ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2480話 訓練2日目

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 目が覚めると……シンラの顔抑え固めにあっていた。ったく、何でこいつは俺の顔に登るんだかな。地味に重くなってるから、首が痛くなるから勘弁してほしいんだけどな。今日は両手が空いているからまだまし紙しれないけど、プラムとシオンの足が俺の左右の頬あたりにあるんだよな。

 つい昨日は、そんなこと無かったのに、既に顔に蹴りを入れてきているんだが……

 さて顔からシンラを引き剥がして……体を起こしたところで、俺の頭があった場所へシンラをそっと置く。磁石の様に左右にプラムとシオンがくっ付く。

 よしよし、これでシンラは動けなくなった。

 でもさ、昨日一緒に寝た覚えはないんだが、ミーシャたちもここにいるのは何でだろうな?

 腕を回したりして、体を動かし今日の調子を確認する。少なくとも昨日と変わらないか、それ以上のパフォーマンスができるだろう。

 いつもと変わらない朝食を食べ、昨日と同じように訓練場へ向かう。

 今日の相手は、シェリルとネルだ。徒手格闘といえばシェリルだが、ネルも一緒に訓練しているためかなり徒手格闘が強い。シェリルとネルも歳を経て身長が大きくなっているが、家系が小柄だったのだろう、シュリほどは身長が伸びなかった。

 シュリは、しっかりと食事をとるようになってから、本来あるべき体に戻ったのだろう。今では170センチメートルを越え、俺と同じか若干高くなっている。シェリルとネルは150センチメートルちょっとだ。

 なので身長差20センチメートルの体格差では、技術でシュリとの力の差を埋めることは出来ずに負け越しているんだとさ。

 それでも技術は妻たちの中で1位2位なので、俺の訓練をしっかりみてくれるようだな。

 少し体を温めてからストレッチを始める。シェリルとネルも体を動かしており、既にトップギアに入っている。

 俺に合わせるために、早めに来て体を動かしてくれていたんだろうな。体格差を考えれば、しっかりと体を動かしておく必要があるから、そうしていてくれたということだな。

 俺のアップが終わるとまずはネルが前に出てきた。

 装備は昨日と同じで衝撃を吸収する革鎧と、手を保護するグローブを付けて、訓練を開始する。

 シュリよりもスピードもパワーもないのだが、シュリにはない鋭さと素早さがあった。

 俺って、訓練以外で自分より小さな相手と戦った事ってほとんどないんだよな。特にネルみたいに早い相手は、この子たち以外で戦うことはなかった。

 自分より大きな相手をしてきたシェリルとネルの経験が、俺の実力を凌駕しているんだろうな。小さい敵相手の経験が増えれば、この差も覆るのだろうか?

 そして拳も小さいので、ガードの隙間を縫って攻撃を通してくるんだよな。

 シュリとは違う意味でやりにくい……

 受け止めるガードは、ネル相手には良くない。それだけは理解した。もし受け止めるなら掌で受けるか、受け流すか避けるかの3択だろう。ガード……受け止めるという選択肢が無くなっただけだが、選択肢が減るということはいいように見えて良くないこともある。

 受け流しに徹しよう。さらに選択肢を減らして、あえて1つに絞ることで考える余力を減らし、反応速度を上げることで被弾を減らす方向にシフトだな。

 拳を受け流し肘や蹴りも受け流し、相手の体勢を崩すように仕掛けるが、俺と同じような対策を建てた相手が何人もいたのだろう。受け流されても体勢を崩さずに、連撃へ繋げてくる。

 小柄だからか、攻撃の回転も速いんだよな。本当に嫌になってくる……何でこんなに早いんだかな。

 全部の攻撃を受け流す覚悟で挑んでいたのに、手が回らずに結局2回ほど回避してしまった。

 30分程続けたところで、俺の体力の限界を迎えネルの小さな拳が鳩尾にヒットする。

 昨日の様に吐くことはなかったが、かなりきわどいところまで出てきた。危なかった……

 昨日は、シュリに打撃を叩き込まれながらだったからか、体力の減りが早かったんだよな。今日は受け流すことに徹したから、長い時間持たせることができたのだと思う。これでいいのかは分からないが、体力を戻すために動くのは大切だろう。

 シェリルとの模擬戦が始まり、その考えが甘かったことに気付く。

 ここまで早かったのか! ここまで強かったのか! 驚きに満ち溢れた感情があふれ出てくる。

 受け流す覚悟をしたのに、初撃から受けてしまった……そのスピードと重さがシュリに匹敵するものがあった。体が一回りも小さいのに、英雄症候群でもないのに、何でここまでの攻撃ができたのか分からん。

 攻撃を受けた俺の体が少し浮いたのだが……この体格差でなぜこんなことが起こるんだ?

 ステータスの差があれば、体格差など気にならんのだが、俺の方がステータスが高いのにこの現象が起きる理由が判らん。

 そのまま言葉にするなら、ステータスの差で減衰されてもなお、俺の体を浮かせるだけの威力を有していたということだ。

 混乱する頭を無理やり動かし、体を動かす。

 攻撃がこれで終わるわけもなく、シェリルは次の攻撃態勢に入り俺に向かって掌打を叩き込もうとしている。

 何故拳で無いのかは分からないが、躱すことも受け流す時間もない……掌打を受ける。

 あっ、これ駄目だ。

 受けた瞬間に分かった。

 そのまま骨が折れたのが分かった。

 シュリの攻撃よりも、明らかに重く鋭く早い攻撃だった。

 俺の腕は曲がってはいけない方へ曲がっていた。

 目の前が白くなる痛みだ。シェリルもここまでなるとは思っていなかったのか、慌てた様子でシェリルを呼び2人で俺の腕を治療してくれた。

 まさか今日も骨が折れるとは思わなかった。
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