ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
994 / 2,518

第994話 略奪開始

しおりを挟む
 リリスの号令で進軍が開始される。

 何という街か知らないが、街門に到着する。

「シュウ、門を壊さずに開けられるって言ってたけど問題ないの?」

「閂タイプの門みたいだから問題はないね。すぐに開けられるよ」

 フレデリクもリーファスも、門は閂タイプだったけど、この世界では一般的なのかな? ちなみに、ディストピアを含む俺の影響下にある街は全部、門の内側に鉄格子を落とすタイプに変更している。開けるのに時間はかかるが、いざという時に落とすだけで封鎖ができるのでとても便利だ。

「それにしても、敵兵がほとんどいないですね。不気味なのですが、攻めても問題ないのでしょうか?」

 リリスの近くにいたアントが、敵兵が門の防衛にほとんど参加していない状況が怖い様だ。俺はマップ先生で状況を知っているのだが、アントは知らないため本当に罠じゃないか心配している。

「心配するのはわかるけど、じゃぁ、罠を警戒して退路を確保しながら進むって事ならいいでしょ? シュウ、退路の確保をそちらでお願いしていいですか?」

 俺たちの何人かが門に残り、確保をするという事で話が終わった。

「今から門を開ける! 例の合図があったら全軍退却する事を忘れるな! 馬車を使う奴らは、大通りを外れるなよ! 逃げれなくなる可能性が高いからね! シュウ、じゃぁお願い」

 リリスにお願いされ、俺は門の前に立つ。普通なら鉄でできている閂を正面から切るなんて不可能である。が、この世界ではそれができてしまうのだ。まぁ、武器と技量とステータスがすべてそろって初めてできる技なのだけどね。

 俺は門の中心に立ち、隙間は無いが門の開く所を凝視する。腰にある刀の鞘を左手で持ち、右手で刀を引き抜く!

 キンッ!

 門が少し甲高い音を立てた。多分切れたと思うけど……どうしようか悩んでいると、

「上にいる兵士たちに注意してこの門押すよ!」

 リリスが号令をかけ、冒険者を使い門を押し始めるが、まったく開く気配を見せない。そりゃそうだよな、この世界の門は大体内側から外側へ向かって開くタイプだから閂を切ったとして、いくら押しても開くはずがないのだ。

「リリス、門は外からいくら押しても開かないぞ? 普段開ける事なんてないから覚えてないかもしれないけど、中から外に向かって開けるのが普通だから、外からだと引かないといけないんだぞ」

 それを聞いたリリスたちは、ポカンっとした顔をしている。本当に知らなかったようだ。クエストを受け、門が開く前に並ぶこともあるはずなのに、その事を知らないなんてな。扉の開け方なんて、普通は気にしないか?

 取っ手もないのにどうするか悩んでいたので助け舟を出す。シュリに銛のような物を出してもらい、木製で鉄の補強をしている扉に突き立ててもらう。俺は取り出した大槌で釘の要領で門に打ち込んでいく。

 5回ほど叩くと貫通したようだ。半分程埋まっている所を見ると、門の厚さは50センチメートル程あるようだ。かなり分厚く作ってあるんだな。それに大きい……

 高さは5メートル程もあり幅は8メートル程ある。片方の扉が、高さ5メートルの幅4メートルか……そのせいで門が横長の長方形に見えるんだよな。俺の中で門って言うと、縦長の長方形だったのにな。

 銛から繋がっているロープを冒険者が引っ張るがなかなか開かない。そんなに重いのかこの門?

「隊長! 少しいいですか? おそらくですが、門の中心付近の下側にストッパーみたいなのがあると思うんですが」

 名前も知らない冒険者が、扉に閂以外の扉を開けさせない工夫があるのでは? と言うことを指摘されて、なるほど! と手を叩いてしまった。ディストピアに関しては、アダマンタイトで補強されている門と閂に鉄格子を使っているので知らなかったが、他の街では他にもストッパーを用意するのが普通らしい。

 そんな事を知っているあいつは何者なんだろうか? まぁいいか、俺は仕事をしよう。

 さすがに地面すれすれじゃ、居あい抜きの要領で切ることはできないので、違う方法で切る事にした。出来る限り門には傷をつけたくなかったので、俺は大きなノコギリの刃にアダマンコーティングした物を取り出す。それを門の下に通して動かすと、中心付近で止まる。

 おそらくここにストッパーがあるのだろう。本来はこんな使い方をするとノコギリが折れてしまうのだが、アダマンコーティングをされたノコギリは湾曲した状態で押し引きしても折れないのだ。なので、強引に動かしてストッパーを切った。

 その後にロープを引くと問題なく開いてくれた。

「門は開いた! 突入! 近くにいる兵士を捕まえ兵士の集まる場所を聞き出せ! 喋らない可能性があるから、門の上からも見て探せ!」

 リリスの指示で冒険者達が流れ込んでいく。状況を確認していたピーチが魔導無線で指示を出してきた。

『1班はご主人様の護衛、2班3班は門の上へ残りは各所に散らばり待機。自分たちでもマップ先生を確認して、冒険者が対象以外に手を出した場合は止めてください。警告で止まらなかったら、殺しても構いません』

 同じ義勇軍なのに、俺たちは内部監査官のような役割だな。違反者を排除するって、まぁ誰かがしないと人の悪意は上限なく上がってくから、実力のある人間が抑止力にならないといけないんだけどな。

 義勇軍が半分ほど中に入った所で、門の上から兵士がいそうな所の報告が大きな声でされていた。何か所か間違っている所はあるが問題ないだろう。後は……

「入ってから右手側、少し入った所に倉庫らしき建物があります」

 門の上に行ったこの声はメルフィかな? メンバーからこれから入ろうとしている義勇軍に報告が入る。うん、まぁいいタイミングじゃないかな?

 この街には軍の倉庫が3つある事が分かっている。その内1つが、この門の近くだったのだ。

 俺は俺で仕事をしないとな。片側しか開いていなかった扉を両側ひらいて、街に一気に入れる人数を増やした。最後尾からジェノサイドキャラバンの馬車が近付いてきたので、

「倉庫の方に向かってくれ。そこに武器防具が大量にある」

 マップ先生で調べて分かっていたのだが、武器防具はここと街の中央にある領主館の近くの倉庫に大量に保管されている。何でここにあるのかは分からないが、回収は早めにしておくべきだろう。

 あちこちから悲鳴が聞こえてきているが、街の人間に手は出していないだろうか?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...