ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1727話 とにかく試す

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 1つずつ案を実行していくのは、時間の無駄だろう。部屋も広いのだから場所を決めてやろう、ということになった。

 問題は、綾乃の人造ゴーレムの輸送だ。

 俺の支配地域ならゲートでどうにでもなるのだが、そんな事を考えていたら、バザールが「生き物でなければ、ダンジョンマスターの能力で向こう側に召喚できる」と言われた。

 そんな機能を知らないのだがと思ったら、こちらでダンジョンマスターの能力で、人造ゴーレムをDP変えて、向こうのダンジョンでDPを使って呼び出すというものだ。

 DPが大分かかるが、余っている俺なら何の問題も無いだろう。

 人造ゴーレムを1体DPに変えると、召喚する時の半分くらいのDPしかもらえない。そして、召喚するのに必要なのが、Sランクの魔物より高い……かなりの大損なのだが、DPがあり余ってる俺には問題ない!

 俺たちは次の日、良く分からない部屋に作った拠点で待機していたドッペルたちに憑依する。

「さて、2日目の始まりだな。俺は魔核を作ってそこらへんにばら撒くから、みんなは穴を掘ってさっき召喚した魔石爆弾を埋めて、発破してみてくれ。1ヵ所はどれだけ深く穴が開くか実験もしてみてくれ」

 キリエが指示を出すかと思ったら、今日は俺の指示から始まった。

 魔石爆弾は、召喚することが可能だったので、Aランク相当の魔石で作られた物を召喚している。Sランクの魔石でもできたのだが、Aランクでも過剰ではないか? という話になり、Bランクの物にしようかと思ったが、いつの間にかAランクで落ち着いていた。

 俺も話し合いに参加していたんだけど、本当に気付いたらそうなっていたのだ。寝てたわけでもないのに、本当に意味が分からなかった。

 あ、今日は珍しく護衛が誰も付いてないよ。ドッペルということもあるし、魔物が確認できなかったというのもある。そしてなにより、人造ゴーレムも召喚しているのでこいつらが守ってくれるのだ。あれ? これだと護衛はいるな。

 そういえば、普段は護衛って呼んでるけど、実際は監視役だったはず・・・俺はいつから護衛だと錯覚していたんだ!?

 妻たちは準備をして出て行ったが、俺はまだしなければならない事がある。人造ゴーレムは召喚したので、指定範囲内を強制的に熱する魔核を作らなければいけないのだ。

 特に何個作るとは決めていないが、範囲を狭めて高温にするプログラムにするので、たくさんばら撒かなければならないと考えている。

 結構な間隔をあけてばら撒く方がいいのか、範囲が重なるくらいギュウギュウに詰めて設置する方がいいのか分からないので、一応両方をも仕掛ける予定だ。

 鼻歌混じりに召喚したAランクの魔石に、クリエイトゴーレムを使い目的の魔核を作成する。

 クリエイトゴーレムを使い続けて30分ほど、大体4秒で1個のペースで作っていたので、約450個程魔核を準備できた。結構ハイペースで作っていたつもりだけど、思ったより作れなかったな。

 実験の意味もあるから、さっさとばら撒きに行こう。

 初めは適当にばら撒き起動していく。半分ほどばら撒き終わり、残りは密集させて設置していく。

 このときに役に立ったのが、人造ゴーレムだった。

 人造ゴーレムは、高性能AIを搭載した機械のような物で、俺の指示に従って色々動いてくれるのでかなりの活躍だった。

 効果範囲を半径1メートルにしているので、大体190センチメートル離れた位置に、魔核を置いていってほしいと指示すると、正確に測ってどんどん設置してくれたのだ。人がやろうとしたら、ここまで正確に素早くできなかっただろうな。

 よし、これでばら撒き終わったな。

 後は、拠点に戻って人造ゴーレムたちに床を壊し続けてもらえばいいかな?

 拠点に近付くにつれて、妻たちが発破している場所にも近付くので、発破している音が響いてくる。先ほどまでは、吹雪の所為で全く聞こえていなかったけど、発破の音が聞こえるってことは結構近くに来たのかな?

 そういえば雪って、音を吸収するって話だよな。雪が降っている日は、いつもより静かに感じるみたいだしな。実際に振動を吸収するため、条件次第ではかなり静かになるのだとか。

 吸音室に似た原理とか?

 部屋の壁や天井に凹凸をつけて音を吸収するあれだ。雪と凹凸が同じような役割をして、音を吸収するみたいだな。まぁ、吸音室の場合は凹凸の素材によっても、かなり左右されるらしいけどね。

 今思い返すと、吸音室って圧迫感があって嫌いだったんだよな。雪の日も、風が無いと圧迫感があった気がする。度合いは違うけど、同じものを感じていたのかもな。

 音を吸収する雪に、吹雪いて音が拡散というか遠方に届きにくくなっているはずなのに、聞こえるってことは結構近くにいるのかな?

 吹雪に目を細めながら、発破の音が聞こえてくる方へ向かって歩いていく。

 考えている倍の距離を歩いたが、妻たちの姿は見えてこなかった。

 音は近くなっているのに、おかしいな。

 首をかしげて歩いていると、頬に鋭い痛みが走った。

 触ってみても、ステータスの高いドッペルの体は傷一つないが、頬に痛みが走ったのは事実だ。何かが高速で当たったのだろう。ステータスが高くても、不意打ちの時は痛みを感じるんだから不思議だよな。だけど、地球基準で考えれば死にそうなことでも、無傷で痛みだけ感じることもあるのだ。

 なんでそんな事が分かるかといえば、ユグドラシルから重さ5キログラムを超えるような実が、頭の上に落ちてきたことがある。少なくとも数百メートル上から落ちてきた、重さ5キログラムの実が頭に当たれば、頭が潰れるんじゃないか?

 そんな事があっても、痛っ! で済んじまったからな。その時は、いつもみたいにスライムがふってきたかと思ったけど、確認して戦慄したもんだ。

 いくら構えていても、あの実だったら死にかねないと思うんだけど、この世界の良く分からないルールが適応されて、無傷だったんだと思う。

 完全防寒で身を固めているが、さっきからレッドドラゴンの鎧に何かが当たっている音がするんだよな。硬質な音でパチッパチッ……みたいな?

 それと、発破の少し後にこの音が多く聞こえる。って、まさか! 発破した破片が飛んできてるのか!? 発破の勢いと風の勢いをプラスされて、頬に痛みを感じたのか? んなバカな。いくら吹雪でも、発破の勢いより速度は速くないだろ、減速しにくくなっているかもしれないけど。

 ようやく、たどり着いた。そこには、めっちゃ深い穴がたくさん開いていた。

 どうやら、Aランクの魔石爆弾は予想以上の威力だったらしい。ドワーフたちの話では、ここまでの威力はなかったはずなのだが。

 同じランクでも品質が最低と最高では、天と地ほどの差が出るのだが、ここにいる誰一人としてその事を知らないのだ。

 その威力を存分に使って、色々と穴を掘っているようだ。

 深く穴を掘ってもらっている場所だが、10メートル程掘り進めたら硬くて掘れなくなったそうだ。ここまでが魔物の体だったりするのかね?
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