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第1990話 作ってみよう
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仕事が終わり、子どもたちと昼食を一緒に食べたある日の午後。
下の子たちは、午前中に暴れまわるほど遊んでいたようで、昼食を食べ終わるとお昼寝の時間ということで、子ども部屋へ戻ってしまう。ミーシャたちは、勉強をするとのことで、そのまま食堂に残り妻たちの誰かに教えてもらうようだ。
ウルは、少し難しいことを勉強しているようで、分からないことをシルキーや母親に質問して、自分なりにまとめているみたいだ。最近は、グリエルたちの所にも行っているみたいだ。小さいうちから、根を詰めすぎてほしくないけど、本人がしたいと言っているので見守っている。
無理をしそうになったら、強引に甘えさせればいいだろう。
俺はすることが無いので、庭に出てDIYをしている。ずっと思っていたのだが、家はある、広い庭もある、池もある、バルコニーは無いけど屋上でいろいろできる……でもさ、ウッドデッキみたいに、くつろげるスペースがないんだよな。
なくてもくつろげるから、問題ないのでは? みたいなことを言われるけど、やっぱりほしい訳よ。だから、自分で作ってみることにした。
思い立ったが吉日! 子ども部屋から食堂の窓に繋がる、結構広い範囲をウッドデッキに変えてしまおうと計画を立てる。
格好から入ろうと、濃い青色のツナギを着て、紺色の帽子をかぶる。よし、これで大丈夫かな?
1人では面倒なので、助っ人を呼んでいる。スライム君たちだ。こいつらは数も多いし、力も強い。いろいろと便利で、どこにでもいるので声をかけたら、たくさん集まってきてくれたのだ。
俺がツナギを着て帽子をかぶると、自分たちも欲しい! みたいに騒ぎ出した。さすがに服は着れないから、俺がかぶっている帽子の色違いをあげよう。並べておくから、欲しい色を持っていくんだぞ。
よし、準備を始めよう! っとその前に、俺には建築の知識はほとんどないので、専門家を呼んでみよう。隣にいても聞こえるか分からないような小さな声で、
「建築知識のある人がどこかにいないかな? 来てくれたら、新しい酒を……」
と、そこまで言いかけたところで、鍛冶工房エリアからドドドドドド、と走ってくる音が聞こえた。やはりあの爺さんたちには、俺のというか、新しい酒という部分が聞こえており、我先にここへ向かってきているのだろう。
地面を削るような勢いで、ブレーキをかけ、酒について質問してきた。
っとその前に、お前ら汗臭いわ! スライムたち、こいつらを露天風呂に放り込んできてくれ、体をしっかり洗ったらこっちに来る許可を出してくれ。
ギャーギャー騒いでいるが、スライムたちの数の暴力には敵わず連行される。
一応拙い知識でバレルの街の初めの建物とかを建てた覚えはあるが、力技で建ててた覚えがあるんだよな。木にコーティングをして地面に突き刺したり、クリエイトゴーレムで繋ぎ目を無くしてみたり、本当に力技だったっけ?
って、まだギャーギャー言ってるな、体を洗うだけでいいんだから、そんなに騒ぐことも無いだろうに……
何気なく使った言葉だけど、DIYってどういう意味なんだ? ブッ君の中に入っている辞書を出して、検索してみる。
Do It Yourselfの略語で、「やってみよう」って意味らしい。日本語で訳すと……素人が、何かを自分で作ったり修繕したりすることって、俺は素人だけどドワーフの爺様方に教わりながらだと、DIYになるのだろうか?
なんて、どうでもいいことを考え始めていた。
っと、忘れる前に爺様方の報酬を準備しておかないとな。
「誰かいるか?」
そう呼ぶと、食堂の窓から俺用の冷たい飲み物を持って来てくれたブラウニーが返事をしてくれる。
「はいはい、どうなさいましたか?」
「ちょっと前に、新しいお酒を作ったって言ってなかったっけ?」
「作ったと言いますか、畑エリアで試作していたライウイスキーの熟成の最低期間が終わったので、飲むことができますね。カエデ様とリンド様は、辛口が好みのようですので、ピリッとした味わいの物を好んで飲んでいます」
「ライウイスキー? それって、普通のウイスキーとは何が違うんだ?」
「えっと、ウイスキーは、発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、出芽酵母により発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの……という規定があります。これは、ご主人様のいた日本での話ですので、この世界では当てはまらないのですが、名称はそのまま使わせてもらっています。
で、ライウイスキーは、ライ麦を主原料に使ったウイスキーですね。ウイスキーの一種ということだと思います。私たちも詳しいことは分かりませんが、そう呼んでいます」
「ライ麦か……よく知らないけど、小麦とかの収穫量が増えて、地球では生産量が減ったんだっけ? 寒い地域や痩せた劣悪な環境にも耐性があるとかないとか……そんなのを、栄養たっぷりの畑エリアで作ってるの?」
「主導したのが、カエデ様たちですからね。ご主人様の奥様ということで、畑エリアで働いている人たちは、目の色を変えて増産してますよ。お酒に使うということが分かってからは、ドワーフの方たちも手伝いに来ていますね」
お酒が絡むと、どこにでも出没するんだな……
「そのライウイスキーって、もう飲ませても大丈夫か? 飲ませてやると言った以上、何か新しいお酒を準備したいんだけど……」
「ん~、それでしたら、カエデ様とリンド様も、飲む時に呼べばよろしいのではないですか?」
なるほど! 試飲会みたいなことをすれば……試飲会なのに、大樽で消費されそうだな。
「お酒は、夕食のときにでも出すことにして、冷たいビールとバーベキューコンロに、ソーセージを準備してもらっていいかな? 俺はウッドデッキを作るけど、爺様方はどうせ酒飲みながらだろうからな」
「了解しました。騒ぎ過ぎないように、こちらからも人員を配置しますので、ご主人様も飲みたいものがあれば、声をかけてください」
そう言って、準備のために食堂へ戻っていった。食堂から歓声が聞こえるが、娘たちが勉強をしているから、静かにしてやってくれ。子どもたちが目を丸くしているぞ。
ちなみに、子ども部屋や食堂は、魔道具で外からの音が遮断されているので、ここで騒いでいても中から見ると、何も聞こえない。音が聞こえないので、少し滑稽に見えるんだけどね。
しばらくすると、疲れ果てたドワーフの爺様方がお風呂から上がってきた。
下の子たちは、午前中に暴れまわるほど遊んでいたようで、昼食を食べ終わるとお昼寝の時間ということで、子ども部屋へ戻ってしまう。ミーシャたちは、勉強をするとのことで、そのまま食堂に残り妻たちの誰かに教えてもらうようだ。
ウルは、少し難しいことを勉強しているようで、分からないことをシルキーや母親に質問して、自分なりにまとめているみたいだ。最近は、グリエルたちの所にも行っているみたいだ。小さいうちから、根を詰めすぎてほしくないけど、本人がしたいと言っているので見守っている。
無理をしそうになったら、強引に甘えさせればいいだろう。
俺はすることが無いので、庭に出てDIYをしている。ずっと思っていたのだが、家はある、広い庭もある、池もある、バルコニーは無いけど屋上でいろいろできる……でもさ、ウッドデッキみたいに、くつろげるスペースがないんだよな。
なくてもくつろげるから、問題ないのでは? みたいなことを言われるけど、やっぱりほしい訳よ。だから、自分で作ってみることにした。
思い立ったが吉日! 子ども部屋から食堂の窓に繋がる、結構広い範囲をウッドデッキに変えてしまおうと計画を立てる。
格好から入ろうと、濃い青色のツナギを着て、紺色の帽子をかぶる。よし、これで大丈夫かな?
1人では面倒なので、助っ人を呼んでいる。スライム君たちだ。こいつらは数も多いし、力も強い。いろいろと便利で、どこにでもいるので声をかけたら、たくさん集まってきてくれたのだ。
俺がツナギを着て帽子をかぶると、自分たちも欲しい! みたいに騒ぎ出した。さすがに服は着れないから、俺がかぶっている帽子の色違いをあげよう。並べておくから、欲しい色を持っていくんだぞ。
よし、準備を始めよう! っとその前に、俺には建築の知識はほとんどないので、専門家を呼んでみよう。隣にいても聞こえるか分からないような小さな声で、
「建築知識のある人がどこかにいないかな? 来てくれたら、新しい酒を……」
と、そこまで言いかけたところで、鍛冶工房エリアからドドドドドド、と走ってくる音が聞こえた。やはりあの爺さんたちには、俺のというか、新しい酒という部分が聞こえており、我先にここへ向かってきているのだろう。
地面を削るような勢いで、ブレーキをかけ、酒について質問してきた。
っとその前に、お前ら汗臭いわ! スライムたち、こいつらを露天風呂に放り込んできてくれ、体をしっかり洗ったらこっちに来る許可を出してくれ。
ギャーギャー騒いでいるが、スライムたちの数の暴力には敵わず連行される。
一応拙い知識でバレルの街の初めの建物とかを建てた覚えはあるが、力技で建ててた覚えがあるんだよな。木にコーティングをして地面に突き刺したり、クリエイトゴーレムで繋ぎ目を無くしてみたり、本当に力技だったっけ?
って、まだギャーギャー言ってるな、体を洗うだけでいいんだから、そんなに騒ぐことも無いだろうに……
何気なく使った言葉だけど、DIYってどういう意味なんだ? ブッ君の中に入っている辞書を出して、検索してみる。
Do It Yourselfの略語で、「やってみよう」って意味らしい。日本語で訳すと……素人が、何かを自分で作ったり修繕したりすることって、俺は素人だけどドワーフの爺様方に教わりながらだと、DIYになるのだろうか?
なんて、どうでもいいことを考え始めていた。
っと、忘れる前に爺様方の報酬を準備しておかないとな。
「誰かいるか?」
そう呼ぶと、食堂の窓から俺用の冷たい飲み物を持って来てくれたブラウニーが返事をしてくれる。
「はいはい、どうなさいましたか?」
「ちょっと前に、新しいお酒を作ったって言ってなかったっけ?」
「作ったと言いますか、畑エリアで試作していたライウイスキーの熟成の最低期間が終わったので、飲むことができますね。カエデ様とリンド様は、辛口が好みのようですので、ピリッとした味わいの物を好んで飲んでいます」
「ライウイスキー? それって、普通のウイスキーとは何が違うんだ?」
「えっと、ウイスキーは、発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、出芽酵母により発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの……という規定があります。これは、ご主人様のいた日本での話ですので、この世界では当てはまらないのですが、名称はそのまま使わせてもらっています。
で、ライウイスキーは、ライ麦を主原料に使ったウイスキーですね。ウイスキーの一種ということだと思います。私たちも詳しいことは分かりませんが、そう呼んでいます」
「ライ麦か……よく知らないけど、小麦とかの収穫量が増えて、地球では生産量が減ったんだっけ? 寒い地域や痩せた劣悪な環境にも耐性があるとかないとか……そんなのを、栄養たっぷりの畑エリアで作ってるの?」
「主導したのが、カエデ様たちですからね。ご主人様の奥様ということで、畑エリアで働いている人たちは、目の色を変えて増産してますよ。お酒に使うということが分かってからは、ドワーフの方たちも手伝いに来ていますね」
お酒が絡むと、どこにでも出没するんだな……
「そのライウイスキーって、もう飲ませても大丈夫か? 飲ませてやると言った以上、何か新しいお酒を準備したいんだけど……」
「ん~、それでしたら、カエデ様とリンド様も、飲む時に呼べばよろしいのではないですか?」
なるほど! 試飲会みたいなことをすれば……試飲会なのに、大樽で消費されそうだな。
「お酒は、夕食のときにでも出すことにして、冷たいビールとバーベキューコンロに、ソーセージを準備してもらっていいかな? 俺はウッドデッキを作るけど、爺様方はどうせ酒飲みながらだろうからな」
「了解しました。騒ぎ過ぎないように、こちらからも人員を配置しますので、ご主人様も飲みたいものがあれば、声をかけてください」
そう言って、準備のために食堂へ戻っていった。食堂から歓声が聞こえるが、娘たちが勉強をしているから、静かにしてやってくれ。子どもたちが目を丸くしているぞ。
ちなみに、子ども部屋や食堂は、魔道具で外からの音が遮断されているので、ここで騒いでいても中から見ると、何も聞こえない。音が聞こえないので、少し滑稽に見えるんだけどね。
しばらくすると、疲れ果てたドワーフの爺様方がお風呂から上がってきた。
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