ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1191話 戦争開始

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 戦争が始まったのは、聖国の軍が到着してから3日後だった。

 開始された戦闘は、威力偵察に近い形だった。1000人程の数で攻めてきたので、威力偵察と呼んでもいいのか微妙なところだ。

 それに対してこちら側は、冒険者と軍人の混成部隊だった。せっかく作った陣地に入れないために、打って出る形で応戦したのだ。

 本当は、軍だけで対処を考えていたようだが、現状で虎の子の魔法部隊を見せるわけにはいかなかったため、弓の使える軍人と冒険者で前衛を援護する形をとったのだ。

 それにしても、戦争を仕掛ける大義名分も言わずに攻めてくるのか……おそらく話し合うつもりもないのだろう。

 もともとミューズは、聖国よりの中立地域にあったため、聖国の影響力が強かった。それを奪ったディストピアは、敵勢力だと考えられているのだろう。

 俺から言わせれば、逆恨みもいいところなのだが、奴らにとって見れば盗まれたと言うことになる。だから、奪い返すと言う発想なのだろう。

 俺が何でこんな事を考えているのかと言えば、捕虜にした聖国の兵士を尋問した結果で、そう考えざるを得なくなっのだ。

 今回の戦争に関して、街から一切のお金を出させていない。俺は後詰めをする条件に『俺の金で戦争する事』と言う条件を出したのだ。

 街が損することはないのであっさりと承認されたが、俺にも1つ目的があってこの条件を提示した。

 それは、俺がお金を出すことによって、どんなに些細な支出についても、詳細に記すことを決めたのだ。妻たちも実戦には参加しないが、裏方に回り色々と動いてくれている。

 まともに軍を動かすのが初めてだったので、今回の戦争を利用してデータにしようと考えたのだ。

 中立地域、特にディストピア・ゴーストタウン・ヴローツマインの三都市は、冒険者の参加率も高い。しかも、無償で参加する! と言い出す者が多かったのだ。

 自分たちの街を自分たちで守りたいと言うのは分かるが、キチンとルールに従って参加する事を求めている。働きには対価を! 金に困っている都市ではないのだ。しっかりと報酬をもらってもらいたい。

 このデータを調べることで、今後の指標にもできるのだから、お金のかかる場所はしっかりと把握しておきたい。

 データをまとめたら、グリエルに提出して小言を言われる予定だ。薄々察しているとは思うが、グリエルたちにはしなければいけないことも多いからな。領主として、恥じない仕事をするつもりだ。

 聖国に嫌気がさして、違うことを考えてしまっていたようだ。

 戦争はタダではない。今回は俺が全部出す形になっているが、金は大量に使われている。

 そこに文句を言うつもりはないが、戦争を仕掛けられました! 迎撃して敵勢力を排除しました! はい、それで終了といかないのは、国同士の戦争の面倒な所だ。

 戦争を仕掛けられて勝ったのに報復をしない、と言うわけにはいかないそうだ。

 俺が面倒だし止めと言っても、舐められたままでいるわけには行かないのだとか……面子に拘るとか面倒この上ない事だ。

 止められないが聖国の都市なんぞ欲しくない。だから、略奪をする事になるだろう。それが正当な勝利者の権利なのだからな……略奪する場所をしっかりと決めておかないとな。

 あ~本当に面倒な話だ。

 そんな事を話し合っていたら、

「シュウ様、戦争が始まって間もないのに、もう勝ったときの話ですか? それが悪いとは言いませんが、少し不謹慎かと思います」

 レイリーに窘められてしまった。

 勝つ事が当たり前、と考えてしまっている自分に少し頭を悩ます。

 心の何処かで、不利になれば俺たちが全力で対処するから問題ない! と考えてしまっているのだろう。

 実際、こっちにはバッハとワイバーンの家族に、リバイアサン、ダマ、シエル、グレンの規格外の戦力外待機している。

 そこに俺たちに、綾乃の持ってきた魔物形の人造ゴーレム、久々の出番のクリエイトアンデッドで作られたSランク級のスケルトンがいるのだ。総力戦になれば負けがないのは間違い無い。

 でも、今回は可能な限り街の力で対処をする形なので、俺たちが手出しするという事は、戦争の結果としては良いものではない。

 直接の参加はしないが、有効的な作戦でも考えるとしよう。採用されるかは判らないが、自軍の被害は最小限、敵軍の被害は最大限出来ることはしよう。

 とりあえず、まだ竜騎士による嫌がらせは始まっていない。爆弾の音だけではなく、大きな被害が出るように小細工をしよう。

 この世界では、燃える液体、石油は発見されていない。だが、松明にも使われている燃えやすい物は存在している。

 魔石の粉を混ぜた液体だ。

 松明液と呼ばれている。錬金術の基本的な技術で、本来砂のような砕かれた魔石は水に溶けることはないのだが、それを完全に溶かすことができるのだ。

 松明液は、ある程度の粘度もあり灯油のように燃えるのだ。

 燃える原理は、正確には判明していない。水に溶けた魔石から魔力を使って燃えているのでは? と言われているが、理由が分からなくても、起こる結果は変わらない。ならば、それでいいのだ。

 難しいことは、学者に任せればいい。使える物を何でも使うのが冒険者。軍人にはあまりない考えだ。俺たちの本質は冒険者だ! 出来ることなら何でもやってやる!

 俺はすぐにレイリーに相談しに行った。実際の戦争でも使われたことのある、松明液を使った火炎壺だ。

 これを使えば、爆弾の時間調節や長い導火線が風の影響を受け、狙っていた場所からそれてしまうのを解決できる。

 そうレイリーに提案した。

 まずは、火炎壺による敵野営地の空からの奇襲。火がついたところに、火薬を詰め込んだ壺を空から落とす。火薬を詰め込んだ壺が割れて、火薬が周りに飛び散り火炎壺による火で爆発。

 火薬の効果は、爆発による大きな音をたてるのが仕事だ。粉塵爆発みたいにはいかないと思うが、それなりの効果はあるとかんがえている。それに、火炎壺による攻撃でも、ある程度効果はあるので、火薬壺は駄目押しの一手という形になる。二段構えと言うことだ。

 レイリーは、被害を最小限に抑えることを念頭に置いてくれているので、この作戦はすぐに実行されることとなる。
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