23 / 111
第一幕 転校生は朝ドラ女優!?
ACT22
しおりを挟む
ワイドショーは私の話題で持ちきりだった。
『新田結衣、芸能界引退か!?』視聴者を煽りに煽った報道は、あっという間に過熱した。
数日前までの状況しか知らないけど。
文化祭からすでにひと月あまりが過ぎていた。
ちなみに私は自分の部屋に引きこもっていた。
テレビを点ければあることないこと報道されているからテレビを見るのをやめた。
コンコン。
ドアがノックされる。
「結衣。いい加減出てきなさい」
窘めるように松崎さんが言う。
その後ろで、爪を噛みながら頭を掻く高野さんが見え隠れする。
「結衣。テレビに出なさい」
「えっ?」
「あなたの本当の気持ちを話しなさい」
「でも、今更……」
「好き勝手言われていいの? あなただけじゃない。お友達の事も、仕事の事も、自分の気持ちをちゃんと伝えなきゃ、何も始まらないわよ」
「でも」
一度沈んだ気持ちは簡単には浮上してこない。
「結衣。スマホは?」
「見てない」
怖いのだ。新しく出来た友達はみんなきっと呆れてる。愛想を尽かしてる。
「スマホはどこ?」
語気に苛立ちが見え隠れする。
「松崎さん怖い」
「いいから、とにかく見なさいッ!」
私は仕方なくスマートフォンを探す。
ようやく見つけたスマートフォンには、ひぃ、ふぅ、みぃ、よ……。
うわぁ……すごい数の着信。
LINEもすごいことになってる。開口一番、目に飛び込んできたのは『無視すんじゃねぇよ』という殺伐としたものだった。
『あ、既読ついた』
『マジだ』
『ヤホー! 元気?』
『元気なわけねぇだろ!』
そんな他愛のない内容が続く。
『でさ、動画送ってるから見て。じゃ』
『ユッキーまたね~』
一方的に言いたいことだけ言って話は終わり。
そういえば動画って何だろ?
画面を下へ下へとスクロールする。
あった――添付された動画が一つ。
再生してみる。
『「結衣ごめんね。私、何にも力になれなかったね。どこかで思ってたんだ、結衣の友達は私だって。慢心だったと思う。みんなに打ち明けてればよかった」
申し訳なさそうに俯く。
「なになに~。辛気臭い。ミズキ気にし過ぎだし」
カメラのフレームにチラチラと鈴音の金髪が見えている。
「そうですよ。確かに私たち、結衣さんに利用されてただけなのかと思ったりもしましたけど、そんなことないっていうのは付き合ってきた私たちが一番よく知ってますから。
それに、いざとなればお父様に頼んでいろいろと裏で動いてもらいますから」
「まあ、私たちがついてるって事」
友香がフレームインしてきて言う。
「なに勝手に〆ようとしてるの? 私からも一つだけ。綾人のヤツ、あれからヘソ曲げちゃってさ。ちゃんと話しなよ」
花楓は気にも留めてないとでも言うように素っ気ない態度で語った。
「ほら、シノッチもなんか言いなよ」
鈴音に急かされて詩乃がカメラの前に座らされる。
「んー……私は結衣が女優って知ってたよ」
「マジで!?」
「うん。マジで」
「何でわかったの?」
「んー、勘」
「勘かよ」
「ああ、言いたいこと言ってなかった。私たちみんな結衣の味方だから。それだけ」』
そう言うと友香がアップになって動画は終了した。
「松崎さん」
「ん、なに?」
「私、テレビ出ようかな。出られる?」
「もちろん。任せて」
踵を返して「派手に復帰飾るわよ」と息巻きながら部屋を出て行った。
大丈夫。私には頼れる仲間と友達がいるから。
ここひと月あまり沈んでいた気持ちがウソみたいに軽くなった。
浮上した気持ちのままにどこまでも飛んでいけそうな気がした。
『新田結衣、芸能界引退か!?』視聴者を煽りに煽った報道は、あっという間に過熱した。
数日前までの状況しか知らないけど。
文化祭からすでにひと月あまりが過ぎていた。
ちなみに私は自分の部屋に引きこもっていた。
テレビを点ければあることないこと報道されているからテレビを見るのをやめた。
コンコン。
ドアがノックされる。
「結衣。いい加減出てきなさい」
窘めるように松崎さんが言う。
その後ろで、爪を噛みながら頭を掻く高野さんが見え隠れする。
「結衣。テレビに出なさい」
「えっ?」
「あなたの本当の気持ちを話しなさい」
「でも、今更……」
「好き勝手言われていいの? あなただけじゃない。お友達の事も、仕事の事も、自分の気持ちをちゃんと伝えなきゃ、何も始まらないわよ」
「でも」
一度沈んだ気持ちは簡単には浮上してこない。
「結衣。スマホは?」
「見てない」
怖いのだ。新しく出来た友達はみんなきっと呆れてる。愛想を尽かしてる。
「スマホはどこ?」
語気に苛立ちが見え隠れする。
「松崎さん怖い」
「いいから、とにかく見なさいッ!」
私は仕方なくスマートフォンを探す。
ようやく見つけたスマートフォンには、ひぃ、ふぅ、みぃ、よ……。
うわぁ……すごい数の着信。
LINEもすごいことになってる。開口一番、目に飛び込んできたのは『無視すんじゃねぇよ』という殺伐としたものだった。
『あ、既読ついた』
『マジだ』
『ヤホー! 元気?』
『元気なわけねぇだろ!』
そんな他愛のない内容が続く。
『でさ、動画送ってるから見て。じゃ』
『ユッキーまたね~』
一方的に言いたいことだけ言って話は終わり。
そういえば動画って何だろ?
画面を下へ下へとスクロールする。
あった――添付された動画が一つ。
再生してみる。
『「結衣ごめんね。私、何にも力になれなかったね。どこかで思ってたんだ、結衣の友達は私だって。慢心だったと思う。みんなに打ち明けてればよかった」
申し訳なさそうに俯く。
「なになに~。辛気臭い。ミズキ気にし過ぎだし」
カメラのフレームにチラチラと鈴音の金髪が見えている。
「そうですよ。確かに私たち、結衣さんに利用されてただけなのかと思ったりもしましたけど、そんなことないっていうのは付き合ってきた私たちが一番よく知ってますから。
それに、いざとなればお父様に頼んでいろいろと裏で動いてもらいますから」
「まあ、私たちがついてるって事」
友香がフレームインしてきて言う。
「なに勝手に〆ようとしてるの? 私からも一つだけ。綾人のヤツ、あれからヘソ曲げちゃってさ。ちゃんと話しなよ」
花楓は気にも留めてないとでも言うように素っ気ない態度で語った。
「ほら、シノッチもなんか言いなよ」
鈴音に急かされて詩乃がカメラの前に座らされる。
「んー……私は結衣が女優って知ってたよ」
「マジで!?」
「うん。マジで」
「何でわかったの?」
「んー、勘」
「勘かよ」
「ああ、言いたいこと言ってなかった。私たちみんな結衣の味方だから。それだけ」』
そう言うと友香がアップになって動画は終了した。
「松崎さん」
「ん、なに?」
「私、テレビ出ようかな。出られる?」
「もちろん。任せて」
踵を返して「派手に復帰飾るわよ」と息巻きながら部屋を出て行った。
大丈夫。私には頼れる仲間と友達がいるから。
ここひと月あまり沈んでいた気持ちがウソみたいに軽くなった。
浮上した気持ちのままにどこまでも飛んでいけそうな気がした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
煙草屋さんと小説家
男鹿七海
キャラ文芸
※プラトニックな関係のBL要素を含む日常ものです。
商店街の片隅にある小さな煙草屋を営む霧弥。日々の暮らしは静かで穏やかだが、幼馴染であり売れっ子作家の龍二が店を訪れるたびに、心の奥はざわめく。幼馴染としてでも、客としてでもない――その存在は、言葉にできないほど特別だ。
ある日、龍二の周囲に仕事仲間の女性が現れ、霧弥は初めて嫉妬を自覚する。自分の感情を否定しようとしても、触れた手の温もりや視線の距離が、心を正直にさせる。日常の中で少しずつ近づく二人の距離は、言葉ではなく、ささやかな仕草や沈黙に宿る。
そして夜――霧弥の小さな煙草屋で、龍二は初めて自分の想いを口にし、霧弥は返事として告白する。互いの手の温もりと目の奥の真剣さが、これまで言葉にできなかった気持ちを伝える瞬間。静かな日常の向こうに、確かな愛が芽吹く。
小さな煙草屋に灯る、柔らかく温かな恋の物語。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる