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第一章:リャンガとして
第十四話:【作戦決行前夜】寝たいリンロ、寝てほしくないトゥーチョ
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【ロコイサ王救出】作戦決行前夜。
俺とトゥーチョは偵察していた場所から一旦離れ、ネカルバフの森の中で夜を明かすことにした───────────
トゥーチョから敷いてもらったダンボールの上、リンロは頭の後ろで手を組み寝そべり空を見上げている。そのすぐ近くの木の上にトゥーチョもいたが、夕べの偵察以降二人の間には言葉を交わす様子がほとんど見られないまま沈黙が続いていた。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
何でかあれからトゥーチョが全然口を聞いてくれない………。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
でもこうして寝床用のダンボールまで準備してくれているし、別に怒ってはなさそうなんだけどなぁ…………どうしたもんかなぁ~。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
「………てか」
それは木の上から飛ばされた十円玉サイズのダンボール箱が、リンロの額へと当たる音だった。
「やっぱり怒ってないか?トゥーチョ」
「別に怒ってないっチョ」
(あれ? 返事してくれたな)
トゥーチョから怒っていないという言葉を受けて安心したリンロは、ダンボールを自身の体に巻きつけて転がりトゥーチョから距離を取り始めた。
ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ
「じゃあ、おやすみっ」
そんな彼の行動を前に、なぜかトゥーチョは再びダンボール飛ばし始めた。リンロへ向かって飛んでくるダンボールは、ことごとく彼の仰向けになるタイミング丁度で彼の額へと繰り返し当たる。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
「んなっ がっ うぎっ ぐっ たっ ちょっ って ぐぶっ まっ ボっ ぶへっ!」
トゥーチョによる睡眠阻害に耐え兼ねたリンロは立ち上がり、背に背負ったダンボールを両手で羽のように拡げトゥーチョに言う。
バッ!!
「なぁ、怒ってないならそれ止めてくれないかっ!? 眠らないと明日に支障が────」
そう言いかけた時リンロの目に映ったのは、自分がいる方向とは全く別方向を見ていたトゥーチョだった。
一方でトゥーチョの左手はリンロの方をずっと向いていた。その手がゆっくりと動き出し、リンロの額へとまたダンボールを飛ばす。
コツンッ
(しかもノールックかよっ)
心をどこかに置いてきたかのような表情のトゥーチョが棒読みでリンロに言う。
「何だリンロ、眠れないッチョか?
そんなに眠れないならオレ様が昔話を聞かせてやるっチョよ」
「え? いや……お前がダンボール投げんの止めてくれたらそれでいいんだが………」
「オレ様~本日限り~、手を止めたら自動で口が動く仕組みになっておりますっチョ~~。つまり今お前が~オレ様に手を止めろと言った=~話を聞きたいということになるっチョ~~。
ということでしょうがないから話してやるっチョ」
…………。なんだ、そんなに話したいのか。
どのみち聞かなきゃ眠らせてもらえなさそうだし、とりあえず聞くしかないか。にしても昔話か……懐かしいな。幼い頃、母さんに聞かせてもらってたっけな……。
「そう……それは5年前。
オレ様がリャンガになりたての頃のことだッチョ!!」
(…………。お前の昔話かよっ!
ああ…………分かった、なるほどな……。身の上話を聞いてくれというのが恥ずかしかったから、ここまで中々切り出せなかった訳か)
そこからトゥーチョの昔話は始まった──────
俺とトゥーチョは偵察していた場所から一旦離れ、ネカルバフの森の中で夜を明かすことにした───────────
トゥーチョから敷いてもらったダンボールの上、リンロは頭の後ろで手を組み寝そべり空を見上げている。そのすぐ近くの木の上にトゥーチョもいたが、夕べの偵察以降二人の間には言葉を交わす様子がほとんど見られないまま沈黙が続いていた。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
何でかあれからトゥーチョが全然口を聞いてくれない………。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
でもこうして寝床用のダンボールまで準備してくれているし、別に怒ってはなさそうなんだけどなぁ…………どうしたもんかなぁ~。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
「………てか」
それは木の上から飛ばされた十円玉サイズのダンボール箱が、リンロの額へと当たる音だった。
「やっぱり怒ってないか?トゥーチョ」
「別に怒ってないっチョ」
(あれ? 返事してくれたな)
トゥーチョから怒っていないという言葉を受けて安心したリンロは、ダンボールを自身の体に巻きつけて転がりトゥーチョから距離を取り始めた。
ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ
「じゃあ、おやすみっ」
そんな彼の行動を前に、なぜかトゥーチョは再びダンボール飛ばし始めた。リンロへ向かって飛んでくるダンボールは、ことごとく彼の仰向けになるタイミング丁度で彼の額へと繰り返し当たる。
コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ
「んなっ がっ うぎっ ぐっ たっ ちょっ って ぐぶっ まっ ボっ ぶへっ!」
トゥーチョによる睡眠阻害に耐え兼ねたリンロは立ち上がり、背に背負ったダンボールを両手で羽のように拡げトゥーチョに言う。
バッ!!
「なぁ、怒ってないならそれ止めてくれないかっ!? 眠らないと明日に支障が────」
そう言いかけた時リンロの目に映ったのは、自分がいる方向とは全く別方向を見ていたトゥーチョだった。
一方でトゥーチョの左手はリンロの方をずっと向いていた。その手がゆっくりと動き出し、リンロの額へとまたダンボールを飛ばす。
コツンッ
(しかもノールックかよっ)
心をどこかに置いてきたかのような表情のトゥーチョが棒読みでリンロに言う。
「何だリンロ、眠れないッチョか?
そんなに眠れないならオレ様が昔話を聞かせてやるっチョよ」
「え? いや……お前がダンボール投げんの止めてくれたらそれでいいんだが………」
「オレ様~本日限り~、手を止めたら自動で口が動く仕組みになっておりますっチョ~~。つまり今お前が~オレ様に手を止めろと言った=~話を聞きたいということになるっチョ~~。
ということでしょうがないから話してやるっチョ」
…………。なんだ、そんなに話したいのか。
どのみち聞かなきゃ眠らせてもらえなさそうだし、とりあえず聞くしかないか。にしても昔話か……懐かしいな。幼い頃、母さんに聞かせてもらってたっけな……。
「そう……それは5年前。
オレ様がリャンガになりたての頃のことだッチョ!!」
(…………。お前の昔話かよっ!
ああ…………分かった、なるほどな……。身の上話を聞いてくれというのが恥ずかしかったから、ここまで中々切り出せなかった訳か)
そこからトゥーチョの昔話は始まった──────
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