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第一章 ジンディオールの復讐編
第46話 ガズールと大鷲
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鳥のさえずりに目覚めた私は、見慣れない天井に目を凝らした。
「んんー!そうだった…。ガズールの兵舎にいるんだ…。」
ふと横を見ると、ジュリアがぐっすりと眠っている。彼女の髪は朝日に照らされて、金色に輝いていた。
(最近、ほぼ毎晩一緒に寝てるな。もう当たり前みたいになっているけど…。)
念のため言っておくが、私はジュリアと一線を越えたことはない。
彼女のことは好きだし、魅力的だと思うが、若い女性に手を出すのは気が引ける。
それに、一時の感情に流されて後悔するようなことはしたくない。
(でも、このままだと俺の理性が崩壊しそうだ…。)
「ジンさん、お目覚めですか?おはようございます…。」
「おはよう、ジュリア。」
ジュリアは目を開けて、私に笑顔を向けた。彼女はいつも通りで、安心した。
こうして、辺境の地での一日が始まったのだった…。
◇ 防衛都市ガズール 市街地 ◇
「やったぁ!お出かけですね!」
「そうだな。基本的に襲撃がない時は休みらしいからな。」
私たちの任務は、ガズールに魔物が襲来したときに、迎撃することだった。
司令官のカヌリュからは、「襲撃がない日は自由に過ごしていい」と言われていたので、今日は気ままに街を散策している。
街には、飲食店や雑貨屋、武器屋など、聖都にもあるような一般的なお店があった。
しかし、規模は聖都に比べて小さく、お店よりも民家のほうが多かった。
昼食を食べた飲食店の店主に話を聞くと、この街は兵士とその家族のための街で、観光客はほとんど来ないという。その為、お店は必要最低限しかないのだという。
大魔境から国民を守るために存在する街…。聖都の華やかさとは違う、厳しい現実を感じた。
「ジンさん、あそこに行ってみませんか?」
「どこだい?」
「あの高い塔のところです。『物見の塔』って言うんですって。」
「なるほど。あそこなら街全体が見渡せそうだね。いいね。行こう。」
私たちは、街の中心にそびえる塔に向かった。
物見の塔は、魔物の襲撃を早く察知するために作られたものだという。
ガズールには九箇所の物見の塔があるが、ここだけは兵を配置せず、誰でも自由に利用できるとのことだった。
私たちはらせん階段を登って、物見の塔の最上階に到着した。
「わぁ!すごい!」
展望台から見下ろすと、街の建物が一望できた。街並みは、オレンジ色の屋根で統一されていて、美しかった。
「ホセ村の北の山で見た景色を思い出すな。」
「そうですね。景色は全然違いますけど、なんだか落ち着きます。」
そよ風が吹いて、ジュリアの髪が揺れた。私は彼女の横顔を見ながら、この平和な時間がずっと続けばいいのにと思った。
「ラララ~。」
そのとき、ジュリアが歌を口ずさんだ。
「私はこんなにも…遠くまで来てしまった。」
「知らない景色や…人々に触れて沢山の。」
「笑顔や涙や…笑い声に出会ったの。」
「辛いこともあったけど…。」
「あなたの傍にいるだけで。」
「幸せ~。」
清らかで美しい歌声だった。
ジュリアはこの旅で何度も歌を披露してくれた。私は彼女の歌が大好きだった。何だか力が湧いてくるような、そんな魅力を感じる歌声なのだ。
「あっ!」
ジュリアは、歌が終わると突然驚いた顔をした。
「ジュリア?どうしたんだ?」
「なんだか新しい能力に目覚めたみたいです。」
私は確認のために『インフォ』を使った。
「本当だ。『魔歌』というスキルを習得したみたいだな!どうやら歌に魔力を込めて対象の能力を上げたり、傷を癒したりできるそうだ。レベルが上がればその能力や効果が向上するようだね。」
「本当ですか!?歌が何かの力になるなんて、初めて聞きました。ジンさんの戦闘のサポートができるかもしれませんね!」
「ああ。楽しみにしているよ、ジュリア!」
「はい!頑張ります!」
《カン!カン!カン!カン!》
私たちが物見の塔から兵舎に戻ろうとしたとき、突然街中に大きな鐘の音が響いた。
「ジンさん、これは!?」
「魔物の襲撃だ。急げ!」
◇ ガズール北東地域 ◇
私たちが兵士に指示されて向かったのは、街の北東部にある集落だった。
そこには、ヘルイーグルという魔物が集落で暴れていて、兵士たちが必死に戦っていた。
「うわぁぁぁ!」
ヘルイーグルに胴体をクチバシでつかまれ、左右に振り回される兵士がいた。
気を失って、もはや抵抗できない。そのままパクリと飲み込まれてしまった。
「ああ!ピート!この馬鹿鷲がぁぁぁ!!」
兵士たちは剣で斬りかかったり、弓矢で射ったりと抵抗を試みるが、大きなダメージは与えられていないようである。
「待たせたな!ここからは、私たちが対応する。怪我人を連れて下がってくれ!ジュリア!怪我人の対応を頼む!」
「任せてください!」
「冒険者のジンとジュリアか!恩に着る!ピートが殺られちまった!奴を倒してくれ!」
「ああ。任しておけ!」
「んんー!そうだった…。ガズールの兵舎にいるんだ…。」
ふと横を見ると、ジュリアがぐっすりと眠っている。彼女の髪は朝日に照らされて、金色に輝いていた。
(最近、ほぼ毎晩一緒に寝てるな。もう当たり前みたいになっているけど…。)
念のため言っておくが、私はジュリアと一線を越えたことはない。
彼女のことは好きだし、魅力的だと思うが、若い女性に手を出すのは気が引ける。
それに、一時の感情に流されて後悔するようなことはしたくない。
(でも、このままだと俺の理性が崩壊しそうだ…。)
「ジンさん、お目覚めですか?おはようございます…。」
「おはよう、ジュリア。」
ジュリアは目を開けて、私に笑顔を向けた。彼女はいつも通りで、安心した。
こうして、辺境の地での一日が始まったのだった…。
◇ 防衛都市ガズール 市街地 ◇
「やったぁ!お出かけですね!」
「そうだな。基本的に襲撃がない時は休みらしいからな。」
私たちの任務は、ガズールに魔物が襲来したときに、迎撃することだった。
司令官のカヌリュからは、「襲撃がない日は自由に過ごしていい」と言われていたので、今日は気ままに街を散策している。
街には、飲食店や雑貨屋、武器屋など、聖都にもあるような一般的なお店があった。
しかし、規模は聖都に比べて小さく、お店よりも民家のほうが多かった。
昼食を食べた飲食店の店主に話を聞くと、この街は兵士とその家族のための街で、観光客はほとんど来ないという。その為、お店は必要最低限しかないのだという。
大魔境から国民を守るために存在する街…。聖都の華やかさとは違う、厳しい現実を感じた。
「ジンさん、あそこに行ってみませんか?」
「どこだい?」
「あの高い塔のところです。『物見の塔』って言うんですって。」
「なるほど。あそこなら街全体が見渡せそうだね。いいね。行こう。」
私たちは、街の中心にそびえる塔に向かった。
物見の塔は、魔物の襲撃を早く察知するために作られたものだという。
ガズールには九箇所の物見の塔があるが、ここだけは兵を配置せず、誰でも自由に利用できるとのことだった。
私たちはらせん階段を登って、物見の塔の最上階に到着した。
「わぁ!すごい!」
展望台から見下ろすと、街の建物が一望できた。街並みは、オレンジ色の屋根で統一されていて、美しかった。
「ホセ村の北の山で見た景色を思い出すな。」
「そうですね。景色は全然違いますけど、なんだか落ち着きます。」
そよ風が吹いて、ジュリアの髪が揺れた。私は彼女の横顔を見ながら、この平和な時間がずっと続けばいいのにと思った。
「ラララ~。」
そのとき、ジュリアが歌を口ずさんだ。
「私はこんなにも…遠くまで来てしまった。」
「知らない景色や…人々に触れて沢山の。」
「笑顔や涙や…笑い声に出会ったの。」
「辛いこともあったけど…。」
「あなたの傍にいるだけで。」
「幸せ~。」
清らかで美しい歌声だった。
ジュリアはこの旅で何度も歌を披露してくれた。私は彼女の歌が大好きだった。何だか力が湧いてくるような、そんな魅力を感じる歌声なのだ。
「あっ!」
ジュリアは、歌が終わると突然驚いた顔をした。
「ジュリア?どうしたんだ?」
「なんだか新しい能力に目覚めたみたいです。」
私は確認のために『インフォ』を使った。
「本当だ。『魔歌』というスキルを習得したみたいだな!どうやら歌に魔力を込めて対象の能力を上げたり、傷を癒したりできるそうだ。レベルが上がればその能力や効果が向上するようだね。」
「本当ですか!?歌が何かの力になるなんて、初めて聞きました。ジンさんの戦闘のサポートができるかもしれませんね!」
「ああ。楽しみにしているよ、ジュリア!」
「はい!頑張ります!」
《カン!カン!カン!カン!》
私たちが物見の塔から兵舎に戻ろうとしたとき、突然街中に大きな鐘の音が響いた。
「ジンさん、これは!?」
「魔物の襲撃だ。急げ!」
◇ ガズール北東地域 ◇
私たちが兵士に指示されて向かったのは、街の北東部にある集落だった。
そこには、ヘルイーグルという魔物が集落で暴れていて、兵士たちが必死に戦っていた。
「うわぁぁぁ!」
ヘルイーグルに胴体をクチバシでつかまれ、左右に振り回される兵士がいた。
気を失って、もはや抵抗できない。そのままパクリと飲み込まれてしまった。
「ああ!ピート!この馬鹿鷲がぁぁぁ!!」
兵士たちは剣で斬りかかったり、弓矢で射ったりと抵抗を試みるが、大きなダメージは与えられていないようである。
「待たせたな!ここからは、私たちが対応する。怪我人を連れて下がってくれ!ジュリア!怪我人の対応を頼む!」
「任せてください!」
「冒険者のジンとジュリアか!恩に着る!ピートが殺られちまった!奴を倒してくれ!」
「ああ。任しておけ!」
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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