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本編
“王妃”なんて、絶対イヤ!
──馬車の中。
王都を走る車輪の音が、かすかに軋む。
隣に座る黒衣の男。
この国の絶対君主、レオン=グランディエ王は、ずっと黙っている。
時折ちらりと、私の顔を“値踏みするように”見るだけ。
……居心地が、悪すぎる。
(くっそ……なんで私がこんなヤツの横で緊張しなきゃいけないのよ……)
(はぁ……“国王の花嫁”なんて、誰が喜んでなりたいってのよ)
そう。
普通なら──きっと名誉なんだろう。
この国の王に娶られたら、庶民でも王妃になれる。
親族には土地、金、権力、そして一生の保障。
女なら誰もが憧れる“シンデレラ・ルート”。
……でも、私は──絶対にイヤだ。
その理由は、ひとつ。
「レオン王は、処女を弄ぶ」って、噂を聞いたからだ。
◆ ◆ ◆
──1年前。
近所の美人薬師、レイナさんが王城に召し上げられた。
彼女はそのときまだ19歳。処女性を“意図的に保持”して、王に選ばれることを狙っていたらしい。
その結果、実際に王に“娶られ”、国中が祝福ムードになった。
でも。
3ヶ月後。
彼女は突然、実家に帰ってきた。
その顔には……笑顔どころか、深い絶望と、虚ろな目しかなかった。
「王妃になれたんでしょ!? すごいじゃない!!」
「……違うのよ。王に、抱かれたの。確かに。でも……私は“ただの処女”だった。それ以上じゃなかったのよ」
王は、処女の女を手に入れると──
「もう用済み」と言わんばかりに、何も言わず捨てる。
“国王の処女コレクター”──そんな不名誉な噂が、庶民の間では密かに広がっていた。
(そんなの、冗談じゃない。私は“モノ”じゃない。お飾りの妃になんか、絶対にならない)
(それに──私は、自由に恋をしたい。好きな人と、普通の関係を築きたいだけ……!)
◆ ◆ ◆
王城に着いた。
私は深呼吸をし、表情を整えながら馬車を降りる。
長く続く石畳の先、絢爛な門が開かれていく。
(ここで、私の運命が決まるかもしれない……)
(でも、絶対に負けない。嘘でもいい、“経験者の女”を演じ切る!)
──そう決意した矢先。
「脱げ」
「は?」
レオンは冷たく言った。
私の目を真っ直ぐに見ながら、まるで“命令”のように。
「まずは、確認してやる。……処女かどうかはな」
(こいつっ……!!)
私は咄嗟に肩を抱いて身を守った。
「いやっ……そんなの、今この場で、嫌です……っ!」
すると、レオンは目を細め、口の端を吊り上げた。
「……冗談だ。逃げる反応を見るための“試し”だよ、処女かどうかをな」
「っ……!!」
(この野郎……! 完全に遊んでる!)
だが、怒ってはいけない。感情を爆発させたら、“庶民の娘”としての負け。
私は“余裕ある女”を演じるように微笑み返した。
「ふふ、驚きましたよ、もう……。さすが国王陛下、“焦らしプレイ”がお得意なんですね?」
レオンは一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐに笑った。
「面白い。……気に入ったよ、その態度」
そのまま私は、彼に連れられて王の私室へ。
豪華すぎるベッド。柔らかいシーツ。甘い香りの花。
すべてが“初夜”を連想させる空間だった。
(……まさか、ここで……)
「今夜、お前を“試す”。──その演技が、どれほどのものか」
レオンの瞳が、私を射抜いた。
(やばい……やばい……やばい!!!)
(試すって何!? 何を!? まさか、本当に……!?)
息が詰まりそうになる。
でも。
この国では、拒否は──罪。
そして、私はまだ“嘘の女”。
負けるわけには、いかない。
「……ふふ。構いませんよ、陛下」
「期待を裏切らない夜にしてみせますから──」
笑顔の仮面を被ったまま、
私はこの“処女バレ攻防戦”の、本当の始まりを迎えようとしていた。
王都を走る車輪の音が、かすかに軋む。
隣に座る黒衣の男。
この国の絶対君主、レオン=グランディエ王は、ずっと黙っている。
時折ちらりと、私の顔を“値踏みするように”見るだけ。
……居心地が、悪すぎる。
(くっそ……なんで私がこんなヤツの横で緊張しなきゃいけないのよ……)
(はぁ……“国王の花嫁”なんて、誰が喜んでなりたいってのよ)
そう。
普通なら──きっと名誉なんだろう。
この国の王に娶られたら、庶民でも王妃になれる。
親族には土地、金、権力、そして一生の保障。
女なら誰もが憧れる“シンデレラ・ルート”。
……でも、私は──絶対にイヤだ。
その理由は、ひとつ。
「レオン王は、処女を弄ぶ」って、噂を聞いたからだ。
◆ ◆ ◆
──1年前。
近所の美人薬師、レイナさんが王城に召し上げられた。
彼女はそのときまだ19歳。処女性を“意図的に保持”して、王に選ばれることを狙っていたらしい。
その結果、実際に王に“娶られ”、国中が祝福ムードになった。
でも。
3ヶ月後。
彼女は突然、実家に帰ってきた。
その顔には……笑顔どころか、深い絶望と、虚ろな目しかなかった。
「王妃になれたんでしょ!? すごいじゃない!!」
「……違うのよ。王に、抱かれたの。確かに。でも……私は“ただの処女”だった。それ以上じゃなかったのよ」
王は、処女の女を手に入れると──
「もう用済み」と言わんばかりに、何も言わず捨てる。
“国王の処女コレクター”──そんな不名誉な噂が、庶民の間では密かに広がっていた。
(そんなの、冗談じゃない。私は“モノ”じゃない。お飾りの妃になんか、絶対にならない)
(それに──私は、自由に恋をしたい。好きな人と、普通の関係を築きたいだけ……!)
◆ ◆ ◆
王城に着いた。
私は深呼吸をし、表情を整えながら馬車を降りる。
長く続く石畳の先、絢爛な門が開かれていく。
(ここで、私の運命が決まるかもしれない……)
(でも、絶対に負けない。嘘でもいい、“経験者の女”を演じ切る!)
──そう決意した矢先。
「脱げ」
「は?」
レオンは冷たく言った。
私の目を真っ直ぐに見ながら、まるで“命令”のように。
「まずは、確認してやる。……処女かどうかはな」
(こいつっ……!!)
私は咄嗟に肩を抱いて身を守った。
「いやっ……そんなの、今この場で、嫌です……っ!」
すると、レオンは目を細め、口の端を吊り上げた。
「……冗談だ。逃げる反応を見るための“試し”だよ、処女かどうかをな」
「っ……!!」
(この野郎……! 完全に遊んでる!)
だが、怒ってはいけない。感情を爆発させたら、“庶民の娘”としての負け。
私は“余裕ある女”を演じるように微笑み返した。
「ふふ、驚きましたよ、もう……。さすが国王陛下、“焦らしプレイ”がお得意なんですね?」
レオンは一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐに笑った。
「面白い。……気に入ったよ、その態度」
そのまま私は、彼に連れられて王の私室へ。
豪華すぎるベッド。柔らかいシーツ。甘い香りの花。
すべてが“初夜”を連想させる空間だった。
(……まさか、ここで……)
「今夜、お前を“試す”。──その演技が、どれほどのものか」
レオンの瞳が、私を射抜いた。
(やばい……やばい……やばい!!!)
(試すって何!? 何を!? まさか、本当に……!?)
息が詰まりそうになる。
でも。
この国では、拒否は──罪。
そして、私はまだ“嘘の女”。
負けるわけには、いかない。
「……ふふ。構いませんよ、陛下」
「期待を裏切らない夜にしてみせますから──」
笑顔の仮面を被ったまま、
私はこの“処女バレ攻防戦”の、本当の始まりを迎えようとしていた。
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