創成魔法の使い手の巫女は、対の存在に気が付きました

山本あじさい

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水魔法の弓

4-11 魔物、また魔物

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 両側から、ワダツミの部下達が刀を大猿の首に当てる。
 同時に一気に内側へと切り込みを入れてそのままゴリッ、スパン!と
骨を砕き首を落とす。

 緑色の血飛沫が上がり、魔物は完全に絶命したようだ。

 その時、その血の匂いに惹かれてか魔物らしき気配が
濃くなった。

「ワダツミさん、以前来た時にも魔物を倒したんですよね?」
「ああ、避けられる戦いはなるべく避けてどうしても必要のある場合は
部下と共に連携して倒した」
「また新しく魔物が、湧いていると言う事は魔物は何処から
出現しているの?」
「それが分からないのだ……。不思議な事に倒しても倒しても
魔物の数は減る様子が無い。
以前倒した魔物の種類に近い魔物が、いつの間にか森を
徘徊しているんだ」

 魔物は、一体何処から湧くのか。
結局その謎は、明かされない。
 こんな恐ろしい森に一人放り込まれたカグヅチは、どのようにして
生き延びているのか……。
今頃は、助けを求めて逃げ彷徨っているのか。
ワダツミの言う言葉を信じると、カグヅチはこの森で一人
生きていると言う。

 カグヅチ……。彼の事を思うとリリシはぎゅうっと
胸が締め付けられるように痛くなる。
 その痛みに呼応するかのように、森の隙間から魔物の
毒液が発射される!

 ビュッ!と勢いよくこちらへ向かって吐き出された紫の液は
リリシに当たるかと思いきや、危険を察知した
アミルアがリリシに体当たりして地面に伏せさせ
バロウは、咄嗟に首に巻いた布の端っこを持ち毒液を
叩き落とした!

ゲゲゲゲエエエエエッ!

 新たに現れたのは、地面の上に盛り上がった根を器用に動かし
毒々しい花弁と葉の色を持つおぞましい植物の魔物三体だった。
 ビュッ、ビュッと尚も毒液をこちらへ向かって吐き散らかしながら
見た目にそぐわない素早さで向かってくる。

「こいつの弱点は。花弁の下側の核だ!」

 ワダツミは、刀を煌めかせて毒液を、地面へと叩き落とし
物凄いスピードで一行の前へと飛び出す。

 ダン!と大木の幹を蹴って上空から魔物の進行を
妨げるように刀を下に構えて落下のスピードを乗せて
魔物に突き刺す!
 魔物の移動速度と相まって、刀は鋭い切れ込みを花弁に残し
花弁の下にある核に到達した。魔物の花弁を蹴ってワダツミは
後ろへと飛び退った。

 ギャアアアアアッ! とギザギザの牙を持つ花が断末魔を上げる。
 残り二匹は、毒液を更に吐き周囲の地面は、毒液で汚れて
醜悪な匂いを放っている。

「リリシ様、魔法の弓を」

 バロウの言葉で、地面をゴロゴロと転がり毒液を避けていた
アミルアとリリシが大木の裏側に退避し姿勢を起こした。
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