48 / 67
また俺なんかやっちゃいましたリターン
しおりを挟む「お、さっそく来たかニャ。お待ちかね査定の結果が出ているニャ!!!」
早速、宿から飛び出し冒険者ギルドに顔を出すとまた猫耳受付嬢が元気良く俺達を出迎えた。
ちなみに聖剣ちゃんと魔剣ちゃんはアイテムボックスに収納、魔導本はアリスが着用するローブの下に隠している。合法的にJKに密着できるとか許せんな。後で表紙の端っこ焦がしてやるからな。
魔角猪の討伐報告に来たわけだが、そういえば出発前に絶対龍種の鱗の買取を依頼したことを思い出した。俺が鱗を出した時の受付嬢の反応を見るにかなり高額で売れるとみた。これは結果が楽しみだ。
「ドゥルルルルルル!ティン! な、なんと~~~!」
まさかのセルフドラムロールである。自分の口でそれをやる人初めて見たんですけど。
「査定結果は三〇金貨ニャッ!!」
「な、なんだってーーーーーーー!!!!!」
ネタで若干オーバーリアクションしてしまったが驚いたのは本当だ。
なにせ金貨一枚の価値は聖剣ちゃん曰く日本円にして一〇万円程度。つまり今回の買取額は日本円にして三〇〇万円相当なわけだ。
たかだか鱗一枚でこの額は破格すぎるだろう。いかにあの絶対龍種が規格外な存在か伺えるな。ていうかそんな相手にレベル1の雑魚をぶつけるなよ。
しかもアイテムボックス内には絶対龍種が丸ごと入っているし、そもそも王国国庫から強奪した金貨やら宝物も多数存在する。この世界であれば人生を七度遊んで暮らしてもお釣りが出るレベルまである。
一瞬もう元の世界に帰らなくてもいいんじゃないか?と頭に過るが、娯楽や快適さを考えると悩ましいところである。だってこの世界、ゲームもコンビニもないしなぁ。
「カゲト達は幸運だったニャ~。魔王軍の動きが活性化しているらしいから需要増えて価格が高騰していたみたいなのニャ!」
急に出た魔王軍という単語にアリスの表情が強張った。それは俺も似たような心情だった。なにせ俺達は魔王軍との決戦兵器として異世界召喚された存在だ。そうなるのも仕方なかった。
「魔王軍か……やっぱり被害って凄いの?」
「? 変な質問ニャ。当然、被害は甚大に決まっているニャ!」
「まぁそうよね。変な質問して悪かったね」
「……明星君?」
アリスが俺に怪訝な視線を投げかけた。
別に博愛主義者に目覚めたわけでもないから安心して欲しい。
しかしアリスには今俺の心の中にある疑念を明かしたいところだが、如何せん情報が不足している。
うーん、この手の情報を集めるにはどこに行けばいいんだろうね。
まぁそこら辺はおいおい考えていけばいいか。まずは目の前の金だ。
「それで金貨は結構重いけどそのまま受け取るかニャ? ギルドで預かることも可能ニャ……多少手数料はかかるけどニャ(超小声)」
こいつ最後だけマジで聞こえるか聞こえないかぐらいの小声で言いやがったぞ。
しかし俺には安心安全万能のアイテムボックスがある。下手に預けるよりも安全だし、何よりギルドから引き出す手間がない。
「あ、じゃあ受け取ります」
「チッ」
こいつ舌打ちしやがったぞ。少しは隠せよ。
そしてそのまま懐に入れるフリをしてアイテムボックスに放り込んだ。
「後、魔角猪を倒したから報酬が欲しいんだけど」
「マジかニャ。駆け出しの冒険者が魔角猪を討伐するとか大金星ニャ。カゲトは冴えない顔してるけどもしかしたら案外大物になるかもニャ!」
冴えないは余計だ。ほっとけ。
「じゃあこれ討伐した証拠ね」
そして俺はおもむろに懐から革袋を取り出しカウンターの上に置いた。それなりの重さがあるせいかズシリと音がなった。
「はいニャ??? ニャニャニャニャ二ャ!?!?!?!?」
革袋の中を確認した猫耳受付嬢は驚いた猫のように素っ頓狂な悲鳴を上げた。
中身は魔角猪から切り取った大量の鼻だ。数にして五〇は下らないだろう。
数々のテンプレに習い、この世界でも討伐系の依頼はその体の一部を切り取ってくるだけでいいらしい。
「いつの間にこんな沢山……本当に抜け目がないわね」
アリスが呆れたような表情を浮かべた。
実はこっそりとアリスがレベル上げに勤しむ中、回収してアイテムボックスに放り込んでおいたのだ。アイテムボックス便利過ぎて笑う。
「ね、ねぇ……」
アリスが恐る恐る俺の服の袖を摘まんだ。
なんぞ?
もしかてお礼かな?いやいやもっと褒めてくれてもいいのよ?
「いやそういうのじゃなくて」
アリスは首振り猫耳受付嬢を指さした。
指の先に存在する猫耳受付嬢は何故かプルプルと震えていた。
あ、やべぇ。これ、また俺なんかやっちゃいましたパターンだ。
「ぎ、ギルマスーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
そして猫耳受付嬢はどこへ駆けて行ってしまった。
あーこれ滅茶苦茶面倒事な予感がする。三十六計逃げるに如かず。こういう時は逃げるのが一番。魔獣討伐報告の途中だったが、ほとぼりが冷めた後に何食わぬ顔でまた来ればいいのだ。
そいうわけで俺達は猫耳受付嬢が戻ってくる前にそそくさと冒険者ギルドを後にした。
62
あなたにおすすめの小説
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる