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プロローグ
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人が何かを迷っている時、あたって砕けろとか、やらない後悔よりやる後悔とか、とにかくやってみろというニュアンスの言葉をかけることが多い。もちろん自分も例外ではなく、悩んでいる相手にそう言ったことがある。しかし好きな人に思いを伝える告白に限ってはどうだろう。本当に伝えないで後悔するより、伝えた方が良いのだろうか。
高校の時、俺は片思いをした。初恋というやつだ。しかし卒業の時、俺は思いを告げずに好きな人の前から去った。連絡先も消した。伝えない方が良いこともある。それが一番いい選択だと思っていた。
それなのに、あれから何年たっただろう。二十八歳になった今でもその思いは自分の中でくすぶり続けている。俺は選択を間違ったのだろうか。
「あれ? セノ?」
久しぶりに外に出る仕事だった。帰りに寄ったBarで、突然背後から自分の名前を呼ぶ声に、俺はすぐに振り返ることが出来なかった。気のせいかもしれない。別の同じ名字の人に声をかけたのかもしれない。あいつがここにいるはずがない。
恐る恐る声のする方向へ視界を移すと、よく覚えている姿が映った。背が高くて、その場にいるだけで人目を惹く整った顔。
勘違いではなかった。
それはそうだろう。偶然同じ名字の人と居合わせるほど、自分の名字はありきたりでもない。
そして俺をセノと呼ぶ人物は、一人しかいない。
「なぁ、セノだろ。俺の事、覚えてる?」
忘れるはずがない。返事を待たずに話しかけてくる、人懐っこい、優しい声色。
「諒……」
なんでここに?
そんな疑問が頭の中でいっぱいになり、名前を呟くまでに随分時間がかかったように思う。
俺が名前を呼ぶと、不安げだった諒の表情は一気に明るくなった。そんな諒とは反対に、俺の心臓はうるさく動いている。喜びの高鳴りじゃない。動揺だ。再会してしまった。
俺はこの男、津々井諒をずっと忘れたかったのに。
くすぶり続けている思いをもう伝えることは叶わない相手に。絶対付き合えない相手に再会してしまった。
高校の時、俺は片思いをした。初恋というやつだ。しかし卒業の時、俺は思いを告げずに好きな人の前から去った。連絡先も消した。伝えない方が良いこともある。それが一番いい選択だと思っていた。
それなのに、あれから何年たっただろう。二十八歳になった今でもその思いは自分の中でくすぶり続けている。俺は選択を間違ったのだろうか。
「あれ? セノ?」
久しぶりに外に出る仕事だった。帰りに寄ったBarで、突然背後から自分の名前を呼ぶ声に、俺はすぐに振り返ることが出来なかった。気のせいかもしれない。別の同じ名字の人に声をかけたのかもしれない。あいつがここにいるはずがない。
恐る恐る声のする方向へ視界を移すと、よく覚えている姿が映った。背が高くて、その場にいるだけで人目を惹く整った顔。
勘違いではなかった。
それはそうだろう。偶然同じ名字の人と居合わせるほど、自分の名字はありきたりでもない。
そして俺をセノと呼ぶ人物は、一人しかいない。
「なぁ、セノだろ。俺の事、覚えてる?」
忘れるはずがない。返事を待たずに話しかけてくる、人懐っこい、優しい声色。
「諒……」
なんでここに?
そんな疑問が頭の中でいっぱいになり、名前を呟くまでに随分時間がかかったように思う。
俺が名前を呼ぶと、不安げだった諒の表情は一気に明るくなった。そんな諒とは反対に、俺の心臓はうるさく動いている。喜びの高鳴りじゃない。動揺だ。再会してしまった。
俺はこの男、津々井諒をずっと忘れたかったのに。
くすぶり続けている思いをもう伝えることは叶わない相手に。絶対付き合えない相手に再会してしまった。
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