ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,816 / 2,518

第1816話 正義の断罪者現る

しおりを挟む
 俺がこの場に呼んだ3人とは……正義の断罪者、ホモークエンペラーのオリバーとホモークインペリアルガードのジャックとオスカーだ。元々オークの変異種、ブラッドオークのさらに変異種のホモークと呼んでいた奴らだ。

 実はこいつらの実力というかポテンシャルは、Sランクに匹敵する。いや、匹敵するというか、Sランク以上なのである。

 俺はすっかり忘れていたが、ブラッドオークはオークの変異種なので、オークより2ランク上。この段階で上位種のジェネラルと同格なのである。そしてホモークは、ブラッドオークの変異種なので、更に2ランク上になる。

 この事実は、ホモーク自体がジェネラルの更に上位種である、オークキングと同格ということだ。

 気付いただろうか……ホモークがAランクなのだ。こいつらは、ホモークの上位種である、ホモークエンペラーやホモークインペリアルガードなのだ。

 さすがにAランクの上位種だからと言って、SSランクになるかと言えばそうではないのだが、ホモークの強化種はAランク最上位という強さだが、上位種となるとSランクといっても過言じゃない。

 そして、ホモークインペリアルガードでSランクなのであれば……ホモークエンペラーはさらに強い。SSランクは無理だとしても、Sランクの中でも最上位だろう。

 そもそも、Sランク以上の魔物は天災みたいなもので、現れたら被害が出るのは当たり前みたいなものなのだ。便宜上ランクをつけているが、Sランク以上は下から見れば差など分からない。例外として、リバイアサンみたいな超天災級もいるが、今回は放置で。

 でだ、こいつらの恐ろしいところは、ホモークということもあるのだが……それ以上に、自分に厳しいのだ。いうなれば、ストイックに自分をしごき倒す変態ともいえる。

 正直、模擬戦でホモークエンペラーのオリバーと戦えば、100回戦って1回勝てるかどうかだと思う。その理由は簡単で、人間より魔物の方がポテンシャルは圧倒的に高い。それなのに、俺よりLvが高いのだ。

 俺が900後半に差し掛かったばかりなのに、このホモークたち……自分たちをイジメ倒して、Lv999という、この世界の上限にまで達しているのだ。俺みたいに、自由にしているわけではなく、男性性犯罪者の相手と、ゴーストタウンの見回り以外では、戦闘訓練ばかりしている、ガチのやべー奴らなのだ。

 あまり触れたくなくて放置していた結果、誰にも手が付けられないところまで進化してしまっていたのだ。

 でだ、俺とオリバーのステータスを比べると……3割増しくらいで、オリバーの方が高い。チビ神によって改造した俺の体のステータスを上回っている。模擬戦でいい勝負ができるのは、シュリくらいだろう。

 ちなみに俺たちは、スキルの宝珠で覚えた剛腕など、ステータスの一部を大幅に上げるスキルを、こいつらは自力で覚えていたため、もうね……手が付けられない。

 従魔たちのヒエラルキーが高くなく、俺の従魔たちの言うことを聞くことが、せめてもの救いだった。

 まぁ、模擬戦なら勝てないけど、何でもありの勝負になれば……多分9割以上の確率で勝つことはできるだろう。本当に手段を選ばなければね。

 こいつらを連れてきたのは、性犯罪者だと分かったからだな。目には目を歯には歯を! だ。

 自分が弱者の立場になったときの痛みを知れ!

 いくらこの勇者が強くても、戦闘系のスキルではないため、勝ち目は薄いだろう。ステータスは、絶望的な差があるからな。俺たちでも負けることは無いと思うが、更に強いこいつらを引っ張り出してきたのだ。

「さぁ、覚悟はいいか? 俺の従える亜人系の魔物で一番強い、オークを連れてきてやったぞ」

「はん、たかがオーク……いや違うな、オークにしては筋肉質すぎる……こいつは、変異種のブラッドオークだな。悪魔の所業をしていると言った割には、こんなクソ雑魚を引っ張り出してくるなんて、本当はお前、弱いんじゃないか? こんなクズにいいようにされた聖国の上層部め、後で焼きを入れてやる」

「あ~、たかがオークだけど、こいつらを舐めない方が良いぞ。死ぬほど後悔するからな」

 俺たちが会話をしている間にも、ホモークたちはブヒブヒと会話をしていた。だからお前ら! ゴーストタウンにいる時みたいに、人間の言葉でしゃべれやボケ!

 様子を見るにジャックとオスカーは、この勇者に興味が無いらしい。こいつらの好みは、ガチムチ系と細マッチョみたいな筋肉のあるタイプだったっけ? それに対して、エンペラー……皇帝の名に恥じない器のデカさのオリバーは、部下に悪食と言われるほど何でもござれなのだ。

 ブッヒッヒ! じゃねーよ。気持ち悪いから止めろ! 3人連れてきたがジャックとオスカーは、オリバーがピンチにならない限り助けに入らないようだ。

「腐れオークが! いっちょ前に1人で戦うだと……勇者を舐めるんじゃねえ!」

 俺は思わず、爆笑してしまった。妻たちの何人かも、俺と同じ思考に辿り着いたのか、苦笑している。

「てめえら! 何がおかしいってんだ! マジでぶっ殺してやるからな! 特にお前の女どもは、お前の前で犯してやるから、覚悟しておけよ!」

 更にボケをかますのか、俺は腹を抱えてしまった。

「お前、頭おかしいのか? 自分の女たちを犯されるって言っているのに、笑うとか……本当の変態か?」

「いやいや、おかしいのはお前の発言だよ。腐れオークって言ってるけど、お前らの行ってきた所業は、オーク以下の行いだぞ。オークは繁殖のため、他の種族のメスを使うが、お前らは自分の欲望のためだけに、女性を犯してるじゃん。

 オークは生存本能として女性を犯すのに対して、お前らは欲望の捌け口で女性を犯す……オークはそう作られた魔物だから世界の摂理なんだよ。でもお前らは……自分の快楽のためだけじゃん。オークより下等な奴が、腐れオークって……オークに失礼なんだけど」

 俺がそう言うと、理解していなかった妻たちもやっと理解したようで、みんなで笑っている。

「笑っていられるのも今の内だ。その男の側に付いたことを後悔しろ!」

「あ~最後に言っておくけど、お前の前に立っているそのオークな、オークの変異種のブラッドオークの更に変異種のホモークという、特殊な個体の1人だ。そしてその特殊な個体の中でも、更に特殊……オークで言えばキングと同格のエンペラーという存在だからな。気張って戦えよ。

 そいつらを倒したとしても、100以上の魔物や人間がここに入ることを忘れるなよ」

 俺がそう言うと、休憩なしで俺ら全員と1人で戦うことに考えが至ったのか、若干ひきつっている顔をしていた。だけどお前が気にするのは、俺らじゃなくて、目の前のホモークという存在だぞ。

 頭のいい人間や戦闘勘のいい人間なら、Aランクでは済まない強さを持っていると理解できただろうが、勇者の称号に胡坐をかいていたこの男には、それは理解できないだろう。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...