ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1792話 何をしているか聞きたいが、怖い

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 午前中に大きなトラブルはあったが、それ以外はいつも通りだった。

 準備してもらった昼食を食べながら、付き添いで一緒に来ている従魔の4匹を見る。こいつらの食事もシルキーたちが特別に作ってくれている餌だ。本当に美味そうに食うな。俺にもちょっと食わせてくれ。

 ん~ほとんど味がしねえな。なんというか、素材の味しかしないな。お前たち、俺の食事ももらって食べてなかったか? 塩味がしなくても、美味く感じるのか?

 ダマが言うには、素材の味は素材の味で美味い。味付けがあっても、俺の味覚に近い召喚された従魔たちは、それでも美味く感じるんだとさ。あれ? っつーか、お前は俺が召喚してないのに、何で平気なんだ?

 それは……シルキーたちの飯が美味いから? あ~それなら納得だわ。確かにシルキーたちが指揮して、ブラウニーたちが作ってくれる飯は美味い! それは揺るがな事実だ。お前さんの味覚は、人に近いんだな。

 お腹がいっぱいになったら、急に眠気が……午前中に色々あったからな。ダマ、ちょっとこっちゃにこい! 後、テトも来るのだ。ランはそこに横になって、前足はそのままにしてくれ。

 ダマとテトは俺の抱き枕、ランは俺に腕枕、そしてライは……ランと反対側に陣取り、俺をサンドイッチする感じだ。モフモフに包まれて、昼寝をすることにした。1時間ほどしたら起こすようにお願いしておく。

 ダマのモフモフは、モコモコなんだよ。言うなら……柔らかいタオルといった感じだろう。それに対してテトは、サラサラで気持ちがいいのだ。ランとライはフッカフカだ。

 気付いたら時間になったようで、起きるように声をかけられるが、至福のモフモフたちが俺を起きさせてくれない。俺の鋼鉄のハートをもってしても、起きることを許してくれないのだ! あいたっ!

「変なこと考えていないで、起きてください。仕事をするのではないのですか?」

 シュリに、モフモフに包まれて幸せを感じていることを、変なことと言われちょっと抗議を始める。この幸せがお前にはわからんのか? この幸福感が! あっ、すいません。そろそろ起きます。

 俺は、シュリの無言の圧力を受け、体を起こす。こいつらは、家に帰ると娘たちの近くへ行くので、ここでしか堪能できない幸せだったのにな。

 近くに行くけど、一緒に寝れないかわいそうな従魔たちだ。それなら俺のとこに来いと思うのだが、俺の所には妻たちが来るから追い出されることもあるんだよな。

 さて、午後の仕事を……グリエル、なんだ?

「午前中の報告へ来ました。領主代行補佐は、無断雇用と雇用した人間の職務怠慢の責任を取らせ、クビにしています。無断雇用で雇われた奴は、職務を怠り賃金を受け取っていたため、罰金を支払わせ街外退去をさせています」

 おぉ、街外退去って言ってるけど、実質フレデリクにも入れないから、無一文で隣街……近くの王国の街へ行くのだろうか? それとも、連帯責任でクビになった親族の人が、その援助をするのだろうか?

 あ、連帯責任を取らされた親族は、追放された奴を激しく罵って門の外でボコボコにしたのか。親族だったとしても、領主代行補佐の地位に就けたのに、あほの所為でクビになったんだから、それも当然の行いか? でも、お前が雇わなければよかったんだけどな!

 それで、他の街の人事も確認したところ、報告の上がってきていない人事がいくつかあったようだ。ただ、無断雇用ではなくしっかりと、各街で相談して雇っているので問題はなさそうだった。

 2つの街を1人に任せて、そして片方を代行補佐に任せてしまった、こちらから派遣した俺たち上層部のミスだ。だから、領主代行への罰は無しだ。グリエル、2つの街を兼任は止めよう。1人で1つの街にしよう。ということで、人事の調整お願い。

 街のトップは必ず、お前たちの部下を派遣してくれ。絶対だぞ! 俺の街なのに、俺の意思が反映されないのだけは勘弁してくれ。あっ、グリエルたちが街を欲しいなら話は別だけど……いらんだろ?

 お前たちは良く分からんが、俺がトップでいることにこだわるからな。

 じゃぁ、張り切って午後の仕事を……って、まだ何かあるのか?

「人事に関してなのですが、もう1つ聞いておきたいことが……」

 ん? なんだ? 人事で何か問題でもあったか?

「えっと、ディストピアの学校を卒業した中で、優秀な成績を収めた者を起用してもよろしいでしょうか?」

「それって、何か問題でもあるのか? 優秀ならどんどん雇えば良くないか?」

「そうなんですが、シュウ様のお墨付きがあれば、ゴリ押しできますので何か証明書みたいなものがあれば、お願いしてもいいですか?」

「お墨付きが無いと、何か問題なのか?」

「私たちの部下であれば問題ないのですが、現地採用の人間には、自分より年下が上司になると……色々ありましてね。バカなことをしでかす奴がいるんです」

「俺のお墨付きがあっても、それは変わらないんじゃないか?」

「それは無いです。各街に派遣されているブラウニーたちが、教育に参加していますので、シュウ様には逆らわないように教え込まれています。軍隊以上に色々厳しいですね。絶対に、シュウ様とブラウニーたちには逆らいません」

 何をしているんだ、ブラウニーたちは……

「まぁ、お墨付きだけで、優秀な卒業生が気持ちよく働けるなら、いくらでも書くよ。どういう風に書けばいい?」

 グリエルに聞きながら、卒業生のためにせっせと書いていく。だけどさ、俺が書いたって分かるのかね?

「シュウ様、ブラウニーたちが各街に散っている中で、シュウ様の名前を使って偽造する人間なんていませんよ。もしいたとしても、既に排除されています。私も、シュウ様の名前を使う時は、シルキー様たちに確認を取って使っています」

 なんだそれ? グリエルたちには、自由に俺の名前を使ってもいいと言っているけど、事後報告だけはしてもらっているので、問題は無いと思う……が、事後報告の前に、シルキーたちに確認を取っているんだな……偽造したのを使えば、どうなるんだろう?

「えっと、本当にお聞きしたいですか? 聞きたいのであれば、お話ししますが……覚悟をして聞いていただくことになると思います」

 考えていることがバレているのは今更だけど、それ以上にシルキーやブラウニーたちが何をしているのか気になるが……怖すぎる。触らぬ神に祟りなし! 兵法三十六計、逃げるに如かず! 不利になったから、離脱する!
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