2,461 / 2,518
第2461話 ややこしい! 後は自分たちで何とかしろ!
しおりを挟む
「「「なっ!!」」」
深紅の騎士団の3人は、驚きのあまり変な声を出してしまっていた。
「何をしているのかしら? これだから平民は困るわ。あなたたちもボーっとしてないで、早く無礼な男を捕まえなさい」
剣を切り裂かれた縦ロールに従っていた騎士たちの顔が引きつっている。
それもそのはずだ。ある程度真面目に武を鍛えていた者なら、今ここで起こっていることに驚いている事だろう。武器をそらされたのではなく、折られたわけでもない。切り裂かれたとなれば、俺と自分たちの力量の差と武器の性能の差を、嫌でも痛感しているはずだ。
そして俺の攻撃が体をとらえれば、上下に分かれることも理解しているため、俺の武器の射程圏内から逃げているくらいだしな。
あくまで手を伸ばして武器を振るった場合の距離であって、俺が踏み込んで刀を振るえば簡単に当たる距離ではある。
「そこの女、それ以上この方に無礼を働くのは止めなさい。国賓であるこの方に無礼を働くということは、国王に無礼を働くのと同義。国家反逆罪として、親類まで死刑となるがいいのか?」
「……?? あなたは、何を言っているのかしら? いくら国賓だろうと、たかが中立地帯の領主でしかないこの人と、侯爵の令嬢である私であれば、私の方が偉いに決まっているじゃない。これだから物の道理を知らない平民は困るわ」
「本当にそう思っているのでしたら、もう何も言いません。ここで捕らえさせていただきます」
捕らえると判断してからの深紅の騎士団の3人は、行動が早かった。
一瞬にして縦ロールに従っていた騎士たちの意識を刈り取り、騒いでいる侯爵令嬢を腹ばいにするように地面に押し倒し、後ろ手にして拘束を始めた。
「ぎゃあぎゃあと五月蠅いですね。あなたは勘違いしておられますが、あなたは貴族ではありません。貴族の家族でしかないのですよ。貴族で一番低い地位の騎士爵である私より、あなたの立場は下なんです。嫡男であれば、親の2つ下の地位として認められてはいますが、実際にトラブルを起こせば嫡男の方が不利になります。
本来はそうなるのですがそうならないのは、その父親が報復するために動くだろうと考えるため、有利なはずなのに立場の下の人間は頭を下げるんです。裁く側の貴族も親の地位を見て判断するため、地位の高い方に媚びを売る傾向があるだけなのです。
ですが今回は違います。相手は国賓として招かれた、中立地域の王に等しい人だ。地位も立場も侯爵であるあなたの父より、圧倒的上位の人なのです。あなたはそんな人に無礼をはたらいたのですから、死刑は確定だと思ってください」
それでも騒ぐ縦ロール……騒ぎを聞きつけたのか、近衛兵を連れて王がやってきた。お前さん、ギルドマスターと話し合いがあるんじゃなかったのか?
そんな疑問を思い浮かべていると、
「っ! お父様、助けてください。この平民上がりの騎士たちが、急に私を地面に叩きつけたのです! 私に無礼をはたらいた、このおt、ぎょふぁっ」
途中で声が途切れたと思ったら、取り押さえていた深紅の騎士団員が、縦ロールの顔を殴っていた。おう、強烈な一撃だな。レベル差を考えれば軽く小突いただけだろうが、それでも痛い一撃であることは変わりがない。
そんな様子に気を取られていると、近衛兵の1人が武器を抜いて、縦ロールを押さえている深紅の騎士団員に向かって、剣を振り下ろそうとしていた。
「っと、それはシャレにならんだろうが!」
そう言って俺は、持っていた刀で近衛兵の剣を切り落とした。切り落とした剣は勢いよくどこかへ飛んでいこうとしたので、蹴り上げて天井へ突き刺しておいた。
「おい、おっさん、止まれ!」
切り落とされた剣の柄を手放し、俺を押しのけて深紅の騎士団員へ近付こうとしたので、押しのけようとした手を掴み、関節をきめるようにして勢いをつけて、顔面から地面に突き落とした。
「シュウ殿……いったい何事があったのだろうか?」
俺の口からここであった事を話し、補足として深紅の騎士団の3人からも何が起きたかを説明してくれた。
王は、頭が痛むのかこめかみをもむ仕草をしている。俺に取り押さえられ地面に叩きつけられて騒いでいるおっさんのせいもあるだろうが、近衛兵だけあってそこそこ鍛えていたから意識をたもてていたのだろう。だがこのおっさん、縦ロールの父親らしい。ってことは侯爵本人ということだな。
その侯爵さんは娘が殴られたので、深紅の騎士団員を殺そうと動いたらしい。貴族と深紅の騎士団員は、中が悪い事で有名だからな……お互い殺すチャンスを探しているんだろうな。そして事情はともかく、娘を殴ったのだから死罪だ! ということらしい。
「バージル……お前はいつ侯爵になったのだ? 次期侯爵としても認められていないはずだ。侯爵の嫡男でしかないお前の娘が、国賓と騎士爵に無礼をはたらいたことは間違いない事実だ……お前は、娘の教育を間違えたらしい。お前の父親の侯爵は、本当にできた人だったのに残念だ。
近衛長、罪人を捕らえ王城の地下にある牢へ連れていけ。侯爵にも説明する必要があるな……シュウ殿、侯爵は本当に素晴らしい人なのだ。できれば、こんなくだらない事で失いたくないと考えている。少し前にもトラブルを起こしていたバージルとは関係が無い事にして、助命をしてもいいだろうか?」
「別にかまわないけど、育て方を間違ったのはバージルとかいう奴だけでなく、侯爵もそうなんだろ? いくらできた人間でも、助命する価値があるとは思えんのだが……まぁ踏み絵でもさせたらどうだ? 恨まれるだろうが、国のために本当に動ける人間なのかをさ」
「踏み絵とは、どういうことだろうか?」
「この国の国家反逆罪は、奴隷か死刑だったよな? だったら、この2人の死刑を、侯爵にやらせればいい。家族より国をとるなら出来るはずだ。侯爵からすれば、可愛い孫娘だろう。そんな孫娘を手にかけられるのなら、その忠誠は本物なんだろうなと俺は思う」
俺の提案を聞いて、国王は顔を青くした。
「それはあくまで俺の意見であって、そのまま実行する必要はないさ。方法の1つとして提案しただけだ。あんたが助命をしたいのであればすればいいと思うけど、関係が切れたとしても嫡男と孫娘が問題を起こした事実は変わらないから、相応の罰は必要だろうな」
縁を切ったから無罪放免とはいかないだろう。本来なら侯爵家の親類ほとんどが死罪になるのを回避するのだから、ある程度の罰は必要だろうな。
俺の提案した嫡男と孫娘を殺せと言ったのは、国に忠誠を誓えているかの踏み絵だと思わせているが、本当の狙いは侯爵自身が孫娘を死刑にすることで、精神的苦痛を与えるという侯爵への罰でもあるのだ。
その提案をしただけだ。非道と思われようとも、俺には関係ない事だけどね。この国の貴族ならもっとひどい事を、息をするかの如くやっている奴もいるからな。それに嫡男のこいつ、近衛兵の癖に罰賞が色々あるぞ。
一度近衛兵たちに真実の瞳を使うべきだと思うぞ。
そう助言をして、俺は止めてほしいと言われていたバッハを元の大きさに戻して、庭園から飛び立つことにした。
深紅の騎士団の3人は、驚きのあまり変な声を出してしまっていた。
「何をしているのかしら? これだから平民は困るわ。あなたたちもボーっとしてないで、早く無礼な男を捕まえなさい」
剣を切り裂かれた縦ロールに従っていた騎士たちの顔が引きつっている。
それもそのはずだ。ある程度真面目に武を鍛えていた者なら、今ここで起こっていることに驚いている事だろう。武器をそらされたのではなく、折られたわけでもない。切り裂かれたとなれば、俺と自分たちの力量の差と武器の性能の差を、嫌でも痛感しているはずだ。
そして俺の攻撃が体をとらえれば、上下に分かれることも理解しているため、俺の武器の射程圏内から逃げているくらいだしな。
あくまで手を伸ばして武器を振るった場合の距離であって、俺が踏み込んで刀を振るえば簡単に当たる距離ではある。
「そこの女、それ以上この方に無礼を働くのは止めなさい。国賓であるこの方に無礼を働くということは、国王に無礼を働くのと同義。国家反逆罪として、親類まで死刑となるがいいのか?」
「……?? あなたは、何を言っているのかしら? いくら国賓だろうと、たかが中立地帯の領主でしかないこの人と、侯爵の令嬢である私であれば、私の方が偉いに決まっているじゃない。これだから物の道理を知らない平民は困るわ」
「本当にそう思っているのでしたら、もう何も言いません。ここで捕らえさせていただきます」
捕らえると判断してからの深紅の騎士団の3人は、行動が早かった。
一瞬にして縦ロールに従っていた騎士たちの意識を刈り取り、騒いでいる侯爵令嬢を腹ばいにするように地面に押し倒し、後ろ手にして拘束を始めた。
「ぎゃあぎゃあと五月蠅いですね。あなたは勘違いしておられますが、あなたは貴族ではありません。貴族の家族でしかないのですよ。貴族で一番低い地位の騎士爵である私より、あなたの立場は下なんです。嫡男であれば、親の2つ下の地位として認められてはいますが、実際にトラブルを起こせば嫡男の方が不利になります。
本来はそうなるのですがそうならないのは、その父親が報復するために動くだろうと考えるため、有利なはずなのに立場の下の人間は頭を下げるんです。裁く側の貴族も親の地位を見て判断するため、地位の高い方に媚びを売る傾向があるだけなのです。
ですが今回は違います。相手は国賓として招かれた、中立地域の王に等しい人だ。地位も立場も侯爵であるあなたの父より、圧倒的上位の人なのです。あなたはそんな人に無礼をはたらいたのですから、死刑は確定だと思ってください」
それでも騒ぐ縦ロール……騒ぎを聞きつけたのか、近衛兵を連れて王がやってきた。お前さん、ギルドマスターと話し合いがあるんじゃなかったのか?
そんな疑問を思い浮かべていると、
「っ! お父様、助けてください。この平民上がりの騎士たちが、急に私を地面に叩きつけたのです! 私に無礼をはたらいた、このおt、ぎょふぁっ」
途中で声が途切れたと思ったら、取り押さえていた深紅の騎士団員が、縦ロールの顔を殴っていた。おう、強烈な一撃だな。レベル差を考えれば軽く小突いただけだろうが、それでも痛い一撃であることは変わりがない。
そんな様子に気を取られていると、近衛兵の1人が武器を抜いて、縦ロールを押さえている深紅の騎士団員に向かって、剣を振り下ろそうとしていた。
「っと、それはシャレにならんだろうが!」
そう言って俺は、持っていた刀で近衛兵の剣を切り落とした。切り落とした剣は勢いよくどこかへ飛んでいこうとしたので、蹴り上げて天井へ突き刺しておいた。
「おい、おっさん、止まれ!」
切り落とされた剣の柄を手放し、俺を押しのけて深紅の騎士団員へ近付こうとしたので、押しのけようとした手を掴み、関節をきめるようにして勢いをつけて、顔面から地面に突き落とした。
「シュウ殿……いったい何事があったのだろうか?」
俺の口からここであった事を話し、補足として深紅の騎士団の3人からも何が起きたかを説明してくれた。
王は、頭が痛むのかこめかみをもむ仕草をしている。俺に取り押さえられ地面に叩きつけられて騒いでいるおっさんのせいもあるだろうが、近衛兵だけあってそこそこ鍛えていたから意識をたもてていたのだろう。だがこのおっさん、縦ロールの父親らしい。ってことは侯爵本人ということだな。
その侯爵さんは娘が殴られたので、深紅の騎士団員を殺そうと動いたらしい。貴族と深紅の騎士団員は、中が悪い事で有名だからな……お互い殺すチャンスを探しているんだろうな。そして事情はともかく、娘を殴ったのだから死罪だ! ということらしい。
「バージル……お前はいつ侯爵になったのだ? 次期侯爵としても認められていないはずだ。侯爵の嫡男でしかないお前の娘が、国賓と騎士爵に無礼をはたらいたことは間違いない事実だ……お前は、娘の教育を間違えたらしい。お前の父親の侯爵は、本当にできた人だったのに残念だ。
近衛長、罪人を捕らえ王城の地下にある牢へ連れていけ。侯爵にも説明する必要があるな……シュウ殿、侯爵は本当に素晴らしい人なのだ。できれば、こんなくだらない事で失いたくないと考えている。少し前にもトラブルを起こしていたバージルとは関係が無い事にして、助命をしてもいいだろうか?」
「別にかまわないけど、育て方を間違ったのはバージルとかいう奴だけでなく、侯爵もそうなんだろ? いくらできた人間でも、助命する価値があるとは思えんのだが……まぁ踏み絵でもさせたらどうだ? 恨まれるだろうが、国のために本当に動ける人間なのかをさ」
「踏み絵とは、どういうことだろうか?」
「この国の国家反逆罪は、奴隷か死刑だったよな? だったら、この2人の死刑を、侯爵にやらせればいい。家族より国をとるなら出来るはずだ。侯爵からすれば、可愛い孫娘だろう。そんな孫娘を手にかけられるのなら、その忠誠は本物なんだろうなと俺は思う」
俺の提案を聞いて、国王は顔を青くした。
「それはあくまで俺の意見であって、そのまま実行する必要はないさ。方法の1つとして提案しただけだ。あんたが助命をしたいのであればすればいいと思うけど、関係が切れたとしても嫡男と孫娘が問題を起こした事実は変わらないから、相応の罰は必要だろうな」
縁を切ったから無罪放免とはいかないだろう。本来なら侯爵家の親類ほとんどが死罪になるのを回避するのだから、ある程度の罰は必要だろうな。
俺の提案した嫡男と孫娘を殺せと言ったのは、国に忠誠を誓えているかの踏み絵だと思わせているが、本当の狙いは侯爵自身が孫娘を死刑にすることで、精神的苦痛を与えるという侯爵への罰でもあるのだ。
その提案をしただけだ。非道と思われようとも、俺には関係ない事だけどね。この国の貴族ならもっとひどい事を、息をするかの如くやっている奴もいるからな。それに嫡男のこいつ、近衛兵の癖に罰賞が色々あるぞ。
一度近衛兵たちに真実の瞳を使うべきだと思うぞ。
そう助言をして、俺は止めてほしいと言われていたバッハを元の大きさに戻して、庭園から飛び立つことにした。
0
あなたにおすすめの小説
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
ダンジョン作成から始まる最強クラン
山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。
そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。
極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。
そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。
ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。
ただそのダンジョンは特別性であった。
ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる