ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,670 / 2,518

第1670話 先行!

しおりを挟む
 バレルについたが、14時を回ったところだ。いきなり2000人近くの人間が来て対応できる程、この街のキャパは大きくないので多少移動して野営する必要がある。

「補助担当の冒険者たちは、ブラウニーたちから馬車を受け取り連れてきた馬に取り付けを開始。ブラウニーたちは、馬車の受け渡しが終わったら夕食の準備を始めてください。土木組の皆さんは、シュウ様と先行して今日の野営地を整えておいてください。野営地の作りは事前に渡した資料のBプランでお願いします」

 レイリーがテキパキと指示を出している。

 俺は事前に教えられていたので、妻たちと一緒に先行する準備を始めている。仲の良い土木組も一緒に準備を始めており、乗るものは馬車なのだが引っ張り方が犬ぞりみたいな感じになっており、20匹近い土木組の相棒であるオオカミたちが「早く行こう」とはしゃいでいる。

 馬車に乗るのは、俺たち人間以外ではスライムとシリウス君にバッハ、3匹の聖獣だ。3台に分かれて乗り込む形で移動する。移動中は土木組のオオカミたちが戦闘に参加できないので、もし襲ってくる奴らがいれば、魔法を使っての迎撃戦となるだろう。

 準備ができたので移動を開始する。移動中に再度資料を確認して、Bプランについて理解を深めている。

 Aプランは野営地の形が円形で、中心に指揮官が入る天幕があり、十字の通路で区画を分ける物だ。Bプランは円形ではなく正方形の陣地となる。Cプランもあるのだが、遊びの戦争では使われることのない防御陣だと俺は考えている。

 他にもいくつか陣地の作り方についての資料があるのだが、基本的にはAかBのどちらかしか使われる事はないだろう。

 移動距離は大体10キロメートル程、そこにちょうどいい野営地候補があるので今日はそこで休む事になる予定だ。

「着いた! 地面の方は問題なさそうだね。よし、みんな。まずは測量するよ! 頂点の4ヵ所に3人ずつ集まってね。私は中心に行くからね」

 土木組のリーダーが指示を出して、個々に移動を開始する。

 なんか手馴れてるな。このサイズの野営地を作ることなんてそう無いだろうけど、土木組は街も作っているし街の中の区画整理の仕事も請け負っていたはずだ。何もない所に野営地を作ることなど朝飯前だろう……今は夕食前だけどな。

 1泊するだけの場所だが、さすがに2000人もの人間が寝るので、それなりの広さが必要になる。小型の魔導無線を使って、しっかりと連絡をとりながら位置を確認している。

 角にいるチームの3人の内1人が魔法を構築している。結構な魔力を練り込んでいるみたいだけど、何をするつもりなのだろう?

 俺は妻たちとその様子を観察している。

 角にいる4人が同時に地面に手を付けると、10メートル程の櫓が完成した。なんで先に櫓? と思ったが、次の瞬間に初めに建てた理由が分かった。野営地の塀に埋め込む形の櫓だったので、初めに櫓を建てそこにくっつけるような形で塀を作ったのだ。

 ここまでする必要があるのか分からないけど、野営地の外枠が完成している。

 櫓に近付いてみると、中は階段も作られており、すでに移動ができる出来るようになっていた。即席の野営地であれば、十分な硬さを備えているだろう。塀はそこまで高くないのだが、上を移動出来るようになっており、外側は矢や魔法に隠れられるように少し高くなっている。

 やっぱり土魔法ってインチキだよな。簡単に地形が変えられるとか、戦闘にすらならずに戦闘が終わりそうだ。地形を変えると同時に攻撃も可能だからな。

 野営地への入口は4ヵ所、角を繋げた線のちょうど中心辺りに馬車がすれ違えるサイズだ。

 内側から見ていたので気付けなかったのだが、魔力の節約兼実用性を重視して同時に堀も作っていた。

 次に土木組がしたのは、区画整理用の低い壁だ。もう段差と呼んでもいいレベルである。30センチメートル程の段差を作り、間違って馬車が入ってこないようにしている。

 区切った区画の中で今度は、マス目状に拳一つ分くらいの溝を作っていた。これは、テントのサイズから逆算して1つのテントに与えられるエリアだ。

 区画の中心にトイレが作られていく。深い穴を掘って石で簡易的にトイレを作った。

 お風呂は区画ごとに作ると管理が面倒なので、中心に男女別でお風呂を作っている。1つのお風呂を時間で分けて使う案もあったが、女性側から猛反対があった。人数の関係もあり、男用の方が大きく作られているが別々のお風呂となった。

 俺たちはお風呂用の天幕を建ててから、排水用の管も地下を通している。

 こうして先行して野営地を作っていた俺たちの仕事は終わった。俺のしたことは、お風呂の排水管を通しただけなんだけどな。

 野営地が完成したので、次の行動へ移る。

 俺たちは俺たちで、専用のテントを使うので自分たちで設営することにした。大体の場所は指示されているので、そのエリアの中に持ってきたテントを建てていく。

 俺たちが今回使うテントは、妻たちがドワーフの爺さんどもと一緒に開発したテントの完成品である。

 原型となったのは地球のテントだが、外観をこちらの世界に寄せて作っているので少し地味に感じる。地球のテントってカラフルなのがあるからな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...