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高嗤いする美少女ってなんかいいよね②
しおりを挟む「アハハ!!!! 遂に! 遂に!!!! 手に入れたわ!!!! 力を!!! これでやっと! やっと!!!! アハハハハッ!!!!!」
魔角猪の死体がキャンプファイヤーの如くゴウゴウと燃え盛る中、ハイになって高笑いする一ノ瀬アリスさま。
どうした。いやほんとマジで一体全体どうしちゃったんだろうね?
『マスターいつまで現実逃避しているんですか』
呆然とする俺に聖剣ちゃんが声をかけてきた。
え? これ俺がどうにかしなきゃいけない感じ?
いくら聖剣や魔剣を所持しようとも所詮はただの陰キャ。そんな俺にどうしろと。無理無理。ほんと無理無理カタツムリ。
とにもかくにも俺一人ではどうしようもないことは確かだ。
「集合!」
『まったく仕方ないですねぇ』
『ほんとクソ雑魚マスターは駄目♡駄目♡』
なので少しアリスから離れた位置に移動し聖剣ちゃん達を呼び出した。
「え、あれなに。まじであの子どうしたの?」
集まったところで早速本題だ。コイツ等に頼るのは癪だが今はとにかく突破口が欲しい。
『まーアリスちゃんもお年頃ですからねぇ』
『え~雑魚雑魚マスターがまた空気読めないことでもしたんじゃないの~?』
「え、そんな馬鹿な。俺はこれでも一流陰キャよ? そんな初歩的なミスをするわけが……」
いやもしかして気づかない内にやらかしていたか?
正直それを否定することは出来なかった。なにせ俺は陰キャの中の陰キャ。当然、女心なんてろくに理解できるわけもない。
この前の夜の件もあるし、本当になんかやらかしている気がしてきたな。うむむ……。
ツンツン。
自分の過去にあーでもないこーでもないと思い馳せていると背中を誰かに数回つつかれた。
なんぞ?
『なんでいなんでい。俺達を仲間外れにしてコソコソ話をしやがってさ』
「コ、コホン」
振り向くとそこには宙にフワフワと浮かぶ魔導本と件の人物である一ノ瀬アリスがいた。やべぇ。
「あ、はい。これはこれは。なんというかお日柄が良いと言いますか、大変ご機嫌麗しい感じで……」
あ、駄目だこれ。もはや自分が何を言っているのかよく分からないまである。
「なにかしらその反応。なんというかほんの少しだけ癇に障るわね……」
そんな俺を見てアリス様は額に手を当てて呆れたように溜息を吐いた。
土下座か。土下座をするしかない感じですか?
しかし、俺の悲愴な決意とは裏腹に次に彼女が発した言葉は意外なものだった。
「わ、悪かったわね」
「へ?」
「超常の力を急に得て、不覚にも舞い上がってしまったみたい。その……家のことで色々と鬱憤が溜まっていたの。申し訳ないけど今はこれ以上聞かないでくれるとありがたいわ」
「あ、はい」
そんなアリスの話を聞いた俺に頷く以外の選択肢は存在しなかった。
「あら意外ね。もう少し食い下がられると思っていたのだけれど」
「いやいやいや。俺がいくら陰キャでもそれぐらいの分別はあるさ」
誰にだって知られたくない秘密の一つや二つはあるだろう。ましてやそれをズカズカと踏み荒らし、我が物顔で自分だけは分かっています風の発言をするなんてもってのほかだ。そんなことをされた場合、俺なら助走つけてドロップキックをかますね。
それに彼女は確か日本でも有数の名家の令嬢だ。彼女が抱える闇を一般人、ましてや陰キャでしかない俺にあずかり知れるわけもない。
「ふぅん。まぁ陰キャ云々は置いておくとして、その……とても感謝するわ」
そう言うと彼女は俺に向けて微笑んだ。
まぁ彼女にも色々と事情があるということだろう。俺は一先ずそう考えることにした。
それになんかほら。あれだよあれ。
まぁつまるところ聖剣なんてとんでも兵器を持ったところで俺は変わらずなわけでして。ちょっと女の子に笑顔を見せられれば惚れかけるチョロい陰キャなのだ。
つまりこの世の真理の一つ、美少女の笑顔はプライスレスってやつなのだ。
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