ミリオタが駆ける異世界傭兵生活

烏賊鯣

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プロローグ

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「距離600m風速2m当たるか?」
「余裕です!ファイア!」
ダンッ!
M2010スナイパーライフルから放たれる、7.62ウィンチェスター弾。
空気の膜が見え弾が飛ぶのが見える。
一秒にも満たない速度で飛翔する弾丸目標に吸い込まれるように飛んで行き。
スカッ!
「外してんじゃねえよ!ハゲ!」
「五月蝿え!お前が撃ってみろ!」

場所は異世界、此処はDifferent world Armors  Security通称DWASの狙撃訓練場の教練だ。
国はヴァーダント国、標高が高く山岳地帯、中東の方を思わせる国だ。
俺は此処に着てPMCに成ることを目指した。






時は一年程遡る。
「斎藤君本当に仕事辞めちゃうの?」
「はい、辞めます」
眼は落ち窪み不摂生が祟った体。髪は脂ぎり、風呂にも暫く入れていないようだ。
「今のご時世正職って言うのはもう雇ってくれないよ?」
「いえ、もう決めたことです。急な話ではありますが、今のプロジェクトが終わり次第引き継ぎをして退職をさせてもらいます」
「しかしだね?君に辞められると我々が今まで教えてきた事が全て無駄になるじゃないか」
「このまま此処で働くのは私も無理な話です。業務も終わらせなければいけないので、では」
「ちょっと待ちたまえ、斎藤くん!」
部長の話を切り上げ俺は部屋を後にした。


「斎藤大丈夫か?日に日に汚くなってくな。で、どうだ?」
「汚くてすみませんね...形だけ止めらました」
「ならもう1月後には晴れて昼の世界に戻れるってわけか?」
「止めてくださいよ...先輩は辞めないのですか?」
「俺か俺は辞めれねえよ、家にはカミさんもこどもも居る」
「だったら僕が一抜けですね...後一ヶ月宜しくお願いします」
「ああ」

俺はこの日辞表を出した。
3日に一回電車に揺られ家に帰れるのはまた3日後
帰っても動く気にもなれずその12時間後にはまた出社。
学校を卒業したのは二年前、大学を出たのは良いが、新卒と言う言葉を捨てれずギリギリに合格したこのSE会社、何度電車に飛び込んで世の中のSE共に迷惑を掛けてやろうかよ思ったことか。
毎日が納期前のような忙しさ、営業の頭を張り倒し旋盤に巻き込んでやろうかとも思う。
何故毎回取ってくるのはギリギリどころかオーバーランしている案件なんだと小一日問い詰めて発狂させてやりたい。


家に帰っては何時ものゲームをして何時もの牛丼を食べ何時もの時間に寝る。
ネットの友人に話すと、どこもかしこもブラックだの何だの...
俺が聞いてほしいのは俺の不幸自慢であって、君たちの不幸自慢では無い。

まぁそれは良いとして、流石に荒みすぎだと思い、転職サイトをウロウロしている時にDWASと言う会社を見つけた。
警備会社と言う言葉を見て俺には立ち仕事は無理だろうと思い読み飛ばそうとする。
スクロールをして読み飛ばしていくと妙に文字が浮いている部分が多く可怪しいことに気がついた。
何か企業のサイトや、裏サイト的な何かに飛ばされるだろうと思うが、上から並べていく。
「電話番号?」
書かれていたのは、何処かの電話番号だ。
企業説明に書いている番号とは異なる番号、ネットで検索かけても出てこない番号。
昔から好奇心は猫をも殺すと言われていたが、俺は好奇心の塊だ。
堅実とは言い難く、ノリと勢いで山にも登ったりもした。
バイクを買い旅をしようと言って林道を駆け回ったりもした。
海外はお金の問題と語学の問題で行くことは叶わなかったが....話がそれたな。
気がつくと携帯を握りしめぼーっと電話番号を書いた紙を見ていた。
頭に184を入れ電話を掛ける。
「この電話番号はお客様のご都合によりお繋ぎできません」
「...」
諦めて184を外し電話を掛けようとする。
二度目だが、俺は猫をも殺す方だ。
好奇心の塊だ。

「本日はDifferent world Armors  Security DAWS にお電話いただき有難うございます」
電子音声のガイダンスが流れる。
「職員の方は1を一般の方は2番を企業の方は3番を.....求職サイトで見た方は9番をお押しください」
迷って切る。
すると直ぐに折り返しの電話がかかってきた。
もう一度切るか迷うが出てみる。
くどいようだが俺は、好奇心の塊だ。
「お客様は9番の方ですね?」
「すみません間違えました」
「いえ、有ってます、お名前とご住所、ご年齢をお教えください」
「すみません現在働いていて、求職はしていないんですよ」
「そですか...今の貴方のお仕事のお話を聞かせてもらっても?」
そう言われ迷う。
友人に話してもブラック大会で俺が俺がになり誰も聞いてくれない。
親ももう何年も有って無く連絡も取っていない。
彼女も居らず....あれ?泣きたくなってきたぞ?
「カウンセリングの様なものです一度お話していただいていいですか?」
俺は....




「そうなんスよ!家に帰れず生きてるか死んでるかわからない今の仕事はもう嫌なんですよ!」
良い年した大人が号泣し今の仕事の話をする。
「そうなんですか...私どもの仕事は毎日寝れますよ?給料の方も基本給がかなり多く残業代もしっかり出ますよ?」
「本当にしっかりした企業なんですね。すみません、俺みたいな求職をしていない者が電話をして」
「いえ、大丈夫ですよ。これも仕事なので...で、どうです?我々の企業に就職してみませんか?」
「警備って立ち仕事ですよね?昔なら働けたかもしれませんが、私にはとても」
「大丈夫ですよ、オフィスでのお仕事も存在します、どうですか?」
「すみません、一度考えて良いですか?」
「考えるということは無いかもしれませんよね?ではこの話は無かった事に....」
俺は好奇心の塊だ。
「解りました!名前を言います、名前は斎藤 勝谷 住所は....」
「解りましたでは斎藤様、二月後にこちらからお迎えに上がらさせてもらいます」









一月後
「斎藤達者でな、またどこかで会うことも有るだろうその時は宜しくな」
「こちらこそその時は宜しくお願いします。では、ありがとうございました」
そう言って二人だけの飲み会が終わった。



今から一月後には警備会社で働かなければならない。
SEの俺がやっていけるだろうか....

それからは毎日体を鍛える努力を行なった。
食事も三色牛丼を辞め野菜も取るようにした。
仕事を辞めたことも家族に伝えた。

まぁはっきり言うと
運動は途中で無理なことが気づきすこしお休みをしている。
食事は三食牛丼から三食カレーに変わった。
家族に伝えると生きてるならそれでいいと言われ結婚はするのかなど聞かれた。

まぁ何事も長くは続かないってことだ。
無理は体に祟る。
今は英気を養う時だ。

自分に言い聞かせ3日に一回掛かってくる電話に出て用意するものなどや注意事項、その他色々のお話をした。
応答してくれるのは何時もの彼女アリスさんだ。
日本語が美味く最初は日本人だと思っていたが名前を聞いた時にやっと外国人だと思い「どちゃシコだぁ」と思いながら心のなかでの嫁にしていた。
俺は因みにかなりの奥手だ。
世の童貞の搾りかすなくらい奥手だ。
いや、この言い方には語弊があるな。
失礼すぎたなごめんなさい。


一月後
ボロアパートを引き払い、持っていけないものも全て捨てた。
「エロ本捨てた、漫画も捨てた、フィギュアも捨てた....」
物悲しくなった部屋を見終え外に出る。

時刻に近づき暫く待っていると黒色のハイエースが走ってきた。
お?着たかと思い服が入った鞄を持ち上げる。

目の前に止まり扉が開く。
「どうぞ」
そう言われ乗り込む。
後部座席に俺一人だけだ悠々と座らせてもらう。

暫く走りぼーっとしていると高速に乗った。
「今から飛行機に乗ってもらいますね」
そう言い近くの空港へ向かった。

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