天使予報

序章

天使予報

ここは天界。
天使が住まう所である。

「今日もいい天気だな」
「バカ言ってんじゃない。天界は年中晴れだろ」

などと平和な会話が飛び交う所。それが天界。
そこで毎朝放送される人間界の未来の出来事……天使予報。
そこでは人間界の有名企業が倒産……戦争の勃発など少し先に起こる重大な事件が放送される。
しかし天界の天使にとってはどんな放送も特に興味深いものはなく、気にするものはほとんどいない。
そんなある日の事である。

「おはようございまーす。今日の天使予報の時間でーす。今日の天使予報は……え……これなに？」

アナウンサーの天使が明らかに動揺していた。
しかし決心した表情でこう続けた。

「え……はい。本日の天使予報を伝えます……天界は近く人間界に呑み込まれるだろう……とのことです……」

天界には衝撃が走ったが、天界が人間界に呑み込まれる？
はっ。ふざけた冗談だ。
天界が人間界を呑み込むことはあっても、断じてその逆はあり得ない。
皆そう思い、いつもと変わらぬ日常を過ごしていた。
しかし、皆心のどこかで不安を抱えていた。
それは天使予報の的中率である。
皆が大した関心を持たずに見ていた天使予報……その的中率は100%である。