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監禁型④
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保健室に着く。どうやら養護教諭の先生は席を外しているようで、部屋には誰もいない。
ある程度勝手は知っているのだろうか。彼は棚の中を探り、コールドスプレーとテーピングを取り出した。きっと、部活で怪我をする生徒を同じように診ているのだろう。
「スプレーでとりあえず冷やすか。簡単な処置くらいならできるが……少し痛いかもしれない」
「すみません、ありがとうございます」
優しい人だ。細かなところまで気遣いをするタイプらしい。痛みに顔が歪むが、我慢できないほどではない。しかし彼は部長なのに、わざわざ着いてきてもらって申し訳ない。俺のために動いてくれる姿を見ると、罪悪感が胸を刺した。
「四方田、クラスではどんな感じだ?」
ふと、足の処置を続けたまま先輩が切り出す。無言のままではきまずいだろうと思ったのだろうか。話していた方が痛みも紛れる気がして、ありがたかった。
「そう、ですね……明るくて、いっつもクラスを盛り上げてくれてますよ。俺も仲良くしてもらってるし、ありがたいです」
脳裏に笑顔が浮かぶ。せっかく見学に連れてきてくれたのに、迷惑をかけてしまった。四方田くんにも後で謝らないといけないだろう。
「部活でも、同じ感じですか?」
問えば、ああ、と笑いを滲ませた返事。
「良い奴だよ。ウチでもムードメーカーになってくれるし、チームメイトを励ましてくれるし──バイトで疲れてるだろうに、部活にも顔を出して。立派な奴だ」
「……ふ、はは、イメージ通りだ。うん、本当に──すごい子ですよね。俺も、尊敬してます」
「疲れが溜まってないか、たまに不安になるけどな」
やっぱり。思わず口角がゆるりと上がった。手際の良い処置をしていた先輩が、こちらをちらと見上げて口を開く。
「田山、確か前に救急車で運ばれてたろ。聞いたことあるぞ」
救急車、というと──参宮くんとの一件だろう。倉庫で脚立から彼を庇った日のことだ。……関わったことのない人のところにまで広まっているのか。思いのほか、大事になってしまっていたようだ。なんだか、妙に気恥しい。
「……知ってるんですね」
「そりゃあな。結構騒ぎになってた」
ふっとまた笑いを含ませて言う。そうすると先輩は視線を下げて、手の動きを再開した。
「そんなにすか」
「ああ。俺が聞いた話だと──物が落ちてきて大怪我したとか?」
大怪我──といえば、大怪我だろうか。傷は浅かったのだが、流血したと聞けば確かに大事にはなるだろう。救急車で運ばれたところまでが広まったようだ。 まあ、噂に尾鰭が付いて変に広まらなかっただけマシだと思った方が良い。
「友だちの上に脚立が落ちてきそうで。慌てて庇ったんです、そしたらあのザマで」
ふと。ぴたりと手を止めて、先輩が顔を上げる。なんだかやけに、険しい顔つきのように見えた。
「……なんで、庇ったりしたんだ」
ある程度勝手は知っているのだろうか。彼は棚の中を探り、コールドスプレーとテーピングを取り出した。きっと、部活で怪我をする生徒を同じように診ているのだろう。
「スプレーでとりあえず冷やすか。簡単な処置くらいならできるが……少し痛いかもしれない」
「すみません、ありがとうございます」
優しい人だ。細かなところまで気遣いをするタイプらしい。痛みに顔が歪むが、我慢できないほどではない。しかし彼は部長なのに、わざわざ着いてきてもらって申し訳ない。俺のために動いてくれる姿を見ると、罪悪感が胸を刺した。
「四方田、クラスではどんな感じだ?」
ふと、足の処置を続けたまま先輩が切り出す。無言のままではきまずいだろうと思ったのだろうか。話していた方が痛みも紛れる気がして、ありがたかった。
「そう、ですね……明るくて、いっつもクラスを盛り上げてくれてますよ。俺も仲良くしてもらってるし、ありがたいです」
脳裏に笑顔が浮かぶ。せっかく見学に連れてきてくれたのに、迷惑をかけてしまった。四方田くんにも後で謝らないといけないだろう。
「部活でも、同じ感じですか?」
問えば、ああ、と笑いを滲ませた返事。
「良い奴だよ。ウチでもムードメーカーになってくれるし、チームメイトを励ましてくれるし──バイトで疲れてるだろうに、部活にも顔を出して。立派な奴だ」
「……ふ、はは、イメージ通りだ。うん、本当に──すごい子ですよね。俺も、尊敬してます」
「疲れが溜まってないか、たまに不安になるけどな」
やっぱり。思わず口角がゆるりと上がった。手際の良い処置をしていた先輩が、こちらをちらと見上げて口を開く。
「田山、確か前に救急車で運ばれてたろ。聞いたことあるぞ」
救急車、というと──参宮くんとの一件だろう。倉庫で脚立から彼を庇った日のことだ。……関わったことのない人のところにまで広まっているのか。思いのほか、大事になってしまっていたようだ。なんだか、妙に気恥しい。
「……知ってるんですね」
「そりゃあな。結構騒ぎになってた」
ふっとまた笑いを含ませて言う。そうすると先輩は視線を下げて、手の動きを再開した。
「そんなにすか」
「ああ。俺が聞いた話だと──物が落ちてきて大怪我したとか?」
大怪我──といえば、大怪我だろうか。傷は浅かったのだが、流血したと聞けば確かに大事にはなるだろう。救急車で運ばれたところまでが広まったようだ。 まあ、噂に尾鰭が付いて変に広まらなかっただけマシだと思った方が良い。
「友だちの上に脚立が落ちてきそうで。慌てて庇ったんです、そしたらあのザマで」
ふと。ぴたりと手を止めて、先輩が顔を上げる。なんだかやけに、険しい顔つきのように見えた。
「……なんで、庇ったりしたんだ」
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