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第1672話 戦争は……
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戦争当日。
国家間の戦争って思ってみれば初のような気がする。国を相手取って戦ったことはあっても、組織的な喧嘩であり国としての戦争では無かったような……
まぁ、国家間でも都市間でも、初めに口上戦をしてから戦争が開始されるのは変わらないようだ。
事前に分かっていたが、国家間の戦争であり利権だけを得るための物なので、かなりの人数が戦争に参加するのだ。どっちの国も人口的には20~30万人程度なのだが、戦場には1万人以上の兵士が参戦している。
人口の3~5パーセント……本来なら全軍がここに来ているといっても、おかしくない兵士の数である。実際には半数以上が、今回の利権の配分を口実に参戦してきている他国の兵士たちだ。
そしてひどい事に、両軍に兵士を送り出している国もあるようで、どっちが勝っても利権の分配金がある状態の国も存在している。俺たちが参戦しなければの話だったけどね。
参戦するからには、こちらは負けるつもりはない。壁に徹する帝国の騎士が100人にディストピアからの参戦が500人、そして帝国の騎獣が100匹、ディストピアというか俺関係の従魔が200匹程。頭数の合計で900程なのだが、戦力的に見ると過剰なほどいると言ってもいい。
ディストピアの冒険者たちは、基本パーティー毎に戦うのだが、動かしやすいように5人1組を単位として動く事になっている。人数の多いパーティーは分かれて、少ない者同士はくっついて組を作っている。
1組に1匹スライムたちがついているので、戦力的に見ればその時点でかなり優位に立っている。
スライムの色にもよるのだが、色によって特技が違うので一概には言えないが。こいつらは、眠らなくても平気ということと、数がたくさんいるということで、従魔たち専用に用意していたダンジョンで、物量で攻略しながら経験値を稼いでいるのだ。
ある程度Lvをあげたスライムたちは自由気ままに過ごすのだが、分裂したての生まれたばかりのスライムたちは、自由を謳歌するために寝ずの経験値稼ぎをしているらしい。
俺と遊ぶことのあるスライムたちは、古参が多かったりする。
頭数的には10:10:1といった感じだが、こちらの陣営に悲観した様子は特にない。他の国の兵士たちにはあまりいないのだが、ディストピアには兼任弓使いもいるので、遠距離攻撃の比率がかなり多くなっている。
他国では魔法兵だけが遠距離攻撃になりがちなので、その数を比べるまでもないだろう。防衛線ではかなりの脅威を発揮するのだが、この世界ではウォーゲームのような戦争以外はあまり起こらないので、魔法兵だけで足りてしまうのだ。
それに対してディストピアでは、敵が近付いてくる前に減らす。というのが常識になっているので、タンクを務めるメンバー以外は、大体が弓を使うことが出来る。
今回の戦争に参戦が決まった段階で、レイリーから普通より長い距離を飛ばせる弓の発注があり、DPで召喚して渡しているので習熟訓練を行っている。飛ばすだけなら400メートルは軽く飛ばせるので、牽制にはもってこいである。
魔法も飛ばすだけなら400でも500でも可能なのだが、意味のある威力を維持したまま魔法を届かせるのは難しい距離である。
ん? 何かおかしいって? 俺たちを基準にしたらダメに決まってるだろ。ピンポイントで500メートル先のターゲットを狙うのは面倒だけど、範囲魔法で薙ぎ払うのであれば、スキルLvと魔力のごり押しで簡単にできるからな。
このレベルの魔法使いは、大国でもそう多くない。ましてや20~30万人規模の国には、いても1人程度である。このレベルの国同士であれば、魔法の有効射程はよくて200メートル位とみていいだろう。
おっと、口上戦が終わったな。
向こう側2ヶ国の言い分は、自分たちの領土である魔の森の資源を勝手に使うのは許さない。戦争に負けたら使用料を払えといった感じだ。お前らの戦争だったはずなのに、何で俺たちへの要求になっているか不明だが……
それに対してこっちの言い分は、魔の森は実効支配が難しいのでどの国の領土でもない。いわれのない金は払うつもりはない、といった感じだったな。
本来なら、俺たちが参戦しなければ、魔の森の支配権を得るための戦争だったので口上戦で終わりだったのだが、俺たちが参戦したことにより俺たちが勝った場合の要求をする事になる。
払ういわれのない金を、払わされそうになっていたことに対するこちらからの要求、といってもいいかな?
とにかく、俺たちが参戦して勝っても現状と何も変わらないのだ。だから、勝った場合の何かを要求する権利がこちらに発生する、という解釈らしい。
それによって今回戦争に参加した国には、賠償金を払ってもらうことが要求された。
ウォーゲームには、国の指導者、王や皇帝が参戦することはまずありえない。高くても上から3~4番目くらいの権力者が、代表として参加する形だ。多くの場合は、騎士団長や軍務のトップが参戦して、体裁を整えるらしい。
戦争にホイホイ出てくる俺は、異端の存在だ。そんな異端の存在も生身でここまで来ているわけじゃないからな。生身で行こうといったら、ベッドに縛り付けられるのがオチである。
ドッペルで参戦することで、やっと許可が下りているのだ。生身程性能はよくないけど、かなり無茶な強化が施されているドッペルなので、この程度の相手であれば問題ない。
おっと、思考がそれているな。
レイリーから、今日が戦争の開始日なのだが、戦闘は恐らくないだろうと言われていたので、注意が散漫になっている気がする。
今日戦争にならない理由は簡単である。
いくら上位の人間が参加しているとはいえ、独断で賠償金を払う、という要求を呑むことはできない。したがって、国に確認を取らなければいけなくなるため、戦争が現時点で行われる事はないとの予想である。
もしここに来ているトップの人間が勝手に決めたといっても、戦争でもし負けて勝者からの要求を「そいつが勝手に決めた事だから、払う必要はない」とか言ってしまうと、国を巻き込んだ侵略戦争になるらしい。
俺はするつもりなどは無いが、帝国としては看過できないため、軍を動かしての本当の戦争になってしまう。
そして、ミソなのが「戦争に参加した国」という部分である。
これは、陣借りのように参加している国へのけん制である。もし参加して負ければ、陣借りで参加している国もすべて賠償金を支払わなければならなくなるため、本国に報告と確認をする必要があるのだ。
一番遠い国で、往復に2週間位だろうか? 報告に戻る時に乗るものにもよるが、そんなもんだろう。
レイリーと帝国のリーダーの予想では、最低でも1週間ほどは戦争が延期されるはずだ。
フラグを回収することなく、いったん自分たちの陣地へと戻っていく。
1万人を超える規模の人員の兵糧は、さぞかし高くつくだろうな。現場の人間を責めてもどうにもならないとは思うが、勝っても負けても両陣営のトップ陣は糾弾されるんだろうな。
糾弾されても、ならお前たちなら自己で判断できたのか? と言えば、一発で解決なんだけどね。
突き詰めて言えば、そこまで想定して権限を与えていなかった国のトップが悪いということになる。
俺たちは自分たちの陣地に戻り、一部の警戒者を除き自由時間となった。
国家間の戦争って思ってみれば初のような気がする。国を相手取って戦ったことはあっても、組織的な喧嘩であり国としての戦争では無かったような……
まぁ、国家間でも都市間でも、初めに口上戦をしてから戦争が開始されるのは変わらないようだ。
事前に分かっていたが、国家間の戦争であり利権だけを得るための物なので、かなりの人数が戦争に参加するのだ。どっちの国も人口的には20~30万人程度なのだが、戦場には1万人以上の兵士が参戦している。
人口の3~5パーセント……本来なら全軍がここに来ているといっても、おかしくない兵士の数である。実際には半数以上が、今回の利権の配分を口実に参戦してきている他国の兵士たちだ。
そしてひどい事に、両軍に兵士を送り出している国もあるようで、どっちが勝っても利権の分配金がある状態の国も存在している。俺たちが参戦しなければの話だったけどね。
参戦するからには、こちらは負けるつもりはない。壁に徹する帝国の騎士が100人にディストピアからの参戦が500人、そして帝国の騎獣が100匹、ディストピアというか俺関係の従魔が200匹程。頭数の合計で900程なのだが、戦力的に見ると過剰なほどいると言ってもいい。
ディストピアの冒険者たちは、基本パーティー毎に戦うのだが、動かしやすいように5人1組を単位として動く事になっている。人数の多いパーティーは分かれて、少ない者同士はくっついて組を作っている。
1組に1匹スライムたちがついているので、戦力的に見ればその時点でかなり優位に立っている。
スライムの色にもよるのだが、色によって特技が違うので一概には言えないが。こいつらは、眠らなくても平気ということと、数がたくさんいるということで、従魔たち専用に用意していたダンジョンで、物量で攻略しながら経験値を稼いでいるのだ。
ある程度Lvをあげたスライムたちは自由気ままに過ごすのだが、分裂したての生まれたばかりのスライムたちは、自由を謳歌するために寝ずの経験値稼ぎをしているらしい。
俺と遊ぶことのあるスライムたちは、古参が多かったりする。
頭数的には10:10:1といった感じだが、こちらの陣営に悲観した様子は特にない。他の国の兵士たちにはあまりいないのだが、ディストピアには兼任弓使いもいるので、遠距離攻撃の比率がかなり多くなっている。
他国では魔法兵だけが遠距離攻撃になりがちなので、その数を比べるまでもないだろう。防衛線ではかなりの脅威を発揮するのだが、この世界ではウォーゲームのような戦争以外はあまり起こらないので、魔法兵だけで足りてしまうのだ。
それに対してディストピアでは、敵が近付いてくる前に減らす。というのが常識になっているので、タンクを務めるメンバー以外は、大体が弓を使うことが出来る。
今回の戦争に参戦が決まった段階で、レイリーから普通より長い距離を飛ばせる弓の発注があり、DPで召喚して渡しているので習熟訓練を行っている。飛ばすだけなら400メートルは軽く飛ばせるので、牽制にはもってこいである。
魔法も飛ばすだけなら400でも500でも可能なのだが、意味のある威力を維持したまま魔法を届かせるのは難しい距離である。
ん? 何かおかしいって? 俺たちを基準にしたらダメに決まってるだろ。ピンポイントで500メートル先のターゲットを狙うのは面倒だけど、範囲魔法で薙ぎ払うのであれば、スキルLvと魔力のごり押しで簡単にできるからな。
このレベルの魔法使いは、大国でもそう多くない。ましてや20~30万人規模の国には、いても1人程度である。このレベルの国同士であれば、魔法の有効射程はよくて200メートル位とみていいだろう。
おっと、口上戦が終わったな。
向こう側2ヶ国の言い分は、自分たちの領土である魔の森の資源を勝手に使うのは許さない。戦争に負けたら使用料を払えといった感じだ。お前らの戦争だったはずなのに、何で俺たちへの要求になっているか不明だが……
それに対してこっちの言い分は、魔の森は実効支配が難しいのでどの国の領土でもない。いわれのない金は払うつもりはない、といった感じだったな。
本来なら、俺たちが参戦しなければ、魔の森の支配権を得るための戦争だったので口上戦で終わりだったのだが、俺たちが参戦したことにより俺たちが勝った場合の要求をする事になる。
払ういわれのない金を、払わされそうになっていたことに対するこちらからの要求、といってもいいかな?
とにかく、俺たちが参戦して勝っても現状と何も変わらないのだ。だから、勝った場合の何かを要求する権利がこちらに発生する、という解釈らしい。
それによって今回戦争に参加した国には、賠償金を払ってもらうことが要求された。
ウォーゲームには、国の指導者、王や皇帝が参戦することはまずありえない。高くても上から3~4番目くらいの権力者が、代表として参加する形だ。多くの場合は、騎士団長や軍務のトップが参戦して、体裁を整えるらしい。
戦争にホイホイ出てくる俺は、異端の存在だ。そんな異端の存在も生身でここまで来ているわけじゃないからな。生身で行こうといったら、ベッドに縛り付けられるのがオチである。
ドッペルで参戦することで、やっと許可が下りているのだ。生身程性能はよくないけど、かなり無茶な強化が施されているドッペルなので、この程度の相手であれば問題ない。
おっと、思考がそれているな。
レイリーから、今日が戦争の開始日なのだが、戦闘は恐らくないだろうと言われていたので、注意が散漫になっている気がする。
今日戦争にならない理由は簡単である。
いくら上位の人間が参加しているとはいえ、独断で賠償金を払う、という要求を呑むことはできない。したがって、国に確認を取らなければいけなくなるため、戦争が現時点で行われる事はないとの予想である。
もしここに来ているトップの人間が勝手に決めたといっても、戦争でもし負けて勝者からの要求を「そいつが勝手に決めた事だから、払う必要はない」とか言ってしまうと、国を巻き込んだ侵略戦争になるらしい。
俺はするつもりなどは無いが、帝国としては看過できないため、軍を動かしての本当の戦争になってしまう。
そして、ミソなのが「戦争に参加した国」という部分である。
これは、陣借りのように参加している国へのけん制である。もし参加して負ければ、陣借りで参加している国もすべて賠償金を支払わなければならなくなるため、本国に報告と確認をする必要があるのだ。
一番遠い国で、往復に2週間位だろうか? 報告に戻る時に乗るものにもよるが、そんなもんだろう。
レイリーと帝国のリーダーの予想では、最低でも1週間ほどは戦争が延期されるはずだ。
フラグを回収することなく、いったん自分たちの陣地へと戻っていく。
1万人を超える規模の人員の兵糧は、さぞかし高くつくだろうな。現場の人間を責めてもどうにもならないとは思うが、勝っても負けても両陣営のトップ陣は糾弾されるんだろうな。
糾弾されても、ならお前たちなら自己で判断できたのか? と言えば、一発で解決なんだけどね。
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俺たちは自分たちの陣地に戻り、一部の警戒者を除き自由時間となった。
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