創成魔法の使い手の巫女は、対の存在に気が付きました

山本あじさい

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3-14 使者来る

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「要するに、ツジヤ王宮の人を騙すって事だよね?」
「そうなりますわね」

 リリシは、嘘をつくのがあまり得意では無い。
 それでも、カグヅチを助ける為なら嘘の一つや二つは
つかないといけないかもしれない。
それが、善か悪かはともかくも、つかなければならない嘘はある。
自分が、サルヴィと偽名を使って教団を抜け出したように。

「予言なんて嘘でも出来るかどうか分からないけど……、
やってみる!」
「えぇ!」

 その後、5日間は二人の自由時間となった。
酒場の女店主の所で、様々なスイーツを片っ端から
注文してみたり、穴場と呼ばれる銘菓店に行ってみたり。
宿の布団はフカフカだし、街の甘味はとても美味しいし、
かなり楽しく時間を満喫出来た。

 アミルアは、カグヅチを助ける事が出来れば獣人の里へ
向かうと言う。
永遠の別れでは、無かったとしてもそれは寂しい事だった。

 私は、今ではアミルアの事を本当の姉だと思って
接している……。
天涯孤独だった、リリシが初めて体験した姉妹の絆。
 それは、得難い物でずっとずっと甘えていたくなる。
それでも。必ず来る別れの時に備えて心を強くもたないと
いけない。

 テーブルの向かい側で、甘い砂糖菓子を頬張るアミルアに
そっと視線をやってリリシは軽く息をついた。

 アミルアは、その視線に気が付いていた。
だが、知らない振りをしていた。
 時折寂しそうな顔を見せるリリシの事を、アミルアは
全部知っている訳では無い。
 だからこそ、その憂い顔が自分が原因なのだとは少ししか
思っていなかった。

きっとカグヅチの事を考えているのですわね。

 アミルアは、そう思って自分の心を誤魔化す事にした。

 5日間が過ぎて再び関所へと足を運ぶ。
 関所の奥の応接間に通された二人は、王宮から遣わされた
使者と相対していた。

 使者は、黒く短い髪と髭を持つ壮年の男。
確かに見覚えがあった。

「使節団だった方ですよね?私は、サルヴィ」
「同じくメイドのアミルアですわ。その節は、ご迷惑を
かけてしまって申し訳ありませんでしたわ」

 元使節団の男は、顔を確認するように二人をじいっと
見ながら、

「あの時、突然お二人の姿が消えたので吃驚した。
一体何処でどう過ごしていたのか?」
「それは……」

 獣人の里の存在については、他言をしないようにダクザから
頼まれている。
 だから里の事は、ぼかしつつ人さらいに遭って奴隷オークションに
連れて行かれた事を話す。

「ハルヴェリア教国では、まだそんな野蛮な振る舞いが
平然と行われているのか……。ともかく、お二人は命からがら
逃げ出して来た、と」
「そうですわ」
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