ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2333話 やり過ぎにもほどがある

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 食事を食べた後はしばらくくつろいでから、お風呂へ入りに行くことにした。

 妻たちは、珍しく全員が子どもたちと入ったようで、俺1人で入ることになった。人間は1人だけど、従魔たちが山盛りいるのは、良くある話だ。

 スライムたちはいつも通り、冷たい水・温いお湯・普通のお湯・熱いお湯などなど、全てのお風呂にひしめいている。スライムたちの数に差があるのは、スライムたちの好みの所為だと思う。

 冷たい水には青系統に近いものが多く、熱いお湯には赤い系統のものが多くいるようだ。

 あくまで分類した際に多いだけであって、水に赤系統もいるし熱いお湯に青系統もいるが、全体的に見ると多く感じるという感じだな。

 色々と聞いてみたいことはあるが、言葉などによる意思疎通が不可能なので、話をすることは限りなく難しい。

 以前に、こちらの話していることを理解しているような動きをしたので、言葉を教えてみたのだが、まったく使えるようにはならなかった。

 教えた方法は、スライムたちが興味を特に示すものを中心に言葉の表を作ってみたのだが、まったくの無意味に終わった。

 何か遊ぶものかと思ったのか、紙を飲み込んで丸めたり、文字だけを器用に消してみたりと、やりたい放題だったな。

 俺たちの言うことは理解できても、言葉を覚えることは無理みたいだな。

 こちらの言うことは、声以外の何かしらで伝わっているのではないか? という説が一番有力だったっけな。

 お風呂に入る時は、家族の誰かがいる事が多いからな。一人風呂って結構新鮮なんだよな。この前だって1人だと思ってたら、シンラが先に入ってたし、本当に珍しい事があるもんだな。

 妻たちが、たまには1人でゆっくり入ったらいいと言ってきたので、久々の長風呂になりそうだ。

 脱水症状にならないように、水分補給も出来るように妻たちがブラウニーにお願いをしていたから、体調の管理もばっちりである。

 人任せという所が、俺らしいと言えば俺らしいが、それでいいのか俺? と思わなくもない。

 あまり自分で色々やりすぎると、ブラウニーたちが悲しい顔をしてこちらを見るし、シルキーたちが仕事を取らないでほしいとお願いしてくるので、俺の仕事以外の事はシルキーやブラウニーたちに任せることが多くなってるんだよな。

 ダメ人間製造機みたいな、ブラウニーたちの仕事ぶりだけど、召喚して自分たちの事を任せた以上、責任はある程度取らないと拙いよな。

 うん、これ以上考えないことにしよう。

 体を洗った後は……ゆっくりとお風呂を堪能するのもいいし、サウナにゆっくり入るのも悪くないよな……あっ! お風呂と言えば、露天風呂もいいな。

 この家には露天風呂無いんだよな。クルージングのできる船に甲板風呂が露天風呂みたいになっているんだよな。そこに行こうかな?

 思い立ったら吉日! ブラウニーたちに許可を取って船にゲートを開き、サクッと甲板風呂を露天風呂風に作り変えた。

 さすがに船の上なので、露天風呂風とはいっても岩などは使っていない。岩風に見える良く分からない素材を元に、それっぽく作っている。本来それだけでは強度が足りなかったのだが、こちらにはクリエイトゴーレムという、インチキクサイスキルがあるので、問題なく作ることができた。

 この世界にも星はあるんだよな……宇宙がどうなっているかもわからないこの世界では、ただの光の可能性もあるのだが、そこまでして夜空を再現する意味があったのだろうか?

 日本でも光の無い秘境の露天風呂にでも行かないと、見ることのできない光景だろう。

 それくらい光の無い場所で見ないと見れない空が、そこには広がっていた。

 テレビで見たことのある贅沢として、お酒を飲みながらのお風呂とかあったっけ? 個人的には、お酒よりも喉にガツンと来る、炭酸飲料系がいいんだが……

 さすがブラウニー! しかもチョイスが渋い。お店で売られているような甘いジンジャーエールではなく、辛さもあり強い炭酸で喉にガツンと来る……とにかく美味いやつだった。

 俺の欲しいものを先回りして用意してくれているわけではないが、何が来ても対応できるように準備してあるところが本当に凄いよな。

 腰付近まで浸かって、火照った体を甲板に吹く風で涼ませながら、ジンジャーエールを堪能した。

 秘境の温泉より貴重な体験を今している気がする。地球でもお金があればできたことかもしれないが、わざわざ露天風呂風にする人はいないだろう。秘境の温泉の数と、船の上に露天風呂の数を考えれば、圧倒的に後者の方が少ないだろう。

 景色などを楽しんでいると、小腹が空いてきた……ちょっと前に普段の3倍くらい食事をお腹いっぱい食べたのに、もうお腹が空いて来たってどういうことだよ……魔力の枯渇って、そんなにエネルギーを使う物なのかね?

 俺の様子から、またお腹がすく可能性を考慮していたため、すぐに食事が出てきた。

 夕食は、手の込んだ食事が多かったが、今回はファーストフード店で出てくるような食事が準備されていた。

 この系統の食事は、行楽弁当のように外でピクニックがてら食べることが多いんだよな。

 ハンバーグをバンズに挟んだものや、上げた鶏肉を挟んでたりするものもあるな。個人的に好きだった、〇ックのポテトも揚げたての物がたくさん準備されている。無駄に状態変化の怒らないエンチャントをつけたお皿も準備されており、揚げたてのまま長く楽しめるようになっていた。

 賛否両論あると思うが、俺は揚げたても、時間が経って少し萎びたのも、両方とも好きだ。

 もう少し言えば、ハンバーガーは〇ックより〇ス派だ。美味しさが安定していて、どちらの店も値段を考えれば、かなりクオリティーの高いモノになっていると思う。

 ご当地ハンバーガーなどはまたジャンルが違うけど、あれはあれで美味いものが多いから、またいつか食べたいな……って思ったりしたっけな?

 地球に住んでた頃を思い出そうとしても、もうあいまいだな。ダンジョンマスターの能力で、向こうの世界の物を取り寄せられるから地球の事を忘れることは無いけど、住んでいた頃の記憶はもうあいまいなんだよな。

 どうせ帰れないし、帰っても戸籍すらなくなっているから、問題だらけなんだよな。元の世界より居心地がいいから、もう帰りたいとかも思っていないんだよな。

 少しアンニュイ気持ちになったが、ブラウニーたちが運んできてくれる食事で、気持ちを盛りなおすことに成功した。
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