ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2306話 何が正解か?

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 懐かしのシンラ顔へばりつきを受けて、起きる事となった。本当に懐かしいって程昔ではないが、これを受けると何故か懐かしく感じてしまう。

 俺の目が覚めた時にプラムとシオンは、昨日寝てたあたりで2人揃ってゴロゴロと転がっていた。シンラがいなくても問題はなさそうだが、何故転がっているのかは不明である。

 ミーシャたちも起きており着替えが済んでいたので、だいぶ前に起きていたのだろう。

 シンラを背中側の服を掴んで釣り上げたような状態で持ち上げて顔を見る。目が合うと、いい笑顔でニッと笑ったので、俺の迷惑なんて考えてないんだろうな。

 手足をバタバタさせ始めたので、ゆっくりとベッドの上に着地させる。

 それに合わせて、何故かプラムとシオンが体を起こしてこっちを見た。特に何を言うわけでも、シンラにくっつきに来るわけでも無い。

 周りの様子を確認すると、パタリと倒れてまた左右に転がり始めた。

 この子たちは本当に何がしたいのだろうか? シンラはシンラで、腕立て伏せモドキみたいなことをしているし、下の子たちは良く分からない行動をとることが多い気がするんだよな。

 ミーシャたちは見慣れているのか、時間になると何事もなかったかのように下の子たちを回収して、食堂へ行くように促している。俺も手を引っ張られて食堂へ。

 っと、珍しい顔がいた。

 食堂に入ると、珍しい顔を見ることになった。昨日の夜、メールを送った綾乃とバザールが、しれっと食堂で朝食を食べていたのだ。バザールは骨姿ではなく、人に見える姿をして食事をしている。

 あいつって排泄しないけど、食べた物ってどこにいくんだろうな?

 今日の俺の席は、綾乃とバザールの対面みたいだな。ブラウニーたちに誘導されたのでここ以外に選択肢がない状況だ。

 久しぶりから始まったのだが、すぐにスキルが消えたことについて、色々聞かれることとなった。

 妻たちも話の内容を聞いていてびっくりしていたが、大きな問題にはならなそうだと判断して、後で聞けばいいや的な雰囲気になっていた。

 俺も詳しい事は分かっていないので、分かっているところだけしか話せていない。推測もあったが、事実だけをそのまま伝える形だ。

 自分より動きが少しだけ早く、導くような戦い方をしてくれた俺の分身と戦っていて、限界のスピードに到達した途端消えてしまった事。それで色々確認している内に武器スキルが刀術だけになっていたこと。チビ神に聞いた話、刀術と言っているが日本の武器を扱えたこと。他の武器は大分鈍っていること。

 分かっている事だけを、箇条書きのように伝えた。

 綾乃もバザールも、意味不明と言わんばかりの表情をしているが、俺が一番意味が分かってないんだってばよ! 最後に伝え忘れていた、宝珠を使っても再び覚えることができなかったことも話した。

 もう一度武器と刀術以外のスキルの検証と、俺の刀術の効果範囲や変わった点の洗い出しをすることに決まった。午後はタイミングが合えば、子どもたちと柔術をするが駄目だった時は、妻たちに任せることになるだろう。

 そこでふと気付く。柔術は俺の刀術に含まれているのだろうか? これも後で検証しないといけないな。

 昨日カエデとリンドに回収された武器を改めて預かり、足りていない武器を召喚するところから俺たちの作業が始まった。

 使い勝手は俺1人でもできるので、バザールが武器の召喚担当で、綾乃が両方を監督する形だ。

 初めに刀を使い、完璧に動けている時の俺を見てもらい、その後に剣術を見てもらった。スキルが無くなり、やはり動きが悪くなっているのが分かる。そして、それは外から見ている戦いの素人である綾乃にも分かるレベルらしい。

 ってことは、技術的に見てかなり衰えていることになる。スキルがある時は剣の達人と言えるくらいには扱えていたはずだ。

 ある程度は体が覚えているが、最終的な補正を行ってくれていた剣術が無くなり、俺の剣の腕前は速く剣がふれる人程度になってしまっていたのだ。

 それに対して、刀を持った時は体の動きがイメージ通りであり、空気を切る音すら聞こえないほど鋭い斬撃を放てるようになっている。

 使っていない武器を5個ほど振っては、刀術に合う武器をつかって、更に使っていない武器を振るっては、刀術に合う武器を振るっている。

「ねえ、シュウ。少し気になったんだけど、鎖鎌を使って少し演武してみて」

 綾乃に言われたので、鎖鎌を使って演武というか型のようなモノをやってみる。

「ん~、やっぱり違和感があるかな。剣みたいな違和感じゃないんだけど、万全に使えているかって聞かれると首をかしげてしまうくらいには、微妙な動きな気がするわ」

「そうか? 俺的にはしっかりとイメージ通りに動けている気がするんだけど、バザールも何か変に感じたか?」

「そうでござるな。違和感というよりは……鎖鎌術は覚えてなかったでござるよな? でござるなら、自分で映像を確認してみた方がいいかもしれないでござる。できれば比べるために、刀と剣と鎖鎌の3つを見返すでござる」

 言われた通りに、3つの映像をダンジョンマスターのスキルで見てみると、綾乃の言っていた違和感や、バザールの言っていたスキルを覚えていたのか、という質問が良く分かった。

「イメージ通りに動けてても、型の数がすくねえな。同じようなことなのに、違う型のようにやってたわ。でも、剣術は思い通りに動けないのに、鎖鎌はなんで動けるんだろうな?」

「そこは分からないけど、ある程度刀術って言うスキルの補正があるのかもしれないね。そこは検証していく必要があるんじゃないかな。長物の槍術や棒術もやってみてよ」

 言われるがままに体を動かしてみる。

「私が言えるのは、薙刀や長巻、刀に近い動きであれば、イメージ通り動けているような気がするわね。それなのに、剣や大剣がダメな理由が良く分からないわ」

「綾乃は知らないっけ? 刀術と剣術って同じように見えて、体の動かし方が根本的に違うんだぞ。刀は切り裂くだけど、剣は叩き切る感じなんだよね。足運びが似ていたとしても、体の動かし方がまるで違ったりするんだよ」

「ってことは、刀術だけになる前のシュウは、どっちも使ってたわけじゃん。それなのに問題なかったの?」

「そこらへんはスキルの補正があったからじゃないかな?」

「じゃぁ、剣術に見られる違和感は刀術の所為って事?」

 それを聞かれて、ハッとする。刀術に特化した動きになったせいで、他のスキルが使いにくくなったってことか? でも、それだと鎖鎌が使える理由が良く分からん。長巻はともかく薙刀はジャンルが結構違う気がするんだけどな。

 とりあえずは、イメージ通りに近い動きのできる武器を探すことになった。
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