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第ニ章 遡及編
第41話 サークルの飲み会
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「やあ、真由君。よく来たね。」
「レジャックさん?私は…何故ここへ?」
「ああ。君はチャレンジの第一関門を突破したので、一度話をしておこうと思ってね。君からの質問のあった能力だけど、先程君が使った能力は『心眼』というのだよ。対象をより深く観察していると、思いがけない情報が得られるよ。」
「ええ。とても驚きました。あの…心眼で彼に『洗脳』と表示されましたが、本当に拓弥さんは洗脳を受けているのでしょうか?」
「ああ。そうだね。君はあまりそういう類いのことから遠ざかった暮らしをしているからね。君からしたら残念なことかも知れないが、心眼の情報は正しいよ。」
「彼の洗脳を解くことはできますか?」
「残念だけど、僕は直接手出しすることを禁じられているからね…。」
「そうですか…。」
「真由君。チャレンジでの目的は分かっているかい?」
「『未来の分岐点』において、私たちが別れない道に導くことですよね?」
「その通り。そのことを忘れないでね。では、またね…。」
レジャックさんは最後にそう言うと、私の意識は再び薄れていったのであった…。
◇ 真由のマンション 2025年11月9日 16:35 ◇
目を覚ます。
私のマンションのベッドの上だった。
直ぐに前のループとは違う状況になっていることを理解する。
スマートフォンの時間を確認する。
今は、2025年11月9日 16:35である。前のループは11月14日だったのでそれより5日も前に戻っていた。
スケジュールアプリを開いて予定を確認する。
午前中は授業があり、夜からはサークルの飲み会が入っていた。
(確か…今晩開かれる飲み会の後に写真を撮られたはず。二次会へ移動する時に、山本君に肩を抱かれている場面をホテル前で撮影されていたと拓弥さんは言っていた。もし、撮影されないで済むとしたら、証拠が無くなる訳だから別れる未来を阻止できるかも…。)
間違った未来の震災の時に、地下で拓弥さんに教えて貰った時の話が役に立った。
どういう状況で撮影されたかわかるだけでも防ぎようがあるからだ。
あの時の拓弥さんは、優しくて素敵だったなと思い出すと、つい頬が緩んでしまうのであった。
私は、単純ではあるが作戦を考えた。
山本君とホテル前で撮影されたのが問題なのだから、山本君とホテル前に注意すればいいのである。
現在の時間からして、午前中は授業を受けて午後に昼寝でもしていたのかも知れない。
サークルの飲み会は、18:00にペチ公前に集合だったので、シャワーを浴びて身支度を整えた。
◇ 18:00 ペチ公前 ◇
電車を使って移動し、時間通りに集合場所に到着する。
「おーい!真由!こっちだよ~!」
声を掛けてきたのは、渡井 加奈。私の所属するテニスサークルのメンバーである。
他にも、山本君、酒井君、井上君、望月君、岸谷君、石崎君の男性6名と、私と加奈、絢香、舞華、咲の女性5名が集まった。
欠席者が6名いたので今回は11名で飲み会が行われる。
10年振りに見る仲間達の姿に感動するも、他の方々からすれば最近会ったばかりなので、おかしな反応にならないように気をつけた。
やはり、10年の差は大きいなとしみじみ思う。特に肉体的には…。移動時の動きが軽いのを実感する。
私たちが訪れたのは、大衆居酒屋の『寄ってって』である。
特別美味しくて評判という訳ではないが、安さはピカイチなので、懐が素ない大学生には良くチョイスされる居酒屋である。
「乾杯ー!!」
山本君の勢いよく放った乾杯の音頭で、飲み会がスタートした。
親しい仲間たちとの飲み会は、心地よさが溢れるものだった。
男女が交じり合う宴会とはいえ、不埒な展開になるわけではないため、私も時折参加していた。
女性メンバーたちも加奈をはじめとして、気心の合う友人が多く、会話も盛り上がった。
家庭を持ち、子育てに追われる現在、このような楽しい時間を過ごす機会はなかなか訪れない。
だからこそ、心が躍る思いで、久しぶりの飲み会に参加したのであった。
「レジャックさん?私は…何故ここへ?」
「ああ。君はチャレンジの第一関門を突破したので、一度話をしておこうと思ってね。君からの質問のあった能力だけど、先程君が使った能力は『心眼』というのだよ。対象をより深く観察していると、思いがけない情報が得られるよ。」
「ええ。とても驚きました。あの…心眼で彼に『洗脳』と表示されましたが、本当に拓弥さんは洗脳を受けているのでしょうか?」
「ああ。そうだね。君はあまりそういう類いのことから遠ざかった暮らしをしているからね。君からしたら残念なことかも知れないが、心眼の情報は正しいよ。」
「彼の洗脳を解くことはできますか?」
「残念だけど、僕は直接手出しすることを禁じられているからね…。」
「そうですか…。」
「真由君。チャレンジでの目的は分かっているかい?」
「『未来の分岐点』において、私たちが別れない道に導くことですよね?」
「その通り。そのことを忘れないでね。では、またね…。」
レジャックさんは最後にそう言うと、私の意識は再び薄れていったのであった…。
◇ 真由のマンション 2025年11月9日 16:35 ◇
目を覚ます。
私のマンションのベッドの上だった。
直ぐに前のループとは違う状況になっていることを理解する。
スマートフォンの時間を確認する。
今は、2025年11月9日 16:35である。前のループは11月14日だったのでそれより5日も前に戻っていた。
スケジュールアプリを開いて予定を確認する。
午前中は授業があり、夜からはサークルの飲み会が入っていた。
(確か…今晩開かれる飲み会の後に写真を撮られたはず。二次会へ移動する時に、山本君に肩を抱かれている場面をホテル前で撮影されていたと拓弥さんは言っていた。もし、撮影されないで済むとしたら、証拠が無くなる訳だから別れる未来を阻止できるかも…。)
間違った未来の震災の時に、地下で拓弥さんに教えて貰った時の話が役に立った。
どういう状況で撮影されたかわかるだけでも防ぎようがあるからだ。
あの時の拓弥さんは、優しくて素敵だったなと思い出すと、つい頬が緩んでしまうのであった。
私は、単純ではあるが作戦を考えた。
山本君とホテル前で撮影されたのが問題なのだから、山本君とホテル前に注意すればいいのである。
現在の時間からして、午前中は授業を受けて午後に昼寝でもしていたのかも知れない。
サークルの飲み会は、18:00にペチ公前に集合だったので、シャワーを浴びて身支度を整えた。
◇ 18:00 ペチ公前 ◇
電車を使って移動し、時間通りに集合場所に到着する。
「おーい!真由!こっちだよ~!」
声を掛けてきたのは、渡井 加奈。私の所属するテニスサークルのメンバーである。
他にも、山本君、酒井君、井上君、望月君、岸谷君、石崎君の男性6名と、私と加奈、絢香、舞華、咲の女性5名が集まった。
欠席者が6名いたので今回は11名で飲み会が行われる。
10年振りに見る仲間達の姿に感動するも、他の方々からすれば最近会ったばかりなので、おかしな反応にならないように気をつけた。
やはり、10年の差は大きいなとしみじみ思う。特に肉体的には…。移動時の動きが軽いのを実感する。
私たちが訪れたのは、大衆居酒屋の『寄ってって』である。
特別美味しくて評判という訳ではないが、安さはピカイチなので、懐が素ない大学生には良くチョイスされる居酒屋である。
「乾杯ー!!」
山本君の勢いよく放った乾杯の音頭で、飲み会がスタートした。
親しい仲間たちとの飲み会は、心地よさが溢れるものだった。
男女が交じり合う宴会とはいえ、不埒な展開になるわけではないため、私も時折参加していた。
女性メンバーたちも加奈をはじめとして、気心の合う友人が多く、会話も盛り上がった。
家庭を持ち、子育てに追われる現在、このような楽しい時間を過ごす機会はなかなか訪れない。
だからこそ、心が躍る思いで、久しぶりの飲み会に参加したのであった。
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