ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,467 / 2,518

第1467話 憐れなり

しおりを挟む
 バラバラに解体したアラクネタイプの人造ゴーレムだが、人造ゴーレムなので解体されても、魔核のついている胴体は、何とか動こうとしている状態だ。ちょっと気持ち悪い。

 まぁ、この状態でも収納の腕輪に……あっ! いちいち壊さなくても、収納の腕輪にしまえばよかった。

 それより早く綾乃を問い詰めに行かないとな。ったく、何を考えてアラクネタイプを攻撃設定で街の外に放したんだ? 街の外に出る人っていうと、きこりくらいだよな。出口は反対だから会うことは無いだろうけど、ここを通るワイバーンたちには迷惑な話だよな。

 魔物を退治してくれるのは、街の安全につながるのでいいのだが……それでも、俺の従魔の中には街の外に出て遊ぶ奴もいるから、本当にやめてほしい。

 探すために結構移動したな、どうやって戻るかな?

 そんなことを考えながら下山をしていると、頭上にバサバサと音が聞こえてきた。見上げてみると、そこにはワイバーンの家族がいた。

 山で戦闘音が聞こえてきたから、様子を見に来たんだと。

 ちょうどよかったので、ディストピアまで運んでもらった。

 家に帰って、綾乃のいる場所を聞いてみたが誰も知らなかったので、あまり使いたくなかったマップ先生を使って検索をする。

 どうやら、自分の部屋にこもって何かしているようだ。

 ドンドンドンッ

「うっさいわね~、誰? 何なのよ?」

 若干キレ気味の俺をみて、一度開けた扉を速攻で閉めやがった。

「さっさと開けろや! 話があるんだから、さっさと出て来い!」

「私、何も悪い事してないわよ。なのに何でそんなに怒った表情してるの? 怖いからその顔止めてくれないかな?」

「悪い事してないって言うなら、素直に出て来いよ。怒られることは、何もないんだろ? だったら出て来いって」

「そんな顔をしてたら開けたくても、開けられないわよ。何でそんな顔してんのさ!」

 らちが明かなかったので、クリエイトゴーレムを使ってカギを無効化して、強引に扉を開けた。

「ちょっと! 人の家の扉を壊さないでよ!」

「素直に出てくればいいのに、出てこないからいけないんだ。で、ちょっと、これをみてほしいんだけど」

 そういって、先程解体したアラクネタイプの人造ゴーレムを綾乃の前に置く。

「ん? あれ? これって、私の作ったアラクネじゃない。何でこんな状態なの? どこかで拾ったの?」

「お前さ、このアラクネをあの山に放置してなかったか?」

「……? どういうこと?」

 ワイバーン家族が襲われてたことを話して、調べに行ったらこいつがいて解体したことを話した。それで、こいつの行動が分かりにくくなるような、マントを着せてたから更に面倒な事になっていたことを伝える。

「あっ!? 山にいたの? それなら経験値を積ませるために、放置していた奴がいた気がするわね。もしかして、壊したの? 何でそんなことするの……あいたぁーー。何で叩いたし!」

「話聞いてたか? ワイバーン家族が迷惑してたんだよ、それに俺が探しに行った時に普通に攻撃してきたぞ。魔物を退治しているだけならいいけど、迷惑かけるのは無しだ! しかもさ、俺の知らない機能をつけてんじゃねえよ! 無力化すんのに時間がかかったじゃねえか!」

「せっかく作ったのに、あれ? 途中で人造ゴーレムだってわかったのなら、収納アイテムにしまってくれたらよかったじゃん! 何で壊す必要があったのさ!」

「壊したのは、悪いと思ってる。でも、攻撃を受けててそこまで考えが思い至らなかったんだよ」

「作るのも大変なんだからね! まったく、こっちの手間も考えてほしい……あいたぁーー、だから何でたたくのさ!」

「お前が設定を間違えてなければ、問題なかっただろ? それに、アラクネを解き放ったなら言っておけよ! なんであのマントを着せて山に解き放ったんだよ! マジで面倒だったんだからな!」

 綾乃が俺の剣幕にしょんぼりしている。大体、俺に怒られた時はこんな感じになって、俺の同情をかおうとするんだよな。俺は、何度かこれを受けて理解したんだよ。

「そんな顔してもアカン。さすがに今回はよくなかった。だから、しばらくは規則正しい生活をして、ゲームは禁止だな。期間は2週間位だな」

 ウソ泣きからガチ泣きになった。

「ゲームはダメだけど、小説は読んでも問題ないぞ。どうせ、お前の夜更かしの原因って、ゲームの所為だろ? しばらくゲームは没収して、規則正しい生活をしろ! それがお前の罰になるからな。普通なら、罰にならない罰だからな! それで、ガチ泣きするって何だよ」

 ということで、綾乃の部屋に出入りしているブラウニーたちが、ゲームを回収してきてくれた。もちろんオンラインゲームのできるパソコンも没収である。仕事で使う場合は、俺の家に来て誰かの監視の下で仕事をしてもらう事になる。

 前に同じようなことがあって、仕事で使うからってパソコンの返却を求めたれたときに、返してみたら普通にゲームしてやがったんだよな。その時に学んだんだよ。

 ゲームなんて2週間しなくても死なねえんだから、小説でも呼んでおけよ。

 ん? ガチ泣きしている綾乃に近付いていくブラウニーがいるな。ペタペタと体を触り始めた。別に変態だからってわけじゃないようだが、何でそんなことを?

 どうやら綾乃は、いつも携帯ゲーム機を持ち歩いているらしく、身体検査をしているようだ。そこまでして探す必要があるのかと思ったが、この携帯ゲーム機というか、この機械が一番曲者だった。

 その機械とは、スマホより一回り程大きなタブレットPCのようだ。魔改造されたそれは1つで、様々なゲームができるのだ。旧世代のゲーム機だけでなく、最新のゲームすらプレイすることができるらしい。原理はよくわからんが、めっちゃDPがかかった!とか言ってたな。

 それを見つけたブラウニーたちは、やはり持っていたかみたいな顔をしている。

「そうだ、綾乃さん。食事は、こちらですべて内容を決めさせていただきます。時間も決められた時間に来てくださいね。もし遅れる場合は、事前に連絡をしてください。もし連絡もなく遅れた場合は、1回につき1日延長になるので、ご注意ください」

 おっと、俺の知らないルールが追加されてるな。

 多少迷惑をかけたんだから、頑張ってくれ。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...