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第ニ章 遡及編
第36話 遡及編(プロローグ)
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◇ 第二章 遡及編 プロローグ ◇
拓弥さん、真弥、弘人、そして私。
私たちは家族として、平和な日々を送っていた。
だが、ある日、突如現れた殺人鬼によって、私たちは冷酷にも命を奪われる運命にあった。
私が意識を失いかける中、私の前には大切な三人の亡骸が横たわっていた。
そして、目的を果たし自ら命を絶った彼女の姿もあった。
深い悲しみと絶望が私を包み込み、苦痛に耐えることができなかった。
私は、意識を失う最後の瞬間まで、愛する家族たちと共に過ごした幸せな時間を思い出した。
そして、その思い出が私を包み込む中、静かに闇へと沈んでいった…。
――――――
「ようこそ。」
私は、声に驚いて目を開けた。
目の前には、何も無い、ただただ白い空間だけが広がっていた。
私が見た最後の光景は、悲惨で残酷なものだったはずだが、この場所は全く異なっていた。
私は混乱し、周囲を見回した。
そこには、ただ一人の少年が佇んでいた。
彼は、輝く黄金の髪と瑠璃色の瞳を持ち、まさに日本人とは異なる種族の者であることは明らかだった。
しかしながら、彼がただの人間として捉えられるには、あまりにも神秘的で不可思議なオーラを放っていた。
「君を呼んだのは、僕だよ。」
私に話しかけてきたのは、その少年だった。
私は、彼の外見に似合わず知的な喋り方に驚く。
「私の家族はどうなったのですか?」
「残念だけど、君が見た光景は真実だよ。大変悲しい結末だったね。」
「そんなの嘘でしょう!拓弥さん。真弥。弘人。そんなの嫌よ!」
私は現実を受け入れられず、涙が溢れ出た。
「それが涙かね?人間というものは、なかなか理解できない生き物だね。もちろん、君の気持ちはわかるよ。だが、その事実は僕の力を持ってしても修正はできないよ。でも、君は知りたくないのかい?何故、こんな状況になっているのかを…。」
「もちろんです。私は何もわかりません。」
「そうだね。では、これから理解を深める為の話をしようと思う。君たち家族が惨殺されたことは、本来くるべき未来には、存在していない事象だったんだ。つまり、本来起こりうる未来ではない、別の未来を君たちは歩んでしまったのだよ。」
「えっ…と…。」
「まだピンと来ていない感じだよね。無理もない。君たちが存在している時代は『過去改変』などとは無縁だからね。簡単な言い方にしよう。何者かによって過去を都合のいいように修正されて、本来あるべき未来とは異なる未来を歩むことになってしまったようだ。」
「つまり、私たちの家族は、本来なら殺される運命には無かったということでしょうか?」
「そうそう。そういうこと!君が賢い人で良かったよ。君たちの事件のこともそうだけど、かなり前に過去改変されていて、相当な期間、君は間違った未来を歩み続けていたのだよ。問題となる『未来への分岐点』なのだが、君と佐野拓弥が大学時代に別れたその瞬間が『未来の分岐点』なのだよ。そこで、本来あるべき未来と、君が歩んだ間違った未来とに分かれてしまった訳だ。」
「大学時代に私と拓弥さんが別かれたことが間違った未来に繋がり、別れないでいる方が本来の未来に繋がる訳ですね?」
「そうなるね。」
「そんな…。」
あんなに辛い想いをして別れたことが、間違った未来に繋がっていたなんて…。
確かに振り返るとあの時点で別れるのは、色々無理があったように思える。
あの時の私と拓弥君の関係は、直前まで非常に良好だったことを思い出す。
「そこでだ。君には二つの選択肢を与えよう。一つはこのまま消滅すること。君たち人間の言う『死後の世界』になるのかな。実際には存在していないよ。死は、消滅して『無』に戻ることだと我々は捉えている。もう一つは、『未来の分岐点』より少し前に戻り、過去改変した元凶から正しい未来を守ることだね。我々は、これを『チャレンジ』と呼んでいる。」
「あの、あなたは…。」
「ああ。名乗るのがまだだったね。僕はレジャック。申し訳ないが、今はまだそれ以上のことを伝えることができない。ただ、僕は消滅しかけていた君の魂を連れてきた張本人で、君の味方さ。」
「わかりました。レジャックさん。あなたを信じます。ただ、一つ質問が…。」
「何だね?」
「私が授かった子供達。真弥と弘人は、正しい未来に戻った時には…。」
「それは、心配ないよ。君の知る家族は別人に変わることはないよ。君のチャレンジが成功すれば、君の愛する子供達にまた会えるだろう。」
「わかりました。私…チャレンジしてみます。」
「よし。決まりだ。君ならそう言ってくれると思っていたよ。しかし僕は、直接人間に干渉することができない。しかし、間接的には協力できるのだよ。だから、君には強力な能力を授けよう。ただし、強力故に人間の身には過大な力とも言える。そこで、幾つか制限を付けて君に付与しよう。」
「『時間移動』『ループ』『心眼』という能力だ。是非役立てて欲しい。もう少しゆっくり説明したかったが、残念ながら時間が来たようだ。君がチャレンジに成功することを期待しているよ。ではね…」
「あっ…えっ、ちょっと!」
私は、まだレジャックさんに質問があったのだが、再び意識が遠のいてしまったのであった…。
拓弥さん、真弥、弘人、そして私。
私たちは家族として、平和な日々を送っていた。
だが、ある日、突如現れた殺人鬼によって、私たちは冷酷にも命を奪われる運命にあった。
私が意識を失いかける中、私の前には大切な三人の亡骸が横たわっていた。
そして、目的を果たし自ら命を絶った彼女の姿もあった。
深い悲しみと絶望が私を包み込み、苦痛に耐えることができなかった。
私は、意識を失う最後の瞬間まで、愛する家族たちと共に過ごした幸せな時間を思い出した。
そして、その思い出が私を包み込む中、静かに闇へと沈んでいった…。
――――――
「ようこそ。」
私は、声に驚いて目を開けた。
目の前には、何も無い、ただただ白い空間だけが広がっていた。
私が見た最後の光景は、悲惨で残酷なものだったはずだが、この場所は全く異なっていた。
私は混乱し、周囲を見回した。
そこには、ただ一人の少年が佇んでいた。
彼は、輝く黄金の髪と瑠璃色の瞳を持ち、まさに日本人とは異なる種族の者であることは明らかだった。
しかしながら、彼がただの人間として捉えられるには、あまりにも神秘的で不可思議なオーラを放っていた。
「君を呼んだのは、僕だよ。」
私に話しかけてきたのは、その少年だった。
私は、彼の外見に似合わず知的な喋り方に驚く。
「私の家族はどうなったのですか?」
「残念だけど、君が見た光景は真実だよ。大変悲しい結末だったね。」
「そんなの嘘でしょう!拓弥さん。真弥。弘人。そんなの嫌よ!」
私は現実を受け入れられず、涙が溢れ出た。
「それが涙かね?人間というものは、なかなか理解できない生き物だね。もちろん、君の気持ちはわかるよ。だが、その事実は僕の力を持ってしても修正はできないよ。でも、君は知りたくないのかい?何故、こんな状況になっているのかを…。」
「もちろんです。私は何もわかりません。」
「そうだね。では、これから理解を深める為の話をしようと思う。君たち家族が惨殺されたことは、本来くるべき未来には、存在していない事象だったんだ。つまり、本来起こりうる未来ではない、別の未来を君たちは歩んでしまったのだよ。」
「えっ…と…。」
「まだピンと来ていない感じだよね。無理もない。君たちが存在している時代は『過去改変』などとは無縁だからね。簡単な言い方にしよう。何者かによって過去を都合のいいように修正されて、本来あるべき未来とは異なる未来を歩むことになってしまったようだ。」
「つまり、私たちの家族は、本来なら殺される運命には無かったということでしょうか?」
「そうそう。そういうこと!君が賢い人で良かったよ。君たちの事件のこともそうだけど、かなり前に過去改変されていて、相当な期間、君は間違った未来を歩み続けていたのだよ。問題となる『未来への分岐点』なのだが、君と佐野拓弥が大学時代に別れたその瞬間が『未来の分岐点』なのだよ。そこで、本来あるべき未来と、君が歩んだ間違った未来とに分かれてしまった訳だ。」
「大学時代に私と拓弥さんが別かれたことが間違った未来に繋がり、別れないでいる方が本来の未来に繋がる訳ですね?」
「そうなるね。」
「そんな…。」
あんなに辛い想いをして別れたことが、間違った未来に繋がっていたなんて…。
確かに振り返るとあの時点で別れるのは、色々無理があったように思える。
あの時の私と拓弥君の関係は、直前まで非常に良好だったことを思い出す。
「そこでだ。君には二つの選択肢を与えよう。一つはこのまま消滅すること。君たち人間の言う『死後の世界』になるのかな。実際には存在していないよ。死は、消滅して『無』に戻ることだと我々は捉えている。もう一つは、『未来の分岐点』より少し前に戻り、過去改変した元凶から正しい未来を守ることだね。我々は、これを『チャレンジ』と呼んでいる。」
「あの、あなたは…。」
「ああ。名乗るのがまだだったね。僕はレジャック。申し訳ないが、今はまだそれ以上のことを伝えることができない。ただ、僕は消滅しかけていた君の魂を連れてきた張本人で、君の味方さ。」
「わかりました。レジャックさん。あなたを信じます。ただ、一つ質問が…。」
「何だね?」
「私が授かった子供達。真弥と弘人は、正しい未来に戻った時には…。」
「それは、心配ないよ。君の知る家族は別人に変わることはないよ。君のチャレンジが成功すれば、君の愛する子供達にまた会えるだろう。」
「わかりました。私…チャレンジしてみます。」
「よし。決まりだ。君ならそう言ってくれると思っていたよ。しかし僕は、直接人間に干渉することができない。しかし、間接的には協力できるのだよ。だから、君には強力な能力を授けよう。ただし、強力故に人間の身には過大な力とも言える。そこで、幾つか制限を付けて君に付与しよう。」
「『時間移動』『ループ』『心眼』という能力だ。是非役立てて欲しい。もう少しゆっくり説明したかったが、残念ながら時間が来たようだ。君がチャレンジに成功することを期待しているよ。ではね…」
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