処女だとバレたら国王に娶られる世界で、逆に性知識マスターになった私の話

ましゅまろ

文字の大きさ
3 / 8
本編

“王妃”なんて、絶対イヤ!

──馬車の中。

王都を走る車輪の音が、かすかに軋む。

隣に座る黒衣の男。
この国の絶対君主、レオン=グランディエ王は、ずっと黙っている。
時折ちらりと、私の顔を“値踏みするように”見るだけ。

 

……居心地が、悪すぎる。

(くっそ……なんで私がこんなヤツの横で緊張しなきゃいけないのよ……)

(はぁ……“国王の花嫁”なんて、誰が喜んでなりたいってのよ)

 

そう。
普通なら──きっと名誉なんだろう。

この国の王に娶られたら、庶民でも王妃になれる。
親族には土地、金、権力、そして一生の保障。

女なら誰もが憧れる“シンデレラ・ルート”。

……でも、私は──絶対にイヤだ。

 

その理由は、ひとつ。

 

「レオン王は、処女を弄ぶ」って、噂を聞いたからだ。

 

◆ ◆ ◆

 

──1年前。
近所の美人薬師、レイナさんが王城に召し上げられた。

彼女はそのときまだ19歳。処女性を“意図的に保持”して、王に選ばれることを狙っていたらしい。

その結果、実際に王に“娶られ”、国中が祝福ムードになった。

 

でも。

3ヶ月後。
彼女は突然、実家に帰ってきた。

その顔には……笑顔どころか、深い絶望と、虚ろな目しかなかった。

 

「王妃になれたんでしょ!? すごいじゃない!!」

「……違うのよ。王に、抱かれたの。確かに。でも……私は“ただの処女”だった。それ以上じゃなかったのよ」

 

王は、処女の女を手に入れると──
「もう用済み」と言わんばかりに、何も言わず捨てる。

“国王の処女コレクター”──そんな不名誉な噂が、庶民の間では密かに広がっていた。

 

(そんなの、冗談じゃない。私は“モノ”じゃない。お飾りの妃になんか、絶対にならない)

(それに──私は、自由に恋をしたい。好きな人と、普通の関係を築きたいだけ……!)

 

◆ ◆ ◆

 

王城に着いた。

私は深呼吸をし、表情を整えながら馬車を降りる。
長く続く石畳の先、絢爛な門が開かれていく。

(ここで、私の運命が決まるかもしれない……)

(でも、絶対に負けない。嘘でもいい、“経験者の女”を演じ切る!)

 

──そう決意した矢先。

 

「脱げ」

 

「は?」

 

レオンは冷たく言った。
私の目を真っ直ぐに見ながら、まるで“命令”のように。

 

「まずは、確認してやる。……処女かどうかはな」

 

(こいつっ……!!)

 

私は咄嗟に肩を抱いて身を守った。

「いやっ……そんなの、今この場で、嫌です……っ!」

 

すると、レオンは目を細め、口の端を吊り上げた。

「……冗談だ。逃げる反応を見るための“試し”だよ、処女かどうかをな」

 

「っ……!!」

 

(この野郎……! 完全に遊んでる!)

 

だが、怒ってはいけない。感情を爆発させたら、“庶民の娘”としての負け。

私は“余裕ある女”を演じるように微笑み返した。

 

「ふふ、驚きましたよ、もう……。さすが国王陛下、“焦らしプレイ”がお得意なんですね?」

 

レオンは一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐに笑った。

「面白い。……気に入ったよ、その態度」

 

そのまま私は、彼に連れられて王の私室へ。

豪華すぎるベッド。柔らかいシーツ。甘い香りの花。

すべてが“初夜”を連想させる空間だった。

 

(……まさか、ここで……)

 

「今夜、お前を“試す”。──その演技が、どれほどのものか」

 

レオンの瞳が、私を射抜いた。

 

(やばい……やばい……やばい!!!)

(試すって何!? 何を!? まさか、本当に……!?)

 

息が詰まりそうになる。

でも。

この国では、拒否は──罪。

そして、私はまだ“嘘の女”。

負けるわけには、いかない。

 

「……ふふ。構いませんよ、陛下」

「期待を裏切らない夜にしてみせますから──」

 

笑顔の仮面を被ったまま、
私はこの“処女バレ攻防戦”の、本当の始まりを迎えようとしていた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!