想い、届け

ゆうごろも

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桜、季節、既に満開

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自分の教室である2年Sクラスに行くと既に全員そろっていた。
担任はまだだが。


「親衛隊総隊長おつ~」

「隊長がんばれ~」

席に着く間、クラスメイトに応援された。
自分で親衛隊総隊長に就任したことを伝えまわったわけではないが、どこからか回ってきたようだ。

お礼を言いながら席の間を通り、自席に着く。


親衛隊というファンクラブが出始めた時期は除き、基本的には親衛隊と聞いて嫌な顔をする人は少ない。
良くも悪くも癖のある人たちはいるが。


にしても広まるのが早い。
マジで俺は誰にも言ってないし。
同室者さえ知らない…あ、総隊長になったから部屋が変わったのだった。
元同室者は春休み中ずっと帰省していたため、なぜか俺の頭の中は元同室者が帰ってきていないという頭になっていた。
まあ、とはいえ元同室者が一気に広めるとは考え難い。



春休み前とほぼ同じクラスメイトだが、自分に役職が付いたことにより視線が変わっているため視線がなんとなく照れくさい。注目されるのは苦手だからやめてくれ!!


そんな感じでそわそわしていると
ガラ…

「始めるぞー」

あまり音のしないドアが開けられ、先ほど会ったばかりのホスト教師が入ってきた。

「えー、今日から2年Sクラスの担任になる緒方 慎吾オガタ シンゴだ。1年間よろしくな」


そう言い、ファンサービスとも言える笑みを浮かべた。男の娘系生徒たちの「よろしくですぅ」や「夜もよろしくお願いしますぅ」だの黄色い声とともに聞こえた。


「連絡は特になし。
俺に面倒ごと持ってくるなよ、以上!」

そう言いプリントを配り、教室を出て行った。


もう解散でいいんだよな?
あっけなく終わったため、心配になる。


筆箱以外何も入っていない鞄に先ほど配られたプリントを入れ、帰る準備をする。


周りを見ると既に帰っている生徒が半数。早っ。

教室の空き具合に驚きながら廊下へ出る。

「あ!神田くん!」

後ろから呼ばれて振り返ると目がクリクリとした可愛らしい生徒がいた。

「神田くんだよね?」

「はい」

「これから親衛隊の集会があるから呼びに来たの。
あ、僕は小野 來オノ ライって言います。3年だよ」

「俺は神崎 乃亜カンザキ ノアです」


知っていると言わんばかりの良い笑顔で頷かれた。
よろしくと言い合い集会が行われる会議室へ向かった。


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