文字の大きさ
大
中
小
6 / 8
研究室でオムツの練習!限界まで我慢して!
女子三人の準備が入念すぎる
「買って来たよー!」
研究室の扉が勢いよく開き、朗らかな声が入ってくる。
声の主は筒井だ。
筒井は研究室内の5人の視線を一身に集め、小さな体で手を天に掲げている。
その手には、成人用オムツが抱えられていた。
Mサイズ、32枚入り、超吸収!昼用。
「なんでっ⁈」
俺は思わずツッコむ。
何せ成人用オムツだ。
使うのは高齢者や自分で歩けない入院患者くらいな物だろう。
五体満足な大学生である俺たちには、完全に別世界の話だ。
特殊なプレイに使うにしても、32枚は多すぎないか。
そもそもそういう用途なら、誇らしげに見せびらかす訳はないだろう。
もしや筒井自身が愛用しているのか。
聞いたらセクハラになるのではないかと、俺は視線を送ることしかできない。
ふと、筒井と目が合った。
筒井はドヤ顔を披露しつつ、片手でグッドの合図を送ってくる。
いや俺が求めているのは説明だ。
助けを求めるように女性メンバーである平井と水上を見る。
初めに口を開いたのは平井だった。
「おーナイス!いくらだった?
水上と割り勘するよ。」
まさかの筒井サイドだった。
水上はコクコクと頷きつつ財布を取り出す。
事情を知らない俺はポカンと口を開けたまま、もう一人の男、大河に助けを求める。
「え、と、聞いて良いやつ?これ。
めっちゃオープンだけど。」
大河は苦笑いしたまま固まっている。
「いや、ナイーブな話なんじゃ?
女子校みたいなノリなんだろ。」
女子だけの集団だと下ネタなども恥じらいが無くなるという。
生理とか恋人とのセックスとかの話も。
そういう感じなのだろうか。
以前から薄々感じてはいたが、男にカウントされていないのはショックだ。
もちろんその分、ラッキーな事もあるのだが。
キャッキャとはしゃぎながら袋を開けていた女子達は、ひと段落したのかこちらを振り返る。
三人の手には幾つかの山に分けられたオムツを抱えていた。
「あんたらもいる?オムツ。」
平井が山の一つを軽く差し出す。
「いや、いらないよ。まだ大学生なのに、何に使うんだよ。」
俺の言葉に平井はわざとらしくビックリした顔をして、ケラケラと笑い出す。
「尿漏れとかじゃないよ。
薬剤師の国家試験もうすぐじゃん。会場のトイレめちゃくちゃ混むらしくてさ。
もし休み時間に間に合わなかった時のために持ってくのよ。」
確かに、試験会場のトイレ事情は壮絶だと聞く。
先輩達の中には、試験を早めに抜けてトイレに行く人もいたくらいだ。
「マジで出すつもりじゃないよ。念の為。
トイレ気にしてたら集中できないし。
ほら、私たち頻尿界隈だからさ。」
そんな嫌な界隈あったのか。
あと、お前たちが頻尿なのはコーヒーをガブ飲みしているからだ。
心的に余裕が無いと余計にトイレが近くなるので、確かに良い考えではある。
隣の大河はほぉ、と間抜けな声を上げて納得している。
だがオムツを着けている女子なんて、センシティブなのには変わりない。
平井の後ろから筒井がひょっこり顔を出す。
「一人5枚ね!国試二日間だから二枚ずつ。
一枚は練習用。」
そう考えれば32枚入りというのも、多すぎるという事も無かったのか。
筒井の見切り発車ではなくて安心した。
いや、ちょっと待て。
「「練習用?」」
俺と大河は同時に口を開いていた。
「そ。練習用。
いきなり本番で着けたら、違和感で集中できないかもでしょ。
着脱とかもどんな感じか分かんないし。」
平井が当然のように澄ました顔で説明する。
横でチョロチョロしていた筒井を片手でホールドし、わしゃわしゃと頭をなでている。
女子特有の距離感というのはよく分からない。
「と、言うわけで、皆今からトイレ禁止。
コレ着けて、限界まで我慢してね。」
「「え?」」
俺と大河は再び同時に声を上げる。
今から?ここで?
「着用感って話なら、我慢する必要はないんじゃ?」
普段大人しい大河が珍しく焦って口を挟む。
当然だ。
俺たちに"そういう癖"はないのだ。
「むむっ。でも会場で出す時は限界の時だし。
限界の量を耐えれるのかチェックしないと。」
平井が小脇に抱えているモシャモシャから声が出る。
そして、そのモシャモシャを丁寧に解きながら、水上が補足を始める。
「給水量は問題ないんだけど、給水速度は別の話だし。
臭いとか、音とか確認はしたいよね。
自分一人だとその辺、分かんないし。」
女子三人はまさかのノリ気だ。
お馬鹿二人の悪ノリとかではなく、真面目な水上まで。
女が強めな当研究室では、ノーと言えない雰囲気だ。
仕方なく、俺と大河はオムツを受け取った。
「ちょいゴワゴワするな。」
俺と大河がトイレで着けて戻って来ると、机の上には湯気の上がるティーカップが置かれていた。
水上が入れたらしい。
「おーサンキュ。」
中には茶色がかった透明な液体が入っていた。
香草の様な独特の香りが漂っている。
ちょうど喉が渇いていた俺たちは一息に飲み干した。
お茶でも紅茶でもない、独特な苦味が喉を降りていく。
美味しくはない。
念の為女子達を確認すると、どうやら同じ物を飲んでいるらしい。
筒井は両手でカップを支えて息を吹きかけ、平井は同じティーカップを洗っている。
以前ドッキリでセンブリ茶を飲まされて警戒してしまったが、危ない物ではない様だ。
「これ、何のお茶?」
独特な味に疑問を持ったのか、首を傾げていた大河が尋ねる。
水上は俺たちに、茶色のラインが入った白の箱を見せる。
箱には"17"の文字が大きく書かれていた。
俺たちはまだ薬剤師の卵だ。
知っている薬なんて試験に出る物だけだし、実際の薬を触った経験も、実習でしかない。
だが分かる。
有名な漢方薬だ。
ツムラ"17"五苓散(ゴレイサン)
利尿薬だ。
「おまっ!お前!そこまでするか⁈」
思わずカップを取り落としそうになる。
水上は普段イタズラに参加しないが、やるなら徹底的なタイプだ。
「シャープな効き目で、"水の流れ"を改善します。
即効性あるけど脱水注意だよ。
桂皮入ってるからワンチャン、テストでる。」
効能効果を聞きたい訳ではない。
国試に出たら激アツではあるが。
大河は開封済みのアルミ包装を見つめながら溜息を漏らす。
「必要ないのに飲むのは、薬物濫用なんじゃ?」
まあ飲んでしまったものは仕方ない。
俺たちは渋々とウォーターサーバーに水を汲みに行く。
研究室の扉が勢いよく開き、朗らかな声が入ってくる。
声の主は筒井だ。
筒井は研究室内の5人の視線を一身に集め、小さな体で手を天に掲げている。
その手には、成人用オムツが抱えられていた。
Mサイズ、32枚入り、超吸収!昼用。
「なんでっ⁈」
俺は思わずツッコむ。
何せ成人用オムツだ。
使うのは高齢者や自分で歩けない入院患者くらいな物だろう。
五体満足な大学生である俺たちには、完全に別世界の話だ。
特殊なプレイに使うにしても、32枚は多すぎないか。
そもそもそういう用途なら、誇らしげに見せびらかす訳はないだろう。
もしや筒井自身が愛用しているのか。
聞いたらセクハラになるのではないかと、俺は視線を送ることしかできない。
ふと、筒井と目が合った。
筒井はドヤ顔を披露しつつ、片手でグッドの合図を送ってくる。
いや俺が求めているのは説明だ。
助けを求めるように女性メンバーである平井と水上を見る。
初めに口を開いたのは平井だった。
「おーナイス!いくらだった?
水上と割り勘するよ。」
まさかの筒井サイドだった。
水上はコクコクと頷きつつ財布を取り出す。
事情を知らない俺はポカンと口を開けたまま、もう一人の男、大河に助けを求める。
「え、と、聞いて良いやつ?これ。
めっちゃオープンだけど。」
大河は苦笑いしたまま固まっている。
「いや、ナイーブな話なんじゃ?
女子校みたいなノリなんだろ。」
女子だけの集団だと下ネタなども恥じらいが無くなるという。
生理とか恋人とのセックスとかの話も。
そういう感じなのだろうか。
以前から薄々感じてはいたが、男にカウントされていないのはショックだ。
もちろんその分、ラッキーな事もあるのだが。
キャッキャとはしゃぎながら袋を開けていた女子達は、ひと段落したのかこちらを振り返る。
三人の手には幾つかの山に分けられたオムツを抱えていた。
「あんたらもいる?オムツ。」
平井が山の一つを軽く差し出す。
「いや、いらないよ。まだ大学生なのに、何に使うんだよ。」
俺の言葉に平井はわざとらしくビックリした顔をして、ケラケラと笑い出す。
「尿漏れとかじゃないよ。
薬剤師の国家試験もうすぐじゃん。会場のトイレめちゃくちゃ混むらしくてさ。
もし休み時間に間に合わなかった時のために持ってくのよ。」
確かに、試験会場のトイレ事情は壮絶だと聞く。
先輩達の中には、試験を早めに抜けてトイレに行く人もいたくらいだ。
「マジで出すつもりじゃないよ。念の為。
トイレ気にしてたら集中できないし。
ほら、私たち頻尿界隈だからさ。」
そんな嫌な界隈あったのか。
あと、お前たちが頻尿なのはコーヒーをガブ飲みしているからだ。
心的に余裕が無いと余計にトイレが近くなるので、確かに良い考えではある。
隣の大河はほぉ、と間抜けな声を上げて納得している。
だがオムツを着けている女子なんて、センシティブなのには変わりない。
平井の後ろから筒井がひょっこり顔を出す。
「一人5枚ね!国試二日間だから二枚ずつ。
一枚は練習用。」
そう考えれば32枚入りというのも、多すぎるという事も無かったのか。
筒井の見切り発車ではなくて安心した。
いや、ちょっと待て。
「「練習用?」」
俺と大河は同時に口を開いていた。
「そ。練習用。
いきなり本番で着けたら、違和感で集中できないかもでしょ。
着脱とかもどんな感じか分かんないし。」
平井が当然のように澄ました顔で説明する。
横でチョロチョロしていた筒井を片手でホールドし、わしゃわしゃと頭をなでている。
女子特有の距離感というのはよく分からない。
「と、言うわけで、皆今からトイレ禁止。
コレ着けて、限界まで我慢してね。」
「「え?」」
俺と大河は再び同時に声を上げる。
今から?ここで?
「着用感って話なら、我慢する必要はないんじゃ?」
普段大人しい大河が珍しく焦って口を挟む。
当然だ。
俺たちに"そういう癖"はないのだ。
「むむっ。でも会場で出す時は限界の時だし。
限界の量を耐えれるのかチェックしないと。」
平井が小脇に抱えているモシャモシャから声が出る。
そして、そのモシャモシャを丁寧に解きながら、水上が補足を始める。
「給水量は問題ないんだけど、給水速度は別の話だし。
臭いとか、音とか確認はしたいよね。
自分一人だとその辺、分かんないし。」
女子三人はまさかのノリ気だ。
お馬鹿二人の悪ノリとかではなく、真面目な水上まで。
女が強めな当研究室では、ノーと言えない雰囲気だ。
仕方なく、俺と大河はオムツを受け取った。
「ちょいゴワゴワするな。」
俺と大河がトイレで着けて戻って来ると、机の上には湯気の上がるティーカップが置かれていた。
水上が入れたらしい。
「おーサンキュ。」
中には茶色がかった透明な液体が入っていた。
香草の様な独特の香りが漂っている。
ちょうど喉が渇いていた俺たちは一息に飲み干した。
お茶でも紅茶でもない、独特な苦味が喉を降りていく。
美味しくはない。
念の為女子達を確認すると、どうやら同じ物を飲んでいるらしい。
筒井は両手でカップを支えて息を吹きかけ、平井は同じティーカップを洗っている。
以前ドッキリでセンブリ茶を飲まされて警戒してしまったが、危ない物ではない様だ。
「これ、何のお茶?」
独特な味に疑問を持ったのか、首を傾げていた大河が尋ねる。
水上は俺たちに、茶色のラインが入った白の箱を見せる。
箱には"17"の文字が大きく書かれていた。
俺たちはまだ薬剤師の卵だ。
知っている薬なんて試験に出る物だけだし、実際の薬を触った経験も、実習でしかない。
だが分かる。
有名な漢方薬だ。
ツムラ"17"五苓散(ゴレイサン)
利尿薬だ。
「おまっ!お前!そこまでするか⁈」
思わずカップを取り落としそうになる。
水上は普段イタズラに参加しないが、やるなら徹底的なタイプだ。
「シャープな効き目で、"水の流れ"を改善します。
即効性あるけど脱水注意だよ。
桂皮入ってるからワンチャン、テストでる。」
効能効果を聞きたい訳ではない。
国試に出たら激アツではあるが。
大河は開封済みのアルミ包装を見つめながら溜息を漏らす。
「必要ないのに飲むのは、薬物濫用なんじゃ?」
まあ飲んでしまったものは仕方ない。
俺たちは渋々とウォーターサーバーに水を汲みに行く。
感想 0
あなたにおすすめの小説
【短編集】こども病院の日常
moaここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。