ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,480 / 2,518

第2480話 訓練2日目

しおりを挟む
 目が覚めると……シンラの顔抑え固めにあっていた。ったく、何でこいつは俺の顔に登るんだかな。地味に重くなってるから、首が痛くなるから勘弁してほしいんだけどな。今日は両手が空いているからまだまし紙しれないけど、プラムとシオンの足が俺の左右の頬あたりにあるんだよな。

 つい昨日は、そんなこと無かったのに、既に顔に蹴りを入れてきているんだが……

 さて顔からシンラを引き剥がして……体を起こしたところで、俺の頭があった場所へシンラをそっと置く。磁石の様に左右にプラムとシオンがくっ付く。

 よしよし、これでシンラは動けなくなった。

 でもさ、昨日一緒に寝た覚えはないんだが、ミーシャたちもここにいるのは何でだろうな?

 腕を回したりして、体を動かし今日の調子を確認する。少なくとも昨日と変わらないか、それ以上のパフォーマンスができるだろう。

 いつもと変わらない朝食を食べ、昨日と同じように訓練場へ向かう。

 今日の相手は、シェリルとネルだ。徒手格闘といえばシェリルだが、ネルも一緒に訓練しているためかなり徒手格闘が強い。シェリルとネルも歳を経て身長が大きくなっているが、家系が小柄だったのだろう、シュリほどは身長が伸びなかった。

 シュリは、しっかりと食事をとるようになってから、本来あるべき体に戻ったのだろう。今では170センチメートルを越え、俺と同じか若干高くなっている。シェリルとネルは150センチメートルちょっとだ。

 なので身長差20センチメートルの体格差では、技術でシュリとの力の差を埋めることは出来ずに負け越しているんだとさ。

 それでも技術は妻たちの中で1位2位なので、俺の訓練をしっかりみてくれるようだな。

 少し体を温めてからストレッチを始める。シェリルとネルも体を動かしており、既にトップギアに入っている。

 俺に合わせるために、早めに来て体を動かしてくれていたんだろうな。体格差を考えれば、しっかりと体を動かしておく必要があるから、そうしていてくれたということだな。

 俺のアップが終わるとまずはネルが前に出てきた。

 装備は昨日と同じで衝撃を吸収する革鎧と、手を保護するグローブを付けて、訓練を開始する。

 シュリよりもスピードもパワーもないのだが、シュリにはない鋭さと素早さがあった。

 俺って、訓練以外で自分より小さな相手と戦った事ってほとんどないんだよな。特にネルみたいに早い相手は、この子たち以外で戦うことはなかった。

 自分より大きな相手をしてきたシェリルとネルの経験が、俺の実力を凌駕しているんだろうな。小さい敵相手の経験が増えれば、この差も覆るのだろうか?

 そして拳も小さいので、ガードの隙間を縫って攻撃を通してくるんだよな。

 シュリとは違う意味でやりにくい……

 受け止めるガードは、ネル相手には良くない。それだけは理解した。もし受け止めるなら掌で受けるか、受け流すか避けるかの3択だろう。ガード……受け止めるという選択肢が無くなっただけだが、選択肢が減るということはいいように見えて良くないこともある。

 受け流しに徹しよう。さらに選択肢を減らして、あえて1つに絞ることで考える余力を減らし、反応速度を上げることで被弾を減らす方向にシフトだな。

 拳を受け流し肘や蹴りも受け流し、相手の体勢を崩すように仕掛けるが、俺と同じような対策を建てた相手が何人もいたのだろう。受け流されても体勢を崩さずに、連撃へ繋げてくる。

 小柄だからか、攻撃の回転も速いんだよな。本当に嫌になってくる……何でこんなに早いんだかな。

 全部の攻撃を受け流す覚悟で挑んでいたのに、手が回らずに結局2回ほど回避してしまった。

 30分程続けたところで、俺の体力の限界を迎えネルの小さな拳が鳩尾にヒットする。

 昨日の様に吐くことはなかったが、かなりきわどいところまで出てきた。危なかった……

 昨日は、シュリに打撃を叩き込まれながらだったからか、体力の減りが早かったんだよな。今日は受け流すことに徹したから、長い時間持たせることができたのだと思う。これでいいのかは分からないが、体力を戻すために動くのは大切だろう。

 シェリルとの模擬戦が始まり、その考えが甘かったことに気付く。

 ここまで早かったのか! ここまで強かったのか! 驚きに満ち溢れた感情があふれ出てくる。

 受け流す覚悟をしたのに、初撃から受けてしまった……そのスピードと重さがシュリに匹敵するものがあった。体が一回りも小さいのに、英雄症候群でもないのに、何でここまでの攻撃ができたのか分からん。

 攻撃を受けた俺の体が少し浮いたのだが……この体格差でなぜこんなことが起こるんだ?

 ステータスの差があれば、体格差など気にならんのだが、俺の方がステータスが高いのにこの現象が起きる理由が判らん。

 そのまま言葉にするなら、ステータスの差で減衰されてもなお、俺の体を浮かせるだけの威力を有していたということだ。

 混乱する頭を無理やり動かし、体を動かす。

 攻撃がこれで終わるわけもなく、シェリルは次の攻撃態勢に入り俺に向かって掌打を叩き込もうとしている。

 何故拳で無いのかは分からないが、躱すことも受け流す時間もない……掌打を受ける。

 あっ、これ駄目だ。

 受けた瞬間に分かった。

 そのまま骨が折れたのが分かった。

 シュリの攻撃よりも、明らかに重く鋭く早い攻撃だった。

 俺の腕は曲がってはいけない方へ曲がっていた。

 目の前が白くなる痛みだ。シェリルもここまでなるとは思っていなかったのか、慌てた様子でシェリルを呼び2人で俺の腕を治療してくれた。

 まさか今日も骨が折れるとは思わなかった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

スキル【レベル転生】でダンジョン無双

世界るい
ファンタジー
 六年前、突如、異世界から魔王が来訪した。「暇だから我を愉しませろ」そう言って、地球上のありとあらゆる場所にダンジョンを作り、モンスターを放った。  そんな世界で十八歳となった獅堂辰巳は、ダンジョンに潜る者、ダンジョンモーラーとしての第一歩を踏み出し、ステータスを獲得する。だが、ステータスは最低値だし、パーティーを組むと経験値を獲得できない。スキルは【レベル転生】という特殊スキルが一つあるだけで、それもレベル100にならないと使えないときた。  そんな絶望的な状況下で、最弱のソロモーラーとしてダンジョンに挑み、天才的な戦闘センスを磨き続けるも、攻略は遅々として進まない。それでも諦めずチュートリアルダンジョンを攻略していたある日、一人の女性と出逢う。その運命的な出逢いによって辰巳のモーラー人生は一変していくのだが……それは本編で。 小説家になろう、カクヨムにて同時掲載 カクヨム ジャンル別ランキング【日間2位】【週間2位】 なろう ジャンル別ランキング【日間6位】【週間7位】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...