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陰キャさんは童貞が故にロマンチスト
しおりを挟む「なんでお裸な感じでいらっしゃるんでせう?」
真夜中、俺が就寝する部屋に訪れたアリスは一糸まとわぬ姿だった。なんでさ???
思わず口調がどこぞのソゲブさんになったんですけど。俺は今、宇宙猫みたいな顔になってるぞ多分。
「中に入れてくれないかしら?」
「あ、はい」
もはや俺は『あ、はい』という鳴き声の哀れな生物だ。
こういう時に限っていつも騒がしい奴らは無言だ。おい頼むからなんか言ってくれ。しかしこのポンコツどもうんともすんとも言いやがらない。クソが。
「ベットに腰かけていいかしら」
「あ、はい」
ゴクリ
彼女が歩くたびにローブの隙間から見える素肌やら生足やらに俺は釘付けだった。いやしょうがないじゃん。こちとら陰キャよ?魔法使いコースエリート街道まっしぐらの童貞よ?
「今、私が貴方に与えれるものってこれぐらいしかないの。一応、未経験なのよ?」
そんなこと言われましても。そもそもそんなことは聞いていない。
「この男は本当に……いい? この際だからハッキリ言っておくけど一方的な関係なんて御免被るの」
彼女はそう言うと一切の迷いもなしにローブを脱ぎ捨てた。
ゴクリ
つ、つまりそういうことですか?
思わず生唾を飲んだ。手を出さずとも彼女は一糸纏わぬ姿。俺の理性はガンガン磨り減っていく。
「ほ、本気なの……?」
「えぇこの上なくね。それとも私の体はお気に召さないかしら? 確かにギャルさんには負けるけど全く無いわけでないと思うのだけれど」
彼女は露骨にそして煽情的に自らの乳房を揉みしだいていく。しかしよくよく見れば彼女の手はほんの少し震えていた。
あぁ、アリスはやっぱりそういう子なんだなぁと強く実感した。
別に淫乱とか尻軽とか言いたいわけでも思っているわけでもない。そんなこと微塵も思うわけがない。彼女はどこまでも合理的なのだ。
現状、どう足掻いたところで無力。戦力的にも財力的にも一切合切の要素で俺には敵わない。
つまりはこの状況下ではいつ襲われてもおかしくないわけだ。それならばむしろ自分から純潔を差し出し交渉のカードとするか好感度を稼ぐ。そんなところだろう。
まったく大した奴だよ。
「……?」
何一つ反応を示さない俺に何を思ったのかアリスの瞳に不安の色が宿った。そんな彼女の様子を見て何故か笑みが込み上げてきた。
やっぱりなしだよなぁ。
もちろん彼女に不満があるわけではない。むしろ黒髪清楚系美少女が好みでない男がこの世に存在しないわけがない。
しかしだからこそだ。だからこそ俺はそれを受け取るわけにはいかなかった。もったいないけど。この上なく非常にもったいないけど!!!!!
理由はいくつかあるが、俺はこれでも青春真っ只中の男子高校生だ。しかも童貞。ていうか女の子と付き合ったことすらない惨状という。
自分でもひねくれている自覚はある。しかも致命的なことにそれなりに夢見がちなほうだ。我がことながら救いようがないと思う。しかしそれは陰キャ的に譲れない一線なわけでもありまして。
まぁそんなわけで初体験がそんな後ろめたい関係など御免被るのだ。
脳内会議が終了し、どう断ったものかと悩んでいると、
『いいですね。私もご一緒いたします』
「へ?」
『だ、駄目よ駄目よ! い、いきなりそんなことするのは不健全よっ!! これだから童貞雑魚雑魚マスターは駄目駄目なんだからぁ!!』
「はい???」
目が点になった。
気がつけば部屋の中には見知らぬ美少女が更に二人も出現していたからだ。しかもこれまたほぼ裸に近い格好で。
なんで???
頭の中は疑問符で溢れかえり破裂寸前だ。しかし情けないことにそれを解決する手立てはおろか糸口すら見つかりそうもない。事態は更に混迷さを極め泥沼模様へと猪突猛進しようとしていた。
えっと。とりあえずどちら様です???
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