったのが聞こえなかったのか? 魔法ってのは、回復魔法の事だよ」

 あぁ! と、手をポンとたたく仕草をして、回復魔法をするために近寄って行った。それにしても、心配だって言ったのに、なぜ魔法をかけるを回復魔法ではなく、攻撃魔法と勘違いしたのだろうか? ちょっと攻撃的すぎやしないだろうか? しかも、半数ほどの妻たちもキリエと同じ仕草をしていた。

「シュウ様、すいませんが、この状況を説明してもらってもよろしいでしょうか?」

「ん~と、樹海の中でこのテイマーたちの魔物に襲われて、捕縛して帰ってきたら、門番に見ないふりしてほしけりゃ、お金をそこに置いていけ! みたいな事を言われたから条件反射で殴ったら、中の兵士達まで出てきて、全員ぶっ飛ばした……って感じかな?

 でもさ、犯罪の称号がついてない人だったから、俺たちに称号がつかないか心配してたところだな」

「なんという事だ。こういうのは額にもよるけど、話の内容を聞く限り初犯と言う感じでは無いので、称号がついてもおかしくないのですが……」

「ご主人様、もしかして今さっきのやり取りに、問題があるんじゃないかな? 確か、城壁より外は領地内であっても管理区域には無いので、お金が落ちていて拾っても何の問題も無い? 置かれたお金を拾っていたから、たまたま通った人間を見過ごしてしまった……みたいな?」

 ライムがそんな事を言ってきた。

「確かに、それなら門番に称号はつかないかもしれませんね。ですが職務怠慢の上に、お金を得ていたなんて! 警備体制を変える必要があります!」

 そしたら上から何かが飛ぶ音が聞こえてきたので、戦闘態勢をとった。
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