旦那様、浮気してもよろしいですか?

yukiya

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 カトリーナを閉じ込めて数日。
 屋敷に珍しい来訪者がやってきた。

「久しぶりですね、フェロンツ公爵。突然申し訳ない、近くまで来たものだから」

 男はライナー・アストラッド公爵。キャサリーの夫である男だ。

「いえ、お久しぶりです」

 にこにこと挨拶する彼は目が笑っていない。なるほど、何か言いたいことがあって来たのだろう。

「取り敢えず、茶の準備を」
「お気遣いありがとうございます」

 断らないということは、話は長くなるということでいいのだろうか。

「それで、何かご用でしたか」

 ある程度の予想は出来ていたが、この人は思ったよりも直球にきた。

「キャサリーが…妻が、ここに頻繁に出入りしているようですね。この前は舞台を二人で観に行ったと」
「それはキャサリーが?」
「いえーー目撃者がおりまして」

 目撃者、ね。素直にキャサリーに護衛という名の見張りをつけていることを言えばいいのに。周知の事実なのだから。

「そうですか」
「はっきり言いましょう。夫のいる身である彼女が他の男と二人になるのは好ましくない」
「男、ですか」
「独身者だろう」

 中々酷なことをいう。

「キャサリーは愛されていますね」
「出来れば名前も改めて欲しいのだけれど、それは可能かな」
「…アストラッド公爵夫人は、本当に愛されておられますね」
「愛していますよ、キャサリーのことは。…彼女が他の誰を愛していても、ね」

 きっとこの男は気付いている。キャサリーも隠しなどしていないのだろう、俺に好意を寄せていることに。

「…貴方は凄いと思いますよ」

 振り向いて貰えなくて、それでも愛していると、ずっと待ち続ける。俺はそうは出来なかった。黙って待つことなど、出来やしなかった。

 問題はこの男だと思うけれど。

 気まぐれでも、キャサリーはこの男を見ようとした。結婚しているのだからと。けれどこの男はいつもタイミング悪く、キャサリーが自分へ気持ちの向かっている時に限って、やさぐれて浮気するのだ。

 取り敢えず痴話喧嘩に巻き込まれるのはごめんだし、しばらくは家に来ないで貰おう。
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