ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2412話 最悪なシナリオ

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 街を襲った集団は、帰路についたのを確認してから、レイリーの元へ移動する。

 レイリーになぜ最前線に来たのか注意されるが、敵性軍の撤退を確認したから、今後の動きについて確認しに来たことを伝える。短時間とはいえ、レイリーがここを離れるのは、さすがにまずいと思ったからな。

 レイリーも確認のためにスプリガンに確認を取っていたが、俺と同じ判断だったようで一時撤退をしたと判断していた。

「えっと、街を襲い、住人全員を自分のダンジョンへ誘導しているという感じですか?」

 簡単に見てきたことを説明すると、疑問形で返ってきた。

「多分だけどね。おそらくだけどゴーストタウンに近いような街が、鬼人たちが確認できていない区画にあるんじゃないかと思ってる。後、レベルが高すぎたり、反乱などの旗になる人物は排除している気がするな」

 マップ先生で調べた感じ、レベルで80以上の人間はいないし、貴族の係累の人間も見当たらない。マップ先生の表記の問題で、鑑定よりは甘くなってしまっているが、興味本位で調べているだけなので問題はないだろう。

「レベルが高いほうがDP回収率がいいはずですが、こう見ると殺しているようですね。とにかく邪魔になりそうな危険性のある人間は、すべて排除しているようですね。黙らせるのには効率はいいですが、統治するのが難しくなる方法だと思います……」

「住人を見捨てて金目の物をもって逃げたみたいだから、いい領主だったとはいいがたい人物なようで、反対に喜ばれている可能性は高いと思う。ただ、住み慣れた街を離れたくないっていう人もいたと思うけど、そういう人はどうしたんだろうな」

 新天地がどんなに良い所でも、一定数存在する土地に愛着を持っている人たちだっていたはずだが、そういう人たちはどうしたのだろうか? 説得して連れ帰っているのか? 拘束して連れ帰っている? はたまた、邪魔だから全員殺した?

 あっ、そういえば死んだ人も分かる設定があったはず。光点が多くなりすぎるので、排除していた項目だがそれをオンにしてみる。

「あぁ、街のはずれの家に大量の死体があるな。多分、住人に殺すところを見せないようにするために、ここに集めてから殺したんだろうな。かなり徹底している気はするけど、家族の恨みとかを買うんじゃないか?」

「それも計算の内のような気がしますが、ここまで徹底していると、住人たちも逆らいにくいのではないでしょうか? 初めは恐怖による支配をして、ダンジョンへ着いたら飴を渡すようにして、心をつかんでいる可能性はありますね」

 飴と鞭か……それだと、ダンジョンの中が飴と思えるだけの場所ってことだよな。ゴーストタウンは微妙かもしれないけど、ディストピアに近いレベルでクオリティオブライフが高いのかな?

「ダンジョンの中も気になるけど、今は考えても分からんから放置だな。問題はやっぱり、敵兵士たちの練度の高さかね。戦闘は見てないけど、レイリーはどう考えてる? 2000対500くらいの戦闘だったと思うけど、死者が3人だってさ」

 初めに調べた時より、3人しか減っていなかったのだ。いくら4倍差があっても、地球の戦争ならもっと死者が出てもおかしくないんだけどな。回復魔法の使い手も多いのかもしれない。

「そうですか? 4倍差でレベルが圧倒的に上なのに、3人も死者が出るのは戦闘経験が少ないのではないでしょうか? 私たちであれば、怪我人は出ても重傷者は出さないで倒せると思います」

 そりゃ、さらにレベルが上だし、敵軍よりは練度が高いから当たり前かもしれないけど、それでもこちらに被害が出る確率が高くなっているのだが?

 ここら辺は、考え方の違いなんだろうな。そもそも戦争を体験したことないし、しない国だったから、戦争による被害の考え方に差があるんだろう。戦えば人が死ぬのは理解していても、どれだけの人数が死ぬとかどういった所なのかはわからなかったもんな。

 それにこの世界で行われている戦争の大半は、ウォーゲームのような遊び感覚でやっている戦争だから、ピンと来なかったんだよな。

 今なら、なんとなくわかってきてはいるけど、出来るだけ被害を出さないように、しっかり準備したり過剰に戦力を用意したりしていたので、やはり一般的な戦争とは違うんだよな。

 今回に関しても、戦力のことを考えれば、こちら側のほうがかなり高い。圧倒的な有利ではあるが、被害は出てしまうというラインだろう。

 不利な状況での戦争となったら、俺はどうしてしまうのだろうか?

「……ウ様、シュウ様。どうなさいましたか?」

 っと、レイリーと話しているのに、意識がどこかに飛んでしまっていたようだ。

「すまんすまん。ちょっと考え事をしていた。一応聞いておきたいんだけど、どこで戦う予定とかある?」

「基本は、壁を使った防衛線ですね。シュウ様の壁がありますので、壊されるということはまずないでしょう。登って超えられないように対応する形になると思います。遠距離攻撃を多用して数を減らし、登られてしまった時のために、近接戦闘に特化した部隊を壁の上に配置する予定ですね」

「今回は使ってなかったと思うけど、もし攻城兵器とか利用されたらどうするんだ?」

「攻城兵器は使わないのではないでしょうか? それ以上の攻撃のできる人間が多数いると思いますから」

「攻城兵器から鉄球とかが飛んで来て、直撃すれば大きさによっては即死もあり得ると思うけど、そこら辺の対策や考えはあるのか?」

 そう質問してみたが、攻城兵器自体がこの世界でほとんど使われないので、ピンと来ていないようだ。

 ならば、分かりやすいように映像を見せてみよう。

「なるほど……確かにこのサイズの石や鉄球が当たれば、即死してもおかしくはないかもしれないですね……」

「ほかにも、石の代わりに油の入ったツボとか毒とかを使う可能性もあるけど、大丈夫そうか?」

 使うとすれば油じゃなくて、ガソリンとか一気に燃え広がる物を使いそうだよな。相手にしているのが、この世界の人間ではなく、地球の人間なのだ。それでも勇者だけなら化学兵器の心配とかをする必要がないのだが、ダンジョンマスターも味方に付いているのであれば、話は変わってくる。

「もし、ガソリンや毒を使われれば、半数以上が死ぬ可能性もあるけど、何か対策があったりするのかな?」

 俺もさっき思いついたことなので、前の話し合いでは言えなかったけど、そういう攻められ方をする可能性もあるので、対策できているのか聞いてみた。

 これが地球の戦争の仕方とは思われたくないが、ここは異世界でゲーム感覚になっているのであれば、毒を使うことだってある。俺たちも直接死ぬような毒ではないが、尊厳を殺すような毒は使ったことあるしな。

「まだ猶予がありそうなので、幹部を集めて検討させていただきます。資料として、この映像をお借りしてもいいですか?」

 この映像だけでなく、他にも多数の映像を準備した。特にガソリンによる引火は、レッドドラゴンのブレスよりはおとなしいので、迫撃砲や化学兵器の参考資料を渡しておく。
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