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第1話 「翔べなかった鳥」
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――あの日、もし俺が別の選択をしていたら、俺の人生はどうなっていたのだろうか。
俺は咲神永和。
漫画のような名前だとよく言われ俺はこの名前が好きではない。
この中二病のような名前を背負いながら俺は17年生きてきた。そして人生にうんざりしている。
学校に行ったところで馬鹿共のいじめが始まる。別にそれが苦痛だという訳では無い。普通の生活さえも邪魔されることに嫌悪感を抱くのだ。
だから最近は学校にも行っていない。家でパソコンをカチカチするだけの時間になっている。
今日は月曜日。普通の人なら憂鬱な気持ちで学校や仕事に向かうだろうが俺には関係ない。今日も怠惰な生活を送るだけだ。
親は何も言わないのかと思った人もいるだろう。
俺には親がいない。母は昔から体が弱く、俺が物心つく時には死んでいた。父親はその頃に家を出ていき、それから帰ってこなかった。
ということで今、俺は一人で生きている。生活費や学費に関しては母が残してくれた莫大な遺産と祖母が送ってくれる金でどうにか生活している。
俺は今日もパソコンを立ち上げるとニュースサイトで今日のニュースを確認する。家から出てない分最近の事は把握しておくようにしている。
画面に目を向けると衝撃の記事があった。
「○○市で集団行方不明」
おい待て、○○市ってここだぞ...?
俺は恐る恐る【続きを見る】をクリックする。
そこには長々と文字が綴られている。
簡単に説明すると昨日9月2日午前9時頃、この町で約20人が行方不明になったらしい。
歳は関係なく、学生から老人まで行方不明になってるとか。警察は今も捜索を続けているらしい。
そんなことがあったのか、寝てたおかげで全く知らなかった。まさか自分の住んでいる町で事件が起きるなんて...
同時に集団行方不明ってことは1人の犯行では無いだろう。何人かのグループによる集団的犯行だと考えられる。
俺はニュースサイトを閉じるとテレビをつける。テレビをつけるなんて何日ぶりだろう。
テレビのチャンネルを回すとニュース番組はやはり例の事件の話題で持ち切りだった。若いニュースキャスターがフリップを使い説明している。俺はそれを食いつくように見ていた。
すると、
「ピンポーン」
テレビに夢中になっていて2回目でインターホンが鳴っていることに気づいた。
時計を見るとまだ針は午前6時を過ぎたところだ。こんな朝早くに誰が?
俺は玄関へ行くとドアスコープを確認する。
そこにはスーツ姿の男が立っていた。予想からして30代くらいだろう。
「咲神永和様、あなたにお知らせがあって参りました。」
背筋が凍りつくような無機質な声で男は俺の名前を呼んだ。
なんだこいつは?なにかの勧誘か?
とりあえず無視した方が良さそうだ。
俺は玄関を離れると自分の部屋に移動する。部屋にはインターホンの音が鳴り響く。いつまで鳴らす気なんだ。
俺はテレビに目を向ける。丁度CMになってしまったようだ。とりあえず今日はこの事件について調べてみるか...
と思った時だった。
「咲神永和様。」
え?
嘘だろ?
なんで俺の後ろから声がするんだ?
即座に後ろを見るとあの男が立っていた。
俺は頭が真っ白になった。
なんでここにいるんだ?
玄関の鍵は閉めていたぞ?
じゃあなんで?どうして?
頭が混乱している中、男は俺に言う。
「あなたは選ばれたのです。」
選ばれた?何に?
とにかくまずい、距離を取らないと。
俺は足に全てを力を入れ、部屋から出ようとした。
しかし遅かった。
男は俺の肩を掴みその場に押し倒す。
痛みなんてなかった。むしろ恐怖感が俺を支配していた。そして直感した。
――ああ、俺は死ぬのか。
そこで俺の記憶は途絶えた。
「永和、あなたは好きなように生きなさい。そして人生を大切にしなさい。」
母の向日葵のような笑顔が浮かぶ。
ごめんね。約束、守れなかった。
俺の頭の中で母の笑顔が消えていく。
気がつくと俺は座っていた。
周囲を見渡すとそこは学校の教室だった。
どういうことだ、たしか俺は自分の部屋であの男に...
そして俺は異変に気づく。
誰もいない。
あるのは机に上にある手帳のようなものだけ。
なんだこれは...?
俺は手帳のようなものに手を伸ばす。開いてみると丁寧な字でこう書かれていた。
近くにある窓を見ると、そこには左目が金色に光った自分の姿があった。
俺は咲神永和。
漫画のような名前だとよく言われ俺はこの名前が好きではない。
この中二病のような名前を背負いながら俺は17年生きてきた。そして人生にうんざりしている。
学校に行ったところで馬鹿共のいじめが始まる。別にそれが苦痛だという訳では無い。普通の生活さえも邪魔されることに嫌悪感を抱くのだ。
だから最近は学校にも行っていない。家でパソコンをカチカチするだけの時間になっている。
今日は月曜日。普通の人なら憂鬱な気持ちで学校や仕事に向かうだろうが俺には関係ない。今日も怠惰な生活を送るだけだ。
親は何も言わないのかと思った人もいるだろう。
俺には親がいない。母は昔から体が弱く、俺が物心つく時には死んでいた。父親はその頃に家を出ていき、それから帰ってこなかった。
ということで今、俺は一人で生きている。生活費や学費に関しては母が残してくれた莫大な遺産と祖母が送ってくれる金でどうにか生活している。
俺は今日もパソコンを立ち上げるとニュースサイトで今日のニュースを確認する。家から出てない分最近の事は把握しておくようにしている。
画面に目を向けると衝撃の記事があった。
「○○市で集団行方不明」
おい待て、○○市ってここだぞ...?
俺は恐る恐る【続きを見る】をクリックする。
そこには長々と文字が綴られている。
簡単に説明すると昨日9月2日午前9時頃、この町で約20人が行方不明になったらしい。
歳は関係なく、学生から老人まで行方不明になってるとか。警察は今も捜索を続けているらしい。
そんなことがあったのか、寝てたおかげで全く知らなかった。まさか自分の住んでいる町で事件が起きるなんて...
同時に集団行方不明ってことは1人の犯行では無いだろう。何人かのグループによる集団的犯行だと考えられる。
俺はニュースサイトを閉じるとテレビをつける。テレビをつけるなんて何日ぶりだろう。
テレビのチャンネルを回すとニュース番組はやはり例の事件の話題で持ち切りだった。若いニュースキャスターがフリップを使い説明している。俺はそれを食いつくように見ていた。
すると、
「ピンポーン」
テレビに夢中になっていて2回目でインターホンが鳴っていることに気づいた。
時計を見るとまだ針は午前6時を過ぎたところだ。こんな朝早くに誰が?
俺は玄関へ行くとドアスコープを確認する。
そこにはスーツ姿の男が立っていた。予想からして30代くらいだろう。
「咲神永和様、あなたにお知らせがあって参りました。」
背筋が凍りつくような無機質な声で男は俺の名前を呼んだ。
なんだこいつは?なにかの勧誘か?
とりあえず無視した方が良さそうだ。
俺は玄関を離れると自分の部屋に移動する。部屋にはインターホンの音が鳴り響く。いつまで鳴らす気なんだ。
俺はテレビに目を向ける。丁度CMになってしまったようだ。とりあえず今日はこの事件について調べてみるか...
と思った時だった。
「咲神永和様。」
え?
嘘だろ?
なんで俺の後ろから声がするんだ?
即座に後ろを見るとあの男が立っていた。
俺は頭が真っ白になった。
なんでここにいるんだ?
玄関の鍵は閉めていたぞ?
じゃあなんで?どうして?
頭が混乱している中、男は俺に言う。
「あなたは選ばれたのです。」
選ばれた?何に?
とにかくまずい、距離を取らないと。
俺は足に全てを力を入れ、部屋から出ようとした。
しかし遅かった。
男は俺の肩を掴みその場に押し倒す。
痛みなんてなかった。むしろ恐怖感が俺を支配していた。そして直感した。
――ああ、俺は死ぬのか。
そこで俺の記憶は途絶えた。
「永和、あなたは好きなように生きなさい。そして人生を大切にしなさい。」
母の向日葵のような笑顔が浮かぶ。
ごめんね。約束、守れなかった。
俺の頭の中で母の笑顔が消えていく。
気がつくと俺は座っていた。
周囲を見渡すとそこは学校の教室だった。
どういうことだ、たしか俺は自分の部屋であの男に...
そして俺は異変に気づく。
誰もいない。
あるのは机に上にある手帳のようなものだけ。
なんだこれは...?
俺は手帳のようなものに手を伸ばす。開いてみると丁寧な字でこう書かれていた。
近くにある窓を見ると、そこには左目が金色に光った自分の姿があった。
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