ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1857話 次の一手のために

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『そうですか……今回はダンジョンマスターが関わっていなかったことは喜ばしいですが、それ以上に問題な神が関わっていたんですね。最近は大掛かりに仕掛けてきていなかったので、失念していましたね』

 大掛かりに? そう思っていると、俺が知らないだけで、勇者が度々街に向かおうと俺たちが作った壁を通ろうとしていたり、因縁をつけてこちらの兵に武器を抜いたりして処分されていたらしい。俺、まったく知らないんだけど……報告書にもなかったよね?

 報告書に無かったのは、中立地域内ではなく帝国や王国側で処分していたので、あえて書いていないらしい。何かあったときに問題にならないように、グリエルたちに口頭での報告を上げるだけにしていたようだ。

 帝国や王国側で処分しても問題があるのでは? と思ったのだが、帝国と王国とは話が済んでおり、勇者とその一行に関しては、中立地域の端から1キロメートル以内に入った場合は、国による保護は無いと言う法律まで作らせていたようだ。

 勇者の関係者限定で、緩衝地帯である1キロメートルは無法地帯になるため、こちらにも関係はありませんというスタンスを取るらしい。もちろん、冒険者ギルドから大々的に交付しているので、知らなかったでは済まされない状況にしてある。

「知らなかったわ。それはともかく、ダンジョンマスターが無限に生み出しているわけではなく、神が限定的に神託という形とアイテムを授けて狙ってきたのは、まだ救いかもしれないな……神託の数が増えて、無差別に送り込まれたら困るけどな」

『ダンジョンマスターにしても神にしても、面倒ですよ。禁薬の監視は強めていますが、検索のインターバル中に収納系のアイテムに入れられたら、こちらでは調べようがありませんからね……街に入る収納系のアイテムの中身を全部調べるなんて、不可能ですからね』

 確かにな、収納系のアイテム内は、調べることは出来ないからどうしようもないな……

「でもさ、それだと神側が有利すぎると思うんだよな。この世界をゲーム盤としてしか見ていないし、現地の人間まで駒として使えるようになれば、圧倒的にこちら側が不利になる……創造神の爺は、多少こっちに不利にすることはあるけど、対応できないような不利は今までになかったと思うんだよな」

『色々と文句を言いたい相手ではありますが、確かに一時的に不利になることはあっても、対応できないようなことはありませんでしたね。気になったんですが、神託ってどういった人が受けられるんですかね?』

「嫁たちは、チビ神に祈って神託貰ってたから、祈りを基準にしてるとか?」

『あやふやですね……チビ神に聞いてみたりできないんですか?』

「あ~ちょっと聞いてみるわ」

 グリエルたちとの会話を切って、チビ神に念話を送りつけるイメージで呼びかけてみる。3回ほど試してみたけど、繋がる気配がないな……別に神託が禁止になるような状況じゃないから、チビ神が何かしてるのか? あいつが嫌っている、どす黒い感情を向けてみた。

『ピィッ! な、なに? って、またあんたなの! それ止めてって言ってるじゃない!』

 いや、話しかけて見ても繋がらなかったから、こっちに意識を向けさせるためにな。神託が禁止になってなければ、この方法で繋がりそうなのはいい情報だ。

『本当に止めてよね……で、話しかけてきてるってことは、何か用なの?』

 一応聞きたいことがあってな。答えられないことだったら、答えられないって言ってくれればいいから、質問だけするわ。現地人への神託って、どういう基準で届くんだ? うちの妻たちみたいに、誰かを指定して祈らないと無理なのか? それとも、一方的にできるもんなのか?

『そんなことが聞きたいの? 変わってるわね。あんたが現地人と呼んでいる人たちには、基本的にどの神でも神託をすることができるわよ。だけど、どの神かしっかりと考えてする祈りは、より強く神に届くわね。一方的な神託は、内容にもよるけど見向きもされないことが多いわね。罰当たりが多いのよ』

 罰当たりね……ゲーム盤に駒としか思っていないような奴らに、祈りをささげるなんて稀だろうに。それでも、利用できると感じた人間に神託を出せば、今回のようなことが起きるのか……

『今回のようなことってなによ?』

 最近のチビ神は、変化のない世界を見ているより楽しい、ゲームや小説、アニメに漫画と忙しく、こっちのことをあまり見ていなかったようだ。なので、ダンジョンで起こった魔力爆発と、その経過を説明してやった。

『そんなことが起こってたのね。あんたの所のガードが固すぎて、面白みがないわね。もっと面白いネタを提供しなさいよ!』

 相変わらず自己中な奴だ。あ~それとさ、ダンジョンマスターの能力拡張で、収納系のアイテムの中も検索できるようにできないか?

『……何で収納系の中まで見たいの? 見てもしょうがなくない? 奪うわけでもないし、変なものが入ってたら萎えるわよ』

 萎えるような変なモノも気になるが、今回の魔力爆発を起こすのに使われた、禁薬を調べられるようになればって思ってね。今回はゴーストタウンで、たまたま俺がいて強化が間に合ったから、被害を最小限に抑えられたけど、ダンジョンの外の街であれが起きれば、千人単位で死者が出るからな。

『なるほどね……確かにあなたにとっては、都合が悪いわね。収納のアイテム内を調べられても、手元に取り出すことができないから、ダンジョンマスターはあまり使わない機能なのよね。使えるようにはできるけど、さすがに何もなしに使えるようにすることは難しいわね』

 ……で、俺に何をさせたいわけだ。娯楽の提供なのは分かっているけど、どこかの国を攻めろとか面倒なことは嫌だぞ。

『そんな時間のかかることを、娯楽にするわけないじゃない。あんたが勝手に始めたならともかく、こっちからお願いするなら……ダンジョンバトル一択よ!』

 神のダンジョンは全部攻略したから、それしかないわけね。お前が提案するってことは、何か条件を付けて戦えってことだろ?

『そう言うことよ。あんたのために面白いダンジョンバトルの内容を、いくつも考えていたから、その中から1つ選ぶから待ってなさい!』

 何やら紙が擦れる音が聞こえてくるが……何の音だ? たくさんの紙同士が擦れて……選ぶってくじ引きか?

『分かってるじゃない! あなたに出すお題は……ジャカジャカジャカジャカジャカジャン! 一対複数の防衛戦! でも、リバイアサンは使っちゃだめだからね!』

 複数ってどんくらいだ?

『え、何言ってるの? 募集期間1週間で、応募してきた全員と1人で対決するのよ。防衛期間は1週間、使っていいダンジョンは、一辺1キロメートルの5階層、6階にボスを準備してそいつが倒されたら負け! DPの上限は無し! あんたに有利だけど、下手したら三桁のダンジョンマスターが挑んでくるかもね』

 1つのダンジョンで複数を相手にするんだよな? 三桁も入ってきたら、敵同士が潰し合ったりするんじゃないか?

『そこは安心して! あなたから見て敵性ダンジョンマスター同士は、排除しあわないように創造神様が調整してくれているわ!』

 全然安心できないわ……もう一度確認するけど、1階から5階までは一辺が1キロメートルで、6階にボスを置いて、リバイアサンの使用は禁止ってことでいいんだな?

『そうね、それで間違いないわ。あ、ダンジョンへの入り口は、最低でも4つは作るようにって書いてあったわ』

 出入り口だけ4つね……いくつでも関係ないだろ。相手の数が分かったら教えてもらえるのか? それと勝たないと、検索機能は強化されないのか?

『数は、分かったら教えるわ。あなたの名前が出るわけだから、相手の名前を分かるようにするのは当然ね。勝たなくても、さすがにこの条件であんたが勝てる確率は低いから、私たちを楽しませたら強化してあげるわ』

 ふんわりとした感じだな……やるからには勝つつもりでやるから楽しみにしておけ!

 俺が圧倒的に不利な、変則ダンジョンバトルが組まれることとなった。
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