元最強魔剣士に転生しちゃった。~仇を追って旅に出る~

飛燕 つばさ

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第二章 レーナス帝国編

第74話 力の差(ジンディオール視点)

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「ジュリア!いくぞ!」
「はい!お任せください!」

 私たちは、帝国軍司令官ザナクゥと対峙たいじした。

 私にとっての彼は、かつての上官であり、目標とする存在でもあった。

 死亡してスキルとなった私は、あるじから身体の自由をたくされてここに立っている。

「やぁぁぁ!」

 最初に攻撃を仕掛けたのはジュリアだった。

《ヒュンッ!》

「ほう…。二本矢にほんやか。速度も精度も素晴らしい。だが…。」

 彼女の弓術きゅうじゅつは、相当に実力を上げていた。そして、高等技術である二本矢もいつの間にか会得えとくしていた。

《カン!カン!》

「あっ!」

 ジュリアは驚きの声を上げた。

 ザナクゥの重鎧じゅうがいは鉄壁の守りをほこっており、矢は鎧によって弾かれて地面に落下してしまったのだ。

「矢の強度や、威力はまだまだだな。だが、弓術レベル7とは素晴らしい。我が軍に欲しい人材だな。」

「まさか!?ジュリアの能力を正確に把握はあくしたのか??」

「何を驚いているのかね?君も保有しているのだろう?私は『鑑定』という名のスキルなのだがね。」

 私はすかさず『インフォ』でザナクゥの能力を見定めた。

《 基礎情報 》
名前:ザナクゥ???
レベル :Unknown
性別:男性
年齢:36歳
種族:Unknown
職業:帝国軍司令官
説明:帝国軍司令官。彼が所有する隠蔽スキルにより、多くの情報が秘匿ひとくされている。

《 スキル 》
鑑定:レベル8
隠蔽:レベル8
Unknown
Unknown
Unknown
Unknown
Unknown

(クソッ!私と同じ隠蔽スキル持ちか。ほとんどの情報が謎のようだ。)

「ならば、こちらから仕掛けるだけだ!『しゅんきゃく!』『ごうわん!』はぁぁぁ!」

《ブンッ!》

 私は主が取得した身体能力を高めるスキルを使用して、一気にザナクゥの間合いに入り込み、強力な斬撃を放った。

《キーン!》

「ほぅ…。これはまた素晴らしいスキルだ。脚力と腕力を大きく高めるスキルだな?以前はそのような能力は無かったと記憶しているのだがね?」

 ザナクゥは身体能力を大きく向上した私の攻撃を、片手で握った剣で軽々と受け止めていた。

「馬鹿な!?軽々と!?」

 私や主はフレイとの一戦により、レベルが100を超えていた。レベルだけで言えば全盛期の私を超える実力があるはずだった。

(これでも届かないのか…。)

「その程度で強くなったつもりでいるのかね?『魔剣士:極』を失ったのは痛手だったようだね。それっ!」

《ブンッ!》

《キーン!》

「うわぁぁぁ!」

 私はザナクゥの攻撃を剣で何とか受け止めるが、その威力いりょくで後方へとばされてしまう。

「何なんだ!?その力は…。人間のいきえている。あなたは一体…。」

「私の正体が気になるならば、せて実力であばいてみるがいい!」

「ならば、そうさせて頂こう!『きゅうしき鬼神きじんい!』『ろくしき死神しにがみ大鎌おおがま!』」

 私は、偽魔剣士スキルで身体能力を大きく向上させ、強力な斬撃をザナクゥに仕掛けようとした。

「何っ!?その技はまさか!?いや…。それは本当の魔剣士スキルではないな?」

 ザナクゥは最初は驚いたものの、直ぐに冷静になった。

 そして、私が攻撃を仕掛ける直前に、おくすることなく一歩前にみ込んだのである。

《ガッキィィィン!》

「馬鹿な!?素手で渾身こんしんの一撃を受け止めただと!?」

 決着をつけようとしていた私は、この結果に驚いた。

 彼がつかんでいたのは、剣の切先きっさきとは真逆まぎゃくつばに近い部分だった…。

 一歩踏み込んだことで、斬撃が振り下ろされる前に私の力を殺し、最も斬撃の力が届きにくい場所を選んで、剣の動きを手で止めたのだろう。

「残念だよ。か弱いのだから、そんな小細工をせずに本気を見せて貰いたかったのだがね。では、君との力の差を少しだけ見せてやろう!部屋を壊すと後が大変だ。三割でいこう!」

「はぁぁぁぁぁ!!」

 ザナクゥは掛け声を上げた。

 すると、彼の周囲には真っ赤な闘気オーラのようなものが全身をおおった。

 私は反射的にひるみ、一歩後方に後ずさった。

爆烈拳ドラゴニックアタック!』

 ザナクゥは剣を床に突き刺して、素手による連続する攻撃を放った。

《ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!》

「ぐおぉぉぉ!」

 私は、ザナクゥの拳による激しい連続攻撃を回避できずに、無数の拳が次々と直撃してしまった。

 腹部に胸部、顔面へと容赦ようしゃない攻撃がびせられていく。

(一撃一撃が重く…鋭い。これで三割の力だと!格が違い過ぎる…。)

 痛みが身体中をおおくし、血反吐ちへどき、顔は打撃で醜く変形していた。

 私は衝撃しょうげき反動はんどうにより、部屋の奥の方まで突き飛ばされていた。

 激突げきとつした壁にはヒビが入り、大きく陥没かんぼつしていた。

「ああ。しまった!壁を破壊はかいしてしまった。弁償代べんしょうだいが高くつきそうだな。」

 ザナクゥは更なる追撃のために、私の元に移動を始めた。私は、激しい痛みにより、身動きが取れなくなっていた。

「やめて!やめてください!」

 見かねたジュリアが止めに入った。

「おっと、邪魔はしないでくれたまえ!」

《ドン!バタッ!》

 ジュリアは、首筋を強打されて気を失ってしまった。

 私の横には、助けにきたジュリアも一緒に横たわることになってしまったのだ。

 私は、敗北した…。

 まったく手も足も出ずに…。

 ザナクゥが私たちを見下ろしている。

「本当は、君が変身するのを待ってから倒しても良かったのだがね。より確実で楽にらえられる方を選ぶことにしたよ。」

 目に映る彼の顔がゆがんで見えている。実際には脳震盪のうしんとうによる、後遺症こういしょうが起きているのだろう。

「これから君たちは、『ラボ』に行ってもらおう。私の手足となって忠実に働くにするためにね…。」

(あぁ…。意識が遠のく…。すまない…ジン。)

「ゴンじいがきっと喜ぶことだろう…。」

 私は、敗北して意識を手放してしまったのであった…。
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