ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
881 / 2,518

第881話 海の幸!

しおりを挟む
 シエルが従魔になってから早1週間が過ぎた。シエルとシェリルって大文字小文字の差はあれど、1文字あるかないかの違いしかないんだよな~そんな事を考えながら、シエルの様子をながめている。

「やっぱりこうなったか……」

 俺の目の前には、亀が器用にシルキーに媚をうっている様子を見て、頭痛を覚えてこめかみを押さえてしまった。

「従魔になる前に与えた餌を食べている様子からあり得るとは思ってたけど、ここまで思った通りになるとはね~苦笑してしまいそうだよ」

 近くに誰もいないが、俺は目の前の様子を見て独り言を言ってしまった。

 そういえば、ミドリがシエルに作ったテラリウムは、食堂の近くにあった元ブラウニーたちの部屋を使って、かなり大きめのくつろぎ空間を作っていた。

 ちなみにブラウニーの部屋は、キッチンに直結する形で新しい部屋が造られている。余りにもブラウニーの数が増えてしまったために仕方がなくとった方法だった。

 ダマによるシエルの教育は、順調のようだ。まぁ、問題点もあるが人の常識を知らない事による問題なので、時間をかけて教えていくしかないだろう。

『主殿、何をニヤニヤされているのですかにゃ? 少し気持ち悪いですにゃ?』

「失礼な奴だな。シエルの奴が、予想通りにシルキーに懐いたからおかしくてな。バッハも同じような感じだったし、ニヤニヤもするだろ?」

 ダマが近付いて来ながら、俺のことを軽くディスってきた。

『そうだ! 主殿に聞いておきたい事があったのですにゃ。某やバハムートのバッハと、シエルの奴の名前のセンスが全然違うのですが何故ですかにゃ?』

「それ、聞いちゃう? あの時は思いついたとか言ったけど、亀から甲羅をイメージして、甲羅っていえばシェル? みたいな感じで連想したんだけど、シェルじゃ何か微妙だと思って、小さいエを大きくして、シエルって名付けただけだ」

『主殿は主殿でござったにゃ。安心しましたにゃ』

「その言い方には、トゲがあるな。俺に名前のセンスを求めてはいけない!」

『胸を張って自信を持って言うことではないですな。それより、そろそろ湖へ連れて行きますか?』

「むっ!すっかり忘れてたな。シエルのせいですっかり予定が狂っていたんだった!」

『わらわが、濡れ衣を着せられている気がするのだが、気のせいかの?』

『ここでは、どんな理不尽なことでも諦めることも必要なのだよ』

 何かを悟ったように語り出したダマだった。

「そんな細かいことはどうでもいい! 水中を護衛してくれる従魔が欲しかったんだよ。そこにちょうどよく現れたのがシエル、お前だ! ということで、1週間の期間があいたが、海の幸を取りに行こう! その後は、船の上でバーベキューだ!」

 まだお昼前なので、まずはお昼の準備をしておかないとな! そのまま、キッチンへ向かう。

「という事で、お昼を準備してくれ!」

「本当にいつも突然なんですから……えっと、あのクルーザーを使うって事ですよね? なら、キッチンもありますので、お昼の準備はそちらで行いましょうか。

 皆さん! シフトはSに移行します! こちらにはシルキーは残りませんので、誰かがしっかりと指揮をとってくださいね! 後、誰かミドリを呼んできてください! ブラウニーは6人私たちについてくるように! 以上、解散!」

 スカーレットがキビキビと指示を出していく。

「俺も、みんなに連絡しておかないとな」

 妻たち全員にもこれからの予定を伝えるために、無線を繋げ連絡を入れておく。半分ほどがすぐに来れるとの事で、湖に集合する事になった。残りの半分は、集まり次第迎えに行く形になった。

「よし! 準備完了! 野郎共! いくぞ!」

『主殿、某たちは生物学上は、雌になるのですが……』

「え゛っ!? ダマ……お前も雌なのか?」

『ちょっと、それはどういうことですか!』

「すまんすまん。てっきり雄だとばかり思ってたよ。まぁ雌だと分かった所で、対応が変わるわけでもないけどな。あっ! ブラッシングの回数は増やすか? っと、とりあえず行くぞ!」

 色々誤魔化して話を一気に進めていく。

 1週間前と一緒で、ダマに大きくなってもらい。先行していたシルキーと合流してクルーザーに乗り込む。シルキーもブラウニーたちも含め全員空を飛べるから、俺より早くついていたのだ。

 あっ、船は魚人とあって帰ってきた後に、専用のドックを準備しているし、定期的にメンテナンスをしているから綺麗だぞ! しかも、船の下は魚人の子どもたちの水中訓練の一環で、掃除をしてもらっているので、全体が綺麗なのだ!

 船の外装にも自動修復の魔核を埋め込んではいるのだが、藻やフジツボのような船の下についているあれらは、魔核で自動修復をしても外装の外に付くものなので排除できないのだ。

 魔核を使ったエンチャント? とでも呼べばいいのだろうか、特性は物質に作用するため、その外側に作用しないのが難点だ。それと同じで、武器も切れ味などは自動修復である程度問題はないのだが、刃の手入れをしないと、魔物の血や脂がついて切れ味が悪くなるのだ。

 それはともかく、船に乗って出港する。船が入るラインだけ深くしているので、多少船を進めたら、

「シエル! 潜るからついてこい!」

 甲板でダレていたシエルを呼んで、湖に素潜りをして貝などを探す。

 湖の生態系は、初め以外は任せっきりだったので、湖の生態系は分かっていないのだ。こうやって潜る事も楽しいな~

「ブハッ! ふ~、思ったより色々いるもんだな。シエル、伊勢エビって言って分かるか?」

『伊勢エビですか? エビの種類?』

「あ~分からないか。次に潜った時に教えるから、人数分位は確保してくれないかな? あれ美味しんだよね」

『美味しい!? 根こそぎ取ってきましょう!』

「根こそぎはダメだ! 繁殖ができなくなるだろ? そしたら次に食べられなくなるじゃないか! バカなのか?」

 マジ切れしてしまい、殺気が漏れたのか船の上から妻たちが飛び込んできた。何事かと思って慌てて飛び込んだため、洋服のままだった……すまん。シエルに言い聞かせて、降りてきたついでに何人かは一緒に素潜りをする事になり、シエルにサポートしてもらい潜って食材をとっていった。

 休憩や昼食をはさみ、15時頃にみんなが揃った。湖の生態系がよくわからないが、伊勢エビ以外にもウニやシャコ貝、アワビ、サザエ、ホタテ……手でとる者は貝が多いのはしょうがないよな。伊勢エビに関しては、シエルがとってくれているので手で取っているとは言い難いな。

「ご主人様、この魔物みたいなのは何ですか?」

 船の上に上がってシャワーを浴びて出てくると、ネルからそんな事を尋ねられた。

「これは、魔物じゃなくて、伊勢エビって言う高級食材だよ。シルキーに調理方法は教えてあるから、みんなで楽しもうね!」

 そういうと、伊勢エビへの期待が上がったようで、歓声をあげている。

 調理方法は、最近取り寄せた俺が好きな番組でやっていた物を教えている。半分に切ってから、ミソと内子を取り出して叩く。叩いたものにウニとみりん、塩こうじを混ぜたものを焼いた伊勢エビに塗ってさらに焼く素晴らしい食べ物だ!

 もちろん、肉を食べたいと言っている奴もいたので、野菜と一緒に色んな肉をシルキーに焼いてもらい、夕食を楽しんだ。

 家に帰るのも面倒だったので、今日はそのままクルーザーに泊まることにした。年少組と一緒に来ていた土木組がお泊り! と言って騒いでいた。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...