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そこは、南国。獣人の里
2-14 ダンスの時間
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楽しかった祭りの時間は、たちまちの内に過ぎる。
大小様々な枝がくべられて、里の中央に大きな焚火が
用意された。
その明々とした炎は、リリシにある事を思い出させる。
そう、夢の少年。
彼は、身に炎を纏い手を伸ばして助けを求めていた。
私だけ、こんなに平和でいいのかな……と後ろめたい心が無い訳では無い。
そう言えば、最近少年の夢を見なくなった。
少しばかり寂しくもあり、また少しほっとしていた。
隣を見ると、アミルアとケルノスが楽しそうに話している。
ケルノスは、いい獣人だ。
大人しくて控えめではあるけれど、抜群に知識がある。
特に植物に関しての知識は、膨大だった。
南国でしか咲かない花、木、木の実。二人はケルノスに沢山
教えて貰った。
知らなかった事だが、その中には毒草と呼ばれる危険な植物も
混ざっている。触ると手が、かぶれたり食べると死の危険がある
草もあった。
しかし、毒草でも使い道はある。
慎重に扱えば、貴重な薬の材料にもなったりもする。
「それで、とても味付けが上手く行ったんですのよ」
「日に日に、料理の腕が上達していますね。アミルアさン」
そんな二人の、会話に顔を突っ込む事も無くリリシは大人しく
会話を聞いて居た。
私も手伝っているんだけどなぁ、なんて少しの寂しさを感じつつ。
やがて、太陽が沈みかける頃。ダンスが、始まった。
リリシは、踊る相手が居ないがもしかしたら誰かが誘ってくれるかも
しれないと期待を大きくしていた。
向こうでは、早速ダクザとその妻のサリーが手を組んで一緒に
ダンスを踊っている。獣人達が奏でる、キタラと太鼓の演奏が軽快だった。
振り付けは独特な物で、当然リリシもアミルアも見た事が無い
種類の物だ。だが、男性が女性をリードして踊るのは共通していて
ダクザはサリーを宙に持ち上げたりして豪快に踊っている。
「じゃあ、踊り始めましょうカ。アミルアさン。こちらヘ」
熊毛の生えた手を、アミルアへと差し伸べる。
その手を取り、アミルアはケルノスのリードで焚火の側のダンス広場に
滑り込むようにして躍り出る。
アミルアにとって、このダンスを踊るのは初めてだったから
動き方はよく分からなかったが、ダンスの動きはごく単調な物で難しい事は
一切無かった。
元より運動神経の良いアミルアは、たちまちにダンスの輪の中で
一際目立っていた。その腰に優しく手を回して、ステップを踏む
ケルノスの瞳はひたすら優しかった。
あっ、とリリシは何かに思い当たる。
もしかして、ケルノスさんって。幼いが、女の勘が働く。
アミルアの事が、好きなんじゃないのかなぁ、と。
大小様々な枝がくべられて、里の中央に大きな焚火が
用意された。
その明々とした炎は、リリシにある事を思い出させる。
そう、夢の少年。
彼は、身に炎を纏い手を伸ばして助けを求めていた。
私だけ、こんなに平和でいいのかな……と後ろめたい心が無い訳では無い。
そう言えば、最近少年の夢を見なくなった。
少しばかり寂しくもあり、また少しほっとしていた。
隣を見ると、アミルアとケルノスが楽しそうに話している。
ケルノスは、いい獣人だ。
大人しくて控えめではあるけれど、抜群に知識がある。
特に植物に関しての知識は、膨大だった。
南国でしか咲かない花、木、木の実。二人はケルノスに沢山
教えて貰った。
知らなかった事だが、その中には毒草と呼ばれる危険な植物も
混ざっている。触ると手が、かぶれたり食べると死の危険がある
草もあった。
しかし、毒草でも使い道はある。
慎重に扱えば、貴重な薬の材料にもなったりもする。
「それで、とても味付けが上手く行ったんですのよ」
「日に日に、料理の腕が上達していますね。アミルアさン」
そんな二人の、会話に顔を突っ込む事も無くリリシは大人しく
会話を聞いて居た。
私も手伝っているんだけどなぁ、なんて少しの寂しさを感じつつ。
やがて、太陽が沈みかける頃。ダンスが、始まった。
リリシは、踊る相手が居ないがもしかしたら誰かが誘ってくれるかも
しれないと期待を大きくしていた。
向こうでは、早速ダクザとその妻のサリーが手を組んで一緒に
ダンスを踊っている。獣人達が奏でる、キタラと太鼓の演奏が軽快だった。
振り付けは独特な物で、当然リリシもアミルアも見た事が無い
種類の物だ。だが、男性が女性をリードして踊るのは共通していて
ダクザはサリーを宙に持ち上げたりして豪快に踊っている。
「じゃあ、踊り始めましょうカ。アミルアさン。こちらヘ」
熊毛の生えた手を、アミルアへと差し伸べる。
その手を取り、アミルアはケルノスのリードで焚火の側のダンス広場に
滑り込むようにして躍り出る。
アミルアにとって、このダンスを踊るのは初めてだったから
動き方はよく分からなかったが、ダンスの動きはごく単調な物で難しい事は
一切無かった。
元より運動神経の良いアミルアは、たちまちにダンスの輪の中で
一際目立っていた。その腰に優しく手を回して、ステップを踏む
ケルノスの瞳はひたすら優しかった。
あっ、とリリシは何かに思い当たる。
もしかして、ケルノスさんって。幼いが、女の勘が働く。
アミルアの事が、好きなんじゃないのかなぁ、と。
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