ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,800 / 2,518

第1800話 ブラウニーたちの不満

しおりを挟む
 お昼まで、少し時間が空いてしまったな。っと、そうだ! スプリガンの皆さんに、勇者たちの様子を見ておいてもらわないといけないんだった。勝手に死なれても困るから、程よく調節してもらわないといけないのだ。

 忘れる前にスプリガンの皆さんに、お願いしに行こうではないか!

 食堂から出ようとすると、スカーレットが近寄ってきて、どこに行くのか聞いてきた。最近はそんなこと気にすることも無かったのに、珍しいこともあるもんだ。ダンジョン農園の話をすると、相談したいことがあるのでお供しますだってさ。

「スカーレットが相談したいことって、珍しいな。何か問題でもあったのか?」

「問題と言えば問題なのですが、それもシュウ様のおかげで、本来なら問題になりえないことで……」

「スカーレットにしては、煮え切らない感じで濁しているけど……なんなんだ? 怒らないから、言ってみ」

「ありがとうございます。私たちが、各街や関係者の所へブラウニーたちを派遣しているのは、知ってますよね?」

「もちろん、それで助かっていることが多いからな。特にヴローツマインのドワーフたちには、熱狂的なファンがいるくらいだと聞いているぞ。それで何か問題が出たのか?」

「とても嬉しいことです。それは問題ではないのです。ブラウニーたちは、一定期間で働く場所を転々としています。その時に移動するのに、魔導列車を使って移動しているので、時間的な話をすれば大きな問題にはならないのですが、ブラウニーたちから移動が面倒だと、苦情が来ていまして……」

「あ~そういえば、働く場所をちょこちょこ変えているんだっけ? 移動が面倒というなら、その場所固定にしたらいいんじゃないか?」

「えっと、とても言い難いのですが、ブラウニーたちにも働きたい職場ランキングみたいなものがありまして、固定にするとそこで働けないので、固定にすることも出来ないのです」

「へ~ブラウニーたちにも、働きたい場所にランキングがあるのね。どこが1位なんだ? 飯を上手そうに食ってくれる、ドワーフが沢山いるヴローツマインの食堂とか?」

「いえ、一番は、シュウ様の近くで働ける、シュウ様の家付きですね。次に人気なのが、各街の領主館、ヴローツマインの食堂も上の方ですが、シュウ様の家付きが断トツで人気が高いです」

「……そうなの? 言っちゃ悪いけど、食事を作って掃除して、教育も手伝ってもらってる……家では便利屋みたいに、使ってる気がするけど……」

「何を言っているんですか! 元々精霊界で生活していましたが、シュウ様に呼び出されてこの世界に来たのです。召喚してくれた人の近くで働きたい! と思うのがおかしいことですか?」

 おうふ、めっちゃ怒ってる。いや待て、

「召喚したっていうけど、俺が召喚してたのって初期の頃だけだろ、後発組は俺にはこだわってないだろ? 何で人気が高くなるんだ?」

「シュウ様が呼んでいないだけで、ガルドやノーマン、アクアにメイと、シュウ様に呼ばれた精霊がこちらに召喚してくださっているので、シュウ様がトップに来るのは当たり前なんです!」

 ん~精霊界の常識は分からん。

「あ~で、何が問題になっているんだっけ?」

「移動時間です。ブラウニーたちも可能なら、毎日働く場所を入れ替えて、少しでもシュウ様家で働きたがっているんです。でも、短くなっているとはいえ、魔導列車では毎日働く場所を変えるのは厳しいのです」

「あ~何が言いたいか分かったわ。移動時間を短縮できる、ゲートを使いたいということか」

「はい、基本的には移動に使わないと仰っていましたので、無理だとは言っているのですが、ブラウニーたちの監督者として、体裁的に相談しないわけにはいかないので、ちょうどいいタイミングだと思い相談させていただきました。断っていただく前提の話をするのは、心苦しかったのですが……」

「いや、気にするな。シルキーやブラウニーたちには、すごく助けられているからな」

「そう言っていただけるだけで、私たちは十分です。では、みんなに伝えてまいります」

 そう言って離れていくスカーレットの襟を掴んで止める。

「結論を出していないのに、何を伝えると言うんだよ」

「いえ、相談したという事実と、ゲートは使えないということを伝えれば、苦情を出していたブラウニーたちも静かになりますので」

「俺的にはマイワールドの1つに、ブラウニーたちの住む空間を作っていいと考えている。誰にでも利用できると困るので、小柄で飛べる特性を考えて、入りにくい位置にブラウニーたちのサイズのゲートを作れば、ほとんどのモノが使えなくないか?」

 俺は考えたことをスカーレットに伝えてみた。

 ゲートは、サイズによって通れる最大の大きさが決まっている。なので、ブラウニーたちのサイズで作ると、人間はほぼ通ることはできなくなる。そのサイズのゲートを、高い位置などに設置すれば、ブラウニーたち専用のゲートが完成するという仕掛けだ。

「本当によろしいのですか?」

「そのマイワールド内の管理も、自分たちでしなきゃいけなくなるけど、それは大丈夫なの?」

「移動時間が減り、仕事が増える分には文句を言う者はいません!」

「了解。じゃぁさ、ゲートを用意してほしい場所を、書き出しておいてくれないか? マイワールド内のことは、建物や家の周りの環境など、全部そっちに任せるためにDPを渡すけど、ゲートだけは俺が設置するから、場所が分からないと設置できないからな」

「分かりました! 数日中に、働いている全職場をピックアップさせていただきます!」

「っと、まてまて、ブラウニーたちの家でゲートを設置する場所の指定だけは、させてもらいたい。ゲートは1つの個室に1個、縦でも横でもいいから、ゲートを設置する個室の入り口が監視できるように、ゲートの設置エリアを作ってほしい」

「一部屋に1個は分かりますが、部屋の出入り口の監視ですか?」

「監視って言うと何か言葉が悪いけど、ブラウニー以外が何かの理由で、使って移動してきた場合のためかな。想定しているのは、スライムなんだけどな。カメラを設置して、どこにどれだけ移動したかとか分かるようにしておきたいんだ」

「そういうことでしたか! スライム以外にも、呼んでいないナニカの可能性もありますし、護衛役はおいていただけるのですか?」

「何か考えておくよ。箱の方は後で作っておくから、シルキーたちが監督して、マイワールド内をいじってくれ」

「了解しました!」

 スカーレットは飛んでいるけど、足取り軽くブラウニーたちのもとへ向かった。

 ブラウニーたちに用意するなら、ドリアードとかスプリガンのみんなにも、各精霊毎にマイワールドがあった方が良いか? 後で聞いてみよう。

 スプリガンの皆さんが詰めている監視室で、勇者たちの監視を頼み、死にそうになったらそれとなく魔物を、引かせるように指示を出してもらった。

 そこでマイワールドの話をすると、今ある物で十分だと言われた。もしお金DPをかけるのであれば、環境をもっと良くしてもらいたい、だってさ。

 十分なんだけど手間をかけるなら、もっとここをよくして! というのが、スプリガンの皆さんの意見のようだ。一番面倒なところを頼んでいるので、喜んで住環境をいい物にしてあげましょう! 誰でもいいから、魔改造に付き合ってくれる人材よ来てくれ!
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...