チョーゴーキン! ――車両模型に転生したアラサー女子、異世界の街道をひた走る

eggy

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28 迎撃した 2

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 言葉にして打ち合わせはできないけど、とにかく試してみようと思う。
 夜中の試行でできることだけは分かっているんだけど、明るい中でどれだけ狙いが定められるかが問題だ。
 まあ失敗しても、あたしの身体は狼に食い殺されたり破壊されたりしない――はずだ。
 相手は、約三十メートル前方。
 上面の窓から、レーザー砲を出す。
 狙いを定め。発射!
 先頭の黒い狼が、キャン、と吠えて仰け反った。
 次々と狙い。発射、発射、発射、発射。
 後方の狼たちも、次々に仰け反り足どりを乱す。

「何だ?」
「いやとにかく、今だ! 討ちとれ!」

 護衛二人が、駆け出した。
 命落としたわけではないが何度も首を振りふらつく獣たちに向けて、殺到する。剣が振られ、黒い獣首から血が噴き出す。
 その間に、あたしはさらに前に出た。
 向かいの木立陰から、さらに二頭の狼が走り出てきている。
 その目を狙い、発射、発射。
 キャン、と吠え、狼の足が乱れる。
 駆け寄ってきた二人が、それぞれの首を刎ねる。
 見ると、森の中にもう増兵はいないようだ。

「終わりか?」

 エトヴィンが駆け出してきた。
 護衛二人が、振り返って頷く。

「合計七頭ですか」
「もう森の中に、いないようです」
「そうか」

 深々と息をつき。
 エトヴィンは足元のあたしを見下ろした。

「それにしてもハル殿、何をしたのですか。何かをして、狼の足を止めたのですよね」
「確かに。足を止めただけではなく何処かを痛めたように、狼はいつもの動きを失っていました」
「お陰で我々は、剣を振るうだけで征伐することができました」
「何をしたのです? ハル殿」

 当然ながら、口で説明することはできない。
 あたしは、一度仕舞ったレーザー砲を上に突き出した。
 何もない草地の上に向けて、発射。
 数十センチ長さの細い銀色が二十メートルほど勢いよく飛翔し、落ちていく。

「な、何だ?」
「それは――水、ですか?」

 エトヴィンの問いに、頷きで答える。
 昨夜真夜中、水魔法を工夫してできたものだ。
 魔法で、一度に拳二つ分程度の水を出すことができる。しかしあたしの身体では、強く遠くに飛ばすことができないんだよね。
 一方でよく言われることだけど、魔法の出来はイメージで決まるという。
 エトヴィンも「飛ばすために手を振る力は不要で、あくまで飛ばすというイメージが大切なのです」と言っていた。
 それなら、と気がついたんだ。飛ばすイメージを得るのに最適なものを、あたしは持っているじゃないか。
 レーザーと水の違いなど、たいしたことはない。銃腔がいていないかもしれないけど、問題ない。それが事実かどうかなど二の次、要はあたし本人が思い込み信じ切れるかどうかが肝心のはずだ。
 とにかく形からのイメージだけで、水を弾として撃ち出す想像をしながら魔法を使ってみた。結果、水鉄砲よろしく飛ばすことができたんだ。
 何度か試して、威力はおそらくテレビショッピングでお馴染み『高圧洗浄機』程度にはなっているんじゃないかと思う。たぶん獣の表皮に穴を開けられないにしても、目を狙えば痛みで動きが止まるくらいにはなるんじゃないか。
 夜中の実験でそこまでできず、残った課題は狙いを何処までつけられるかだったんだけど。この身体というか頭というか視界というか、何の意味か知らないけど狙いをつけるための照準が装備されている。
 さっきのぶっつけ本番でそれを使ってみて、見事に動いている相手の目への命中を果たせた。
 映画の中では電子機械的に狙いをつけて、レーザーの命中率はかなり高かった。それに思いを馳せて「当然命中する」と思い込んだのが、よかったのかもしれない。

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