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第1部 第7話
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昨日、ロビンは、メイの実家で驚くような時間に起きてから、自分の実家が営むハロルド商会に出向いた。
本来なら、実家に行きたいのだが、先日、仕事でミスをしたことに加え、兄の妻である義姉に不用意にかけた言葉で、兄に、暫く、家を出る様に言われたが所以、実家もとい、自宅に足を踏み入れられない状況であった。
その為、兄に会うには、ハロルド商会にて待つしかない。
しかし、実のところ、ロビン的には、まだ、兄に会うつもりはなかったのである。
だが、義理の父の「平民議員」宣言に、ロビンはなにか閃くことがあったようで、兄に早急に会わねばと思い立ったのだった。
ロビンは、兄のエディが大好きで、とても尊敬している。
兄は常々情勢を伺い、先を見据えて、幅広く商会の運営を熟している。
祖父ハロルドが立ち上げたこの「ハロルド商会」は、元は小さな雑貨店のようなものだった。
それが、細々としながらも、堅実的に商いを行い、次代へと引き継いだ。
そうすると、今度は、ロビンの父、ジェームスの手腕も相まって、祖父の頃よりも商会は大きくなった。
そんな大きくなった商会の最近はまた、王都にある学校を優秀な成績を修め卒業したエデイが、めきめきと才覚を現して、父の頃よりも遥かに凌ぐ大商会へと変えていったのである。
兄エディの力は凄い。ロビンは、そんなエディの姿に、ただただ、尊敬していたのだった。
だからこその一大事!兄に情報をと思って、彼はハロルド商会にやってきたのだったが。
エディは、ロビンから聞かされたくだらない情報に、目を細めて見やるだけであった。
「兄さん、凄くないかい?あれ?あまり喜ばないね?」
首を傾げるロビンに、兄も首を傾げて見せる。
「何を喜べばいいんだ?」
兄がロビンの言葉に対して疑問を投げ返してみせると、ロビンは固まる。
『喜ぶ話ではない・・・んだ』
沈黙が織り成すハロルド商会の会頭の執務室。
「あっ、えっと」
ロビンは耐え切れず、何やらブツブツと口ごもり出す。
そんな可愛い弟ロビンを見ながら、エディはため息を零してしまう。
「朝早くから、商会に来たかと思えば、反省でもして見せる訳でもなく、ほんとうにお前は・・・」
その言葉に、漸く、ロビンは兄に向き直り、謝罪の言葉を出してみる。
「あっ、あのう、この度は、どうもすみませんでした」
顔を下に向けて、一応は、頭を下げた様に見せてみる。
その姿に、子どもの時と同じだなと、肩を竦める兄エディ。
「何に対しての言葉だ」
低く、冷ややかな物言いに、ロビンは、顔を上げて青ざめる。
『やばい、何に対して謝ればいいんだっけ?』
口には出てないが、顔が物語っているとは知らないロビンは、「せ、先日のこと」と小さく呟くが、エディにはお見通しだ。
「お前は、本当にわかりやすいね」
エディは、テーブルにある上等な葉巻を手に取ると、火を付けて、葉巻を吹かして見せる。
「お前がミスした仕事、あれは、損害が出たな。だが、お前がやらかしたことで、改善策を考える必要が見えた。あと、ローサのことだが、週末辺りから王都のタウンハウスで過ごさせることにした。あちらなら、ローサの身内もいるから心も落ち着くだろうと、医者が言って来たから」
ロビンは、兄の顔を見れず下を向いたままだ。
「そのう、本当にすみませんでした」
「仕事のことは損失は出たが、先を考えれば良かったのかもしれん。ローサについては、色々と神経質になって来ていたみたいだ」
エディは、口元から煙を吐き出しながら、ロビンに語る。
「そのう、義姉さんのことは、自分なりに気遣ってで」
「ああ、わかってるさ。結婚して、私たちも4年目だ。子が出来ないことに互いが焦り出していたのも事実。フェイが生まれてからは、尚更だ。私は仕事があるから、それに事向ければ忘れていられるが、ローサはそうではなかった」
あの日、仕事でミスをして兄に説教された。
それでも、あまり堪えないロビンは、笑顔を崩さず、マイペースで過ごしていた。
そんな時に、うちのメイドが義姉の体調の心配をしているのが耳に入る。
義姉は、子どもが出来ないことに悩んでいるということは、色々なとこから聞いて知っていた。
その日も、その現実を体現してしまい、お腹の痛みと共に寝室に籠っているこを聞く。
ロビンは、そんな義姉が不憫に思えていた。
自分達は、メイと結婚して数か月後には子を授かり、また、順調に腹で育ち、生まれた子フェイは男の子。
初孫であり、跡取りとも取れる存在が簡単にできてしまった。
なので、本当に、義姉ローサが不憫だった。
そんな気持ちもあって、たまたま居合わせた義姉に、ロビンが「お身体、大丈夫ですか?」と声を掛けたのだ。
驚いたのは、義姉ローサで、少し戸惑いながらも、ロビンに向けて「ありがとう。お気遣い頂いて」と返した。
それで終われば良かったのだが、その日、ロビンは義姉に対して色々と話し掛けたのだった。
「でも、顔色が悪いですよ。義姉さんは、普段から神経を使ってるんじゃないですか?」
「もう少しのんびりされた方が、身体にも心にも良いと思いますよ」
「メイなんか、何にも考えてないから、常にリラックスしてて」
「兄さんとは、会話とかされてますか?」
と、ロビンはにこやかな顔をしつつ、それはそれはもう良かれと思う事を色々と話をしているのだが、確信からは逸れてはいるが、明らかな嫌味な発言の数々に、途中から、ローサの目が吊り上がり出してきていた。
が、それはロビンには見えていなかったようで。彼ロビンは、ただ、不憫な義姉に、一生懸命励ましているとつもりだった。
「義姉さん、とりあえずは、休まれた方がいいですよ。身体を大切にしないと、今はゆっりして、それから子について、兄さんに話をしてみたら」
彼なりの気遣いの言葉だったのは間違いない、彼が義姉に向けてこの時最後に放ったこの言葉を、まさか、兄エディが耳にしてしまうとは思わずにいた。
「ローサ、きみ、子が出来たのか?」
不意に、兄の声がして、ローサとロビンは声の方に視線を送ると、エディが目を見開き、顔を綻ばせている。
ロビンは、その顔に驚いた。兄エディがあんな顔をするなんて、それを見て、ちょっと喜んでしまった。
一方、ローサは口元を震わせて、先程、ロビンの言葉で怒りにより赤くなっていた顔が青くなっている。
「ち・・違います。こ・・子なんて出来ていません。今日、そのう、また、つきのものがき・・きまして」
ローサは目元から涙を零しながら告げる。
居た堪れない空気が、ロビンを包む。
励ますつもりが、拗れる風になって来た。
長いような短い沈黙が流れる。
それを壊したのは、やはりローサだった。
「ご・・ごめんなさい」
その言葉を吐き出すと、ローサは自室に駆け込んで行った。
兄弟の方は、その姿を見つめたまま動けないでいたのだった。
その後、兄弟は自宅にある兄の書斎へ移動し、エディは、ロビンから会話の一部始終を伺った。
そこで漸く、兄から「夫婦の問題に首は突っ込むな!」と激怒された。
そして、兄は財布から金貨を数枚取り出してから、「暫く、家を出ていけ!」と告げたのだった。
それが、あの日あった事件で、義姉はあれから「体調が悪い」と告げるのみで、食事もとらなくなり、医者を呼んだらしい。
「本当にすみませんでした」
ロビンはソファーから降りて、床に頭を擦り付けて、ここに来て初めて本気で頭を下げた。
「ローサのことはお前のせいではないさ」
エディは遠くを見るようにしながら、顔を顰める。
「離縁するの?・・・」
ロビンの言葉に、エディは、彼らしくないため息がでる。
「わからん・・けれど、私には、ローサが必要だ」
それは、仕事の為に、貴族との繋がりが欲しいが為なのか、兄自身のローサへの思いなのかは、ロビンは聞けなかった。
「夫婦のことだ、お前が口を挟むことではない」
ロビンも静かに頷いた。
「で、さっきの話だが、メイの父親のこと。あれは、どう見ても無理だろう」
兄は、さっきまでとは顔色ががらりと変わり、商会の会頭らしく厳しい顔を貼り付ける。
「だけど、身内から、「平民議員」がでれば、うちのハロルド商会にも利益が出るんじゃないのさ」
ロビンは名案とばかりに、エディに食い下がるが、エディは鼻で笑うのみだ。
「馬鹿か!「平民議員」たるもの、並みの人間にはなれん。確かに、メイの父は並みから外れているようだが、あれはダメだ!」
と、エディがそんな言葉を告げながら、何故か、ロビンを憐れそうに見やる。
『メイは、たぶん、あれだな、自分の父に似たロビンに親近感が沸いて、情が出来たのだろうな』
なんてことを思いながら、メイの気持ちが多少わかるなとエディは一人頷く。
「でも、今回は皆がお義父さんの思いに賛同していてさ。凄い勢いなんだよ!」
ロビンが発した言葉に、エディが目を見開く。
「お前、メイの家族は大丈夫なのか・・・」
エディが恐怖を覚えたような顔を見せたので、ロビンは眉間に皺を刻む。
「皆、正気だよ。まあ、お義兄さんは怒ってはいたけど」
その言葉を聞いて、エディが安堵したのは言うまでもない。
「やっぱりな、アッシュくんは正しい。良かったよ。義理とはいえ、身内が変なことしなくて」
エディがほっとして、再び、葉巻に火を付ける。
「兄さん、よく言ってるじゃないか。今のトウの「平民議員」は良くないって!あんな奴がなれるんなら、誰でもなれるって!」
葉巻の煙を吐き出しながら、エデイは確か何度も口にした事を思い返す。
だが、それとこれとは違う。
「確かに言ったさ。でも、あれとメイの親父さんは変わらないね。「平民議員」になって貰うなら、メイの兄であるアッシュくんくらいの頭の出来がいるよ」
エディの言葉に、今度は、ロビンが不服を告げる。
「誰でもじゃないじゃないか!縁故でもなく、役場に勤められるようなやつなんか、そんなにいないよ!」
ロビンがこれまでにない位の声で言い放つのを、唇に葉巻を挟ませながら聞いているエディは何故か笑っている。
『なるほどな、自分に似た親父さんに自分を重ねて、逆転劇を夢見てる訳か・・・』
弟の可愛い嘆きにニヤつきながらも、エディはソファーから立ち上がり、ロビンを追い払うことにした。
「話は終わりだ。仕事がある。俺は慈善事業は好まない。勝てないものには興味はない」
エディは、葉巻を灰皿に押し付けながら、ロビンに冷たく言い放つ。
「だが、お前が思う事は止めはしないが、迷惑はかけるな」
エディが仕事用の机に移動し、書類を手にし出したのを見て、ロビンも兄への相談時間の終わりを理解した。
室内を出ようとした時、机から顔を上げずにエディが言う。
「自宅に戻るのは、来週以降にしろ。ローサの様子がわかってからにしてくれ」
エディはそれを告げたら、ペンを走らせだした。
本来なら、実家に行きたいのだが、先日、仕事でミスをしたことに加え、兄の妻である義姉に不用意にかけた言葉で、兄に、暫く、家を出る様に言われたが所以、実家もとい、自宅に足を踏み入れられない状況であった。
その為、兄に会うには、ハロルド商会にて待つしかない。
しかし、実のところ、ロビン的には、まだ、兄に会うつもりはなかったのである。
だが、義理の父の「平民議員」宣言に、ロビンはなにか閃くことがあったようで、兄に早急に会わねばと思い立ったのだった。
ロビンは、兄のエディが大好きで、とても尊敬している。
兄は常々情勢を伺い、先を見据えて、幅広く商会の運営を熟している。
祖父ハロルドが立ち上げたこの「ハロルド商会」は、元は小さな雑貨店のようなものだった。
それが、細々としながらも、堅実的に商いを行い、次代へと引き継いだ。
そうすると、今度は、ロビンの父、ジェームスの手腕も相まって、祖父の頃よりも商会は大きくなった。
そんな大きくなった商会の最近はまた、王都にある学校を優秀な成績を修め卒業したエデイが、めきめきと才覚を現して、父の頃よりも遥かに凌ぐ大商会へと変えていったのである。
兄エディの力は凄い。ロビンは、そんなエディの姿に、ただただ、尊敬していたのだった。
だからこその一大事!兄に情報をと思って、彼はハロルド商会にやってきたのだったが。
エディは、ロビンから聞かされたくだらない情報に、目を細めて見やるだけであった。
「兄さん、凄くないかい?あれ?あまり喜ばないね?」
首を傾げるロビンに、兄も首を傾げて見せる。
「何を喜べばいいんだ?」
兄がロビンの言葉に対して疑問を投げ返してみせると、ロビンは固まる。
『喜ぶ話ではない・・・んだ』
沈黙が織り成すハロルド商会の会頭の執務室。
「あっ、えっと」
ロビンは耐え切れず、何やらブツブツと口ごもり出す。
そんな可愛い弟ロビンを見ながら、エディはため息を零してしまう。
「朝早くから、商会に来たかと思えば、反省でもして見せる訳でもなく、ほんとうにお前は・・・」
その言葉に、漸く、ロビンは兄に向き直り、謝罪の言葉を出してみる。
「あっ、あのう、この度は、どうもすみませんでした」
顔を下に向けて、一応は、頭を下げた様に見せてみる。
その姿に、子どもの時と同じだなと、肩を竦める兄エディ。
「何に対しての言葉だ」
低く、冷ややかな物言いに、ロビンは、顔を上げて青ざめる。
『やばい、何に対して謝ればいいんだっけ?』
口には出てないが、顔が物語っているとは知らないロビンは、「せ、先日のこと」と小さく呟くが、エディにはお見通しだ。
「お前は、本当にわかりやすいね」
エディは、テーブルにある上等な葉巻を手に取ると、火を付けて、葉巻を吹かして見せる。
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ロビンは、兄の顔を見れず下を向いたままだ。
「そのう、本当にすみませんでした」
「仕事のことは損失は出たが、先を考えれば良かったのかもしれん。ローサについては、色々と神経質になって来ていたみたいだ」
エディは、口元から煙を吐き出しながら、ロビンに語る。
「そのう、義姉さんのことは、自分なりに気遣ってで」
「ああ、わかってるさ。結婚して、私たちも4年目だ。子が出来ないことに互いが焦り出していたのも事実。フェイが生まれてからは、尚更だ。私は仕事があるから、それに事向ければ忘れていられるが、ローサはそうではなかった」
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それでも、あまり堪えないロビンは、笑顔を崩さず、マイペースで過ごしていた。
そんな時に、うちのメイドが義姉の体調の心配をしているのが耳に入る。
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その日も、その現実を体現してしまい、お腹の痛みと共に寝室に籠っているこを聞く。
ロビンは、そんな義姉が不憫に思えていた。
自分達は、メイと結婚して数か月後には子を授かり、また、順調に腹で育ち、生まれた子フェイは男の子。
初孫であり、跡取りとも取れる存在が簡単にできてしまった。
なので、本当に、義姉ローサが不憫だった。
そんな気持ちもあって、たまたま居合わせた義姉に、ロビンが「お身体、大丈夫ですか?」と声を掛けたのだ。
驚いたのは、義姉ローサで、少し戸惑いながらも、ロビンに向けて「ありがとう。お気遣い頂いて」と返した。
それで終われば良かったのだが、その日、ロビンは義姉に対して色々と話し掛けたのだった。
「でも、顔色が悪いですよ。義姉さんは、普段から神経を使ってるんじゃないですか?」
「もう少しのんびりされた方が、身体にも心にも良いと思いますよ」
「メイなんか、何にも考えてないから、常にリラックスしてて」
「兄さんとは、会話とかされてますか?」
と、ロビンはにこやかな顔をしつつ、それはそれはもう良かれと思う事を色々と話をしているのだが、確信からは逸れてはいるが、明らかな嫌味な発言の数々に、途中から、ローサの目が吊り上がり出してきていた。
が、それはロビンには見えていなかったようで。彼ロビンは、ただ、不憫な義姉に、一生懸命励ましているとつもりだった。
「義姉さん、とりあえずは、休まれた方がいいですよ。身体を大切にしないと、今はゆっりして、それから子について、兄さんに話をしてみたら」
彼なりの気遣いの言葉だったのは間違いない、彼が義姉に向けてこの時最後に放ったこの言葉を、まさか、兄エディが耳にしてしまうとは思わずにいた。
「ローサ、きみ、子が出来たのか?」
不意に、兄の声がして、ローサとロビンは声の方に視線を送ると、エディが目を見開き、顔を綻ばせている。
ロビンは、その顔に驚いた。兄エディがあんな顔をするなんて、それを見て、ちょっと喜んでしまった。
一方、ローサは口元を震わせて、先程、ロビンの言葉で怒りにより赤くなっていた顔が青くなっている。
「ち・・違います。こ・・子なんて出来ていません。今日、そのう、また、つきのものがき・・きまして」
ローサは目元から涙を零しながら告げる。
居た堪れない空気が、ロビンを包む。
励ますつもりが、拗れる風になって来た。
長いような短い沈黙が流れる。
それを壊したのは、やはりローサだった。
「ご・・ごめんなさい」
その言葉を吐き出すと、ローサは自室に駆け込んで行った。
兄弟の方は、その姿を見つめたまま動けないでいたのだった。
その後、兄弟は自宅にある兄の書斎へ移動し、エディは、ロビンから会話の一部始終を伺った。
そこで漸く、兄から「夫婦の問題に首は突っ込むな!」と激怒された。
そして、兄は財布から金貨を数枚取り出してから、「暫く、家を出ていけ!」と告げたのだった。
それが、あの日あった事件で、義姉はあれから「体調が悪い」と告げるのみで、食事もとらなくなり、医者を呼んだらしい。
「本当にすみませんでした」
ロビンはソファーから降りて、床に頭を擦り付けて、ここに来て初めて本気で頭を下げた。
「ローサのことはお前のせいではないさ」
エディは遠くを見るようにしながら、顔を顰める。
「離縁するの?・・・」
ロビンの言葉に、エディは、彼らしくないため息がでる。
「わからん・・けれど、私には、ローサが必要だ」
それは、仕事の為に、貴族との繋がりが欲しいが為なのか、兄自身のローサへの思いなのかは、ロビンは聞けなかった。
「夫婦のことだ、お前が口を挟むことではない」
ロビンも静かに頷いた。
「で、さっきの話だが、メイの父親のこと。あれは、どう見ても無理だろう」
兄は、さっきまでとは顔色ががらりと変わり、商会の会頭らしく厳しい顔を貼り付ける。
「だけど、身内から、「平民議員」がでれば、うちのハロルド商会にも利益が出るんじゃないのさ」
ロビンは名案とばかりに、エディに食い下がるが、エディは鼻で笑うのみだ。
「馬鹿か!「平民議員」たるもの、並みの人間にはなれん。確かに、メイの父は並みから外れているようだが、あれはダメだ!」
と、エディがそんな言葉を告げながら、何故か、ロビンを憐れそうに見やる。
『メイは、たぶん、あれだな、自分の父に似たロビンに親近感が沸いて、情が出来たのだろうな』
なんてことを思いながら、メイの気持ちが多少わかるなとエディは一人頷く。
「でも、今回は皆がお義父さんの思いに賛同していてさ。凄い勢いなんだよ!」
ロビンが発した言葉に、エディが目を見開く。
「お前、メイの家族は大丈夫なのか・・・」
エディが恐怖を覚えたような顔を見せたので、ロビンは眉間に皺を刻む。
「皆、正気だよ。まあ、お義兄さんは怒ってはいたけど」
その言葉を聞いて、エディが安堵したのは言うまでもない。
「やっぱりな、アッシュくんは正しい。良かったよ。義理とはいえ、身内が変なことしなくて」
エディがほっとして、再び、葉巻に火を付ける。
「兄さん、よく言ってるじゃないか。今のトウの「平民議員」は良くないって!あんな奴がなれるんなら、誰でもなれるって!」
葉巻の煙を吐き出しながら、エデイは確か何度も口にした事を思い返す。
だが、それとこれとは違う。
「確かに言ったさ。でも、あれとメイの親父さんは変わらないね。「平民議員」になって貰うなら、メイの兄であるアッシュくんくらいの頭の出来がいるよ」
エディの言葉に、今度は、ロビンが不服を告げる。
「誰でもじゃないじゃないか!縁故でもなく、役場に勤められるようなやつなんか、そんなにいないよ!」
ロビンがこれまでにない位の声で言い放つのを、唇に葉巻を挟ませながら聞いているエディは何故か笑っている。
『なるほどな、自分に似た親父さんに自分を重ねて、逆転劇を夢見てる訳か・・・』
弟の可愛い嘆きにニヤつきながらも、エディはソファーから立ち上がり、ロビンを追い払うことにした。
「話は終わりだ。仕事がある。俺は慈善事業は好まない。勝てないものには興味はない」
エディは、葉巻を灰皿に押し付けながら、ロビンに冷たく言い放つ。
「だが、お前が思う事は止めはしないが、迷惑はかけるな」
エディが仕事用の机に移動し、書類を手にし出したのを見て、ロビンも兄への相談時間の終わりを理解した。
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「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
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