【R18】支配と快楽の檻で

ましゅまろ

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⑧デート

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穏やかな午後の日差しが降り注ぐ、洒落た街角。
 蓮はどこかそわそわしながら、隣を歩く沙耶を盗み見た。

 「なに?」

 沙耶は少し不機嫌そうに眉を寄せる。
 でもそれが照れ隠しだと、蓮にはもう分かっていた。

 「……いや、沙耶さん、すごく綺麗だなって」

 「……バカ。そういうのは部屋の中で言いなさい」

 顔を赤らめてそっぽを向く沙耶に、蓮は思わず笑みが零れた。

 今日は調教も鎖もない。ただのデート。
 沙耶はいつもの黒いタイトスカートに代わって、柔らかな白いワンピースを着ている。
 それがあまりに眩しくて、胸がぎゅっと苦しくなった。

 「でも、今日は沙耶さんを独り占めできて嬉しいです」

 蓮がそう言うと、沙耶は軽くため息をつき、でもすぐに小さな声で答えた。

 「……私もよ」

 その言葉に頬が熱くなる。
 思わず沙耶の手をそっと取ると、最初は小さく抵抗したものの、すぐに指を絡め返してくれた。

 (あ……繋げた……)

 心臓が跳ねる。

 街行く人は誰も、沙耶を女王様だなんて思わないだろう。
 この人が、あの夜のように冷たく笑って自分を責めてくる人だなんて――

 でも、蓮の首には今日も細いチョーカーが巻かれている。
 遠目には普通のファッションアクセサリーにしか見えないが、中には薄い金属が仕込まれ、軽く引けば締まる特注品だった。

 (俺は……沙耶さんの犬で、でも……こうして一緒に並んで歩ける)

 幸せで、泣きそうになった。

 ***

 午後はカフェで一緒にケーキを食べ、ショップで沙耶のワンピースを褒め、次に小さな雑貨店へ入った。

 「ほら、これ蓮に似合うわ」

 沙耶が指差したのは、黒いシンプルなブレスレットだった。
 革製で細く、さりげなく金の小さなプレートが光る。

 「沙耶さんが選んでくれるなら……すごく嬉しいです」

 「バカね……」

 そう呟きながら、沙耶はその場で蓮の手首にブレスレットを巻きつけた。
 カチャ、と小さな留め金の音がした瞬間、思わず胸が詰まった。

 「これ、首輪じゃないけど……」

 「うん……でも、これを見たら思い出します。俺は沙耶さんのものだって」

 沙耶は恥ずかしそうに目を逸らし、それでも優しく微笑んだ。

 「……変な子。でも、そういうところが好きよ」

 そう言って、店を出るときにそっと蓮の頬にキスをくれた。
 街角でのそのキスは、調教よりもずっと心臓に響いた。

 ***

 その夜、沙耶の部屋に戻ると、彼女はリビングのソファに座って蓮を呼んだ。

 「蓮、膝枕してあげる」

 「えっ……?」

 「今日は……お利口だったから」

 照れたように唇を尖らせる沙耶に、嬉しくなって素直に彼女の膝に頭を乗せた。

 「……沙耶さん……」

 「なに?」

 「……大好きです」

 沙耶は何も言わずに蓮の髪を撫でた。
 いつもの冷たい指なのに、今日はやけに優しく感じた。

 目を閉じると、ふわりと香水の匂いがした。
 その甘い匂いと、ゆっくりと頭を撫でる手の動きが心地よくて、蓮は少しだけ涙が滲むのを感じた。

 (この人の犬でよかった……沙耶さんに飼われて……よかった)

 沙耶はそっと、額に唇を落とした。

 「私も……大好きよ、蓮」
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