ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第983話 襲撃

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 野営地に残っている兵士が約1500人。その内、上級士官らしき人物が21人。

 望遠鏡から見える景色と、マップ先生と照らし合わせてみると、何かゴージャスなテント? 天幕? みたいなところにいるので、間違いないだろう。

 士官はどうでもいいと思う。だってこいつら、司祭や神殿騎士って称号以外にも、あいつ等がよく持っている殺人・拷問・強姦まで持っているのだ。

 宗教に従ってそれをしているなら、許せないけどまだ理解できるのだが、こいつら上層部の人間は自分の嗜虐心で行っているのだから救いようがないのだ。

 下っ端は、そんな事無いと思うが、いずれ偉くなると考えると……今のうちに処理してくべきだろう。

 自分たちが不当に扱われる側になれば、考え方が変わらんかな? って、犯罪称号が有るんだから正当な扱いと言うべきか?

 どうでもいい事を考えながら野営地に向かって進んでいく。

 その間に年少組のメンバーに状況を伝えている。もうしばらくは、結界を維持していてほしいと伝えると、本当に暇だから早くして! と、緊張感がないがしっかりと仕事をしてくれているので文句はない。

「年少組のメンバーが、暇で何かする前に残りの盗賊を処理しようか」

 少し急ぎ気味で進む。

「ったく、上からは連れてきた奴らは大事な労働力だから壊すなって言われてるし、追跡にまわった奴らはいいよな。盗みを働いた奴ら見たか? あんな可愛い娘なら、盗みなんてしないで俺たちに股でも開いておけばいい思いできるのにな、ギャハハハッ」

「いい思いが出来るのは、俺たちだけだろ? 相手をさせられる奴らは、長くても3日だったしな。それも1日100人以上相手をして、眠る暇も無いんだからしゃーないわな。

 そうなった相手を殴って反応を示す時の、あそこの締まりが最高なんだよな! そういえば、この前の獣人のメスをオスの前で犯した時は最高だったな! ゲハハハッ」

 門番がでかい声でゲスな事をいっている。奴隷がだめなら攫った獣人をそのまま犯したのか? ったく、聖国の奴らは本当に救いようがないな。

 だけと……右の奴はイカシテハオケナイ……アイツハオレノヨメヲ……

「……ゅ人様! ご主人様!」

 ハッ!? いけない、あまりにあいつが言ってる事がゲスだったため、キレかかっていたみたいだ。

「みんな、右の奴は俺が処理するから左の方は誰かよろしく」

 左の奴もゲスなせいか誰がやるかジャンケンが始まった。君たちも緊張感がないね。

 どうやら、左の門番はアリスが勝ち取ったようだ。

 俺たちは、冒険者としてここにきていると言うことにした。って、したじゃなくて、実際に冒険者として来てるんだった。

 ベタベタはしていないが、仲の良さそうに見せるためほぼくっついて歩いている。門番の近くまで行くと、

「お前等とまれ! ここに何しに来た! ここは聖戦を行った、我らが聖国の野営地である! ここに近付くことは許さない! 早く立ち去れ!」

 左の門番が警告を発してきた。ん~聖戦ときたか。言い訳が下手な気はするが、

「いや待て! その隣にいる女、獣人のメスだな? 男、運がないな。今、鬱憤の溜まっている俺らの前に来たことを後悔しな。こいつらを捕らえるぞ! 今日はいい思いが出来そうだ!」

 次の瞬間、門番たちが襲ってきたが、右の方は地面に頭が埋まっていた。って、手加減はしたが俺が殴って、地面に頭だけ埋めてやったのだ。

 アリスの様子を見ると、右の門番の顔を真っ正面から鷲掴みにしていた。

 すでに武器は全部解除されており、顔を捕まれて持ち上げられているため、手足を使って攻撃をしても力が入っていないため、効果がまったくなかった。

 その状態のまま、穴の方に運んで行くようだ。

 顔の埋まった右の門番がもがいている音が聞こえなくなったので、振り返る。ぐったりしているな。

「死んだか? 死因が、欲情して顔を殴られ地面に頭が埋まって窒息死……ダッサ! って、まだ生きてたか」

 死んだと思っていた門番を引き抜くと、呼吸困難による気絶だったらしい。

 丁寧に運ぶのも面倒なので、ちょっと薄くなっている髪の毛を掴んで引っ張っていく。

 途中で掴んでる部分の毛が全部抜けてしまったので、足に持ち替えて引き摺って連れて行く。

「あちゃー、こうなるかと思っていたけど、その通りになったな」

 後頭部が地面と擦れていたので、頭皮がかなり悲惨なことになっていた。

 そういえば、人間の頭ってボーリングの球くらいの重さがあるんだっけ? そう考えると重いよな。あれ? ボーリングの球にも色んな重さがなかったっけ?

 細かいことはどうでもいいか!

 穴まで引き摺って来たので、放り込んでおく。

 野営地に戻ろうとしたら、遠くから歓声だか罵声だかよくわからない物が聞こえてきた。

 マップ先生で確認すると、野営地に残っていた内の半数が結界付近で動いていて、残りの半数が妻たちを追ってこっちに向かってきていた。

 俺は気配を消して、妻たちには穴を時計回りに逃げるように魔導無線で指示する。

 追いかけている兵士たちの汚い言葉を我慢するのは大変だったが、思いついた作戦のために今は我慢していた。そのための準備もしている。

 目標地点に盗賊が入ったので魔法を発動する。

【タイダルウェーブ】

 魔法で津波を起こしたのだ。俺の計画通り大穴の中に流れ込んでいく。数名が効果範囲外で落ちなかったが、妻たちに蹴り落とされていた。

 深さ30メートルに5メートル程の水が入っているから、下に運悪く誰かいるか、泳げなくて溺れない限りは死なないだろう。中央には1000人程が上がれる陸地も用意してるしな! なんて優しいのだろう!

 再度野営地に戻ると、士官らしき奴らが結界を囲んでいた兵士たちを、怒鳴りつけて蹴飛ばしていた。

「お前等だってどうにも出来ないのに、兵士たちがどうにも出来ないからといって、当たり散らすのはいかがなものかと思うよ?」

 すぐ近くまで来ていた俺たちに気付かなかったため、心の声がうっかり漏れてしまった。

 それを聞いて逆上した士官らしき奴らは、汚い言葉と共に襲ってきて、全員地面に頭が埋まっていた。

 犯人は俺じゃないよ? 俺の悪口も含まれていたので、瞬間湯沸かし器みたいに妻たちがキレて地面に刺さっていた。俺の出番がなかったぜ。

 例のごとく、呼吸困難により気絶して動かなくなったので、引き抜いて拘束する。こいつ等には聞きたいことがあるからな。

 でさ、シュリ……お前何してんの? 10人程が束ねられている塊を、5個も引き摺っているんだけど。いつも思うんだけど、摩擦とか考えたらスパイクとかはかないと、滑りそうな気がするくらい重いと思うんだけどな。

 程なくして、盗賊軍隊の野営地は制圧された。
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