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32 切断した 2
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「斬り込んだ深さは、五十ミター(ミリメートル)ぐらいですか。こうしたふつうの獣を狩るには、十分のようですね。このように首の血管を切断すれば、止|《とど》めを刺せそうです。もっと表皮の硬い魔獣など相手にはどうなのか、検証が必要でしょうが」
うん、とあたしは頷く。
これで、魔獣などに対する攻撃法を二種類手にしたわけだ。水鉄砲で相手の動きを止め、風の刃で傷を与える。うまく頸動脈辺りに命中すれば、命を奪えるかもしれない。
ただ要注意なのは、水鉄砲の射程距離は二十メートル程度あるけど、風の刃は五十センチくらいだということか。遠距離攻撃で足止めしたとしても、次の攻撃のために距離を縮める必要があるということになる。
まあそこは、一人で戦う場合、水鉄砲も近距離で使うようにするべきか。人間の身体と違ってこの身は、おそらく剣や獣の牙などを受けても損傷を負わない。つまり近距離で不利だという要素はあまりないんだ。その辺の利点を上手く使うべきだと思う。
そんなことを考えていると、エトヴィンがぬっと顔を寄せてきた。
「この風魔法でしたら、私も適性があるので使えるかもしれません。ハル殿、ぜひ教えてください!」
――いや、教えろと言われても……。
起きている間は言葉が使えないので、細かい説明は不可能なんだよ。
せいぜい、目の前でお手本を見せるしかない。
仕方なく、草に向けてくり返しマジックハンドを振ってみせる。
「なるほど、こうですか。横に手を振るのですね」
喜び勇んで、挑戦してみる。
しかし何度くり返しても、エトヴィンの手の先に切断は実現しない。
躍起になって、何度も何度も手を振るけど。
――力を込めても仕方ない。イメージが大切なんだって、分かっているだろうに。
そう宥めてやりたいのはやまやまなんだけど、何にしろ言葉にできないんだ。
「ああ、上手くいかない。悔しいなあ」
成功のないまま、エトヴィンは魔力残量が不安になって石の上に座り込んだ。しばらく休み残りの睡眠をとれば、朝には回復しているはずだと言う。
あたしは改めて、同じ風の刃を岩に向けて放ってみた。
わずかに表面が削れたかどうか、やっぱり岩を斬るのは無理なようだ。
もしかするとイメージの問題なのかもしれないけど、とにかく現状、この魔法で無制限に何でも斬れるわけではないことになる。
その後もいろいろ試したところ、木の幹なら一センチかそれくらい斬り込むことができる。兎の毛皮と肉ならやっぱり五センチが限界、という辺りで検証は落ち着いた。
「それにしても本当に、ハル殿は際限なく魔法を繰り返せるのですね。羨ましい限りです」
ここでもエトヴィンは、しみじみと羨望の目を向けてきた。
最初の水球を作るだけしかできなかったときはどうでもいいレベルだったけど、こうして攻撃方法として確立してみると、自分でもこの無限に近い連発能力はありがたく思える。
水鉄砲にしても一発だとたいした効果がないかもしれないけど、連発で結果を出せるということも考えられるんだ。
その辺を考慮して、連続射撃の練習を積んでおくべきだろう。
この森には、まだまだいろいろな危険が潜んでいるらしいから。
うん、とあたしは頷く。
これで、魔獣などに対する攻撃法を二種類手にしたわけだ。水鉄砲で相手の動きを止め、風の刃で傷を与える。うまく頸動脈辺りに命中すれば、命を奪えるかもしれない。
ただ要注意なのは、水鉄砲の射程距離は二十メートル程度あるけど、風の刃は五十センチくらいだということか。遠距離攻撃で足止めしたとしても、次の攻撃のために距離を縮める必要があるということになる。
まあそこは、一人で戦う場合、水鉄砲も近距離で使うようにするべきか。人間の身体と違ってこの身は、おそらく剣や獣の牙などを受けても損傷を負わない。つまり近距離で不利だという要素はあまりないんだ。その辺の利点を上手く使うべきだと思う。
そんなことを考えていると、エトヴィンがぬっと顔を寄せてきた。
「この風魔法でしたら、私も適性があるので使えるかもしれません。ハル殿、ぜひ教えてください!」
――いや、教えろと言われても……。
起きている間は言葉が使えないので、細かい説明は不可能なんだよ。
せいぜい、目の前でお手本を見せるしかない。
仕方なく、草に向けてくり返しマジックハンドを振ってみせる。
「なるほど、こうですか。横に手を振るのですね」
喜び勇んで、挑戦してみる。
しかし何度くり返しても、エトヴィンの手の先に切断は実現しない。
躍起になって、何度も何度も手を振るけど。
――力を込めても仕方ない。イメージが大切なんだって、分かっているだろうに。
そう宥めてやりたいのはやまやまなんだけど、何にしろ言葉にできないんだ。
「ああ、上手くいかない。悔しいなあ」
成功のないまま、エトヴィンは魔力残量が不安になって石の上に座り込んだ。しばらく休み残りの睡眠をとれば、朝には回復しているはずだと言う。
あたしは改めて、同じ風の刃を岩に向けて放ってみた。
わずかに表面が削れたかどうか、やっぱり岩を斬るのは無理なようだ。
もしかするとイメージの問題なのかもしれないけど、とにかく現状、この魔法で無制限に何でも斬れるわけではないことになる。
その後もいろいろ試したところ、木の幹なら一センチかそれくらい斬り込むことができる。兎の毛皮と肉ならやっぱり五センチが限界、という辺りで検証は落ち着いた。
「それにしても本当に、ハル殿は際限なく魔法を繰り返せるのですね。羨ましい限りです」
ここでもエトヴィンは、しみじみと羨望の目を向けてきた。
最初の水球を作るだけしかできなかったときはどうでもいいレベルだったけど、こうして攻撃方法として確立してみると、自分でもこの無限に近い連発能力はありがたく思える。
水鉄砲にしても一発だとたいした効果がないかもしれないけど、連発で結果を出せるということも考えられるんだ。
その辺を考慮して、連続射撃の練習を積んでおくべきだろう。
この森には、まだまだいろいろな危険が潜んでいるらしいから。
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