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狂い咲く乙女
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体が、少しずつ冷たくなっていく。
周りは血の海。暗赤色が床を侵食していく。
無惨に荒らされた部屋を、電灯が静かに照らしている。壁や床に飛び散る血痕。それが起こった悲劇の結果を痛々しく物語っていた。
手足の感覚はとうに無く、肩口や足の付け根からボトボト、と血が溢れている。さっきから妙に気だるい。もう何もしたくない。
そうして床に転がったまま、私は自らの死を意識していた。
私を襲った男はどこへ行ったのだろう。
私にナイフを向けた男の、吐き気がするほど気持ちの悪い笑顔は忘れたくても忘れられない。あれはもはや人間の顔ではなかった。血肉に飢えた獣の顔だった。
私の家族も、全員アイツに殺されてしまったのだろうか。人を殺すことを娯楽としているかのような、あの男が視界に入った人間を見逃すとは思えない。
必死に逃げ惑う家族の恐怖に満ちた顔と、それらを追いかける男の不気味な笑顔が脳裏をよぎる。
家族の安否が心配だ。しかし今の私には、もう家族の生死を確認することは出来ない。
気づけば、私の呼吸は不自然なほど穏やかになっていた。苦痛はいつしか平常と認識され、冥界の扉へ少しずつ近づいていた。視界は段々と闇に飲み込まれていき、光は少しずつ失われていく。
つい昨日まで、私はどこにでもいる普通の女の子だった。
優しい両親と生意気な弟に囲まれて何不自由なく育っていった。
気が合う友達とは馬鹿話をしたり休日に遊びに出かけたりして楽しい日々を過ごしてきた。
そして、人並みに恋もした。
好きなあの人になかなか声をかけられず、ヤキモキしたあの日。
あの人に告白する時も、胸がドキドキして言葉を発するのが苦しかったあの日。
初めてのデートで、お互いに顔を真っ赤にしながら手を握ったあの日。
その全てが私にとって幸せな日々だった。
今までの思い出が走馬灯のように脳内を駆け巡っていく。
さようなら。お父さん、お母さん、優介。
そして、○○くん。私と一緒にいてくれて、私を好きになってくれて本当にありがとう──────
そこで、私の意識は完全に途絶えた。
※
仕事を終えて会社を出ると、外はすでに真っ暗になっていた。今夜のお月様は欠けていらっしゃるようで、この地上に降り注がれる月光は微々たるものだった。冷たい風が僕の顔に触れ、夜の向こうへと駆けていく。
「うぅ~。まだまだ寒いなぁ」
冬もそろそろ終わりを迎えようとしているというのに、夜になると急に冷え込む。なのでマフラーは未だに手放せない。
寒い。ここは一刻も早く家に帰らねばなるまい。小刻みに震える体に鞭を打つように、僕は帰路を辿り始めた。
ここで、一人の男の話をしよう。
男の名前は、日比谷多助という。普通の家庭に生まれて平凡な生活を送ってきた一般的な青年である。大きな事故にも遭わず、健やかに成長していった。ただし、彼には一つだけ欠点があった。
それは、お節介焼きだということだ。
五歳の頃。多助が木から降りられなくなった子猫を助けようと木登りをしたら、途中で手が滑って地面に落ちたことがある。彼があまりの痛さに悶絶している中、子猫はひょい、と軽やかにジャンプしたことは今でもショックが強くて忘れられないでいる。
十四歳の頃。多助は数人の男子に囲まれている女子を見かけて、助けようとその中に割って入ったことがある。実はその女子は数人から同時に告白されていた途中で、カツアゲではなかったらしい。それを知らされて呆気にとられた僕に対して、「ホント、余計なお節介だったわね」と彼女は鼻で笑った。
二十歳の頃。多助はある女性を尾行している男を見つけたので、その男をとっ捕まえたことがある。すると、その男は刑事で追っていた女性は結婚詐欺の容疑者だということが分かった。つまり彼の勘違いだったのだ。危うく業務妨害で罰せられるところだったが、容疑者の女性は後日捕まったそうなので見逃してもらえた。
これはほんの一例で、こういったトラブルが日常的に起こっているのだ。
なぜ僕がこんなにも彼のことに詳しいかというと、それは日比谷多助というのが僕のことだからだ。
“多助”という名前。考えてみれば、まさに名が体を表しているといえよう。より多くの人を助けられる人間に育ってほしいという親の願いの元に名付けられた。しかし、その願いは半端な形で叶ってしまったようだ。
歩いていても一向に体は温かくならない。冷風のせいで、むしろ冷えていく一方である。大卒で入社したばかりでクタクタに疲れているというのに、さらに追い討ちをかけられている気分になる。
“今日の晩御飯は何にしようかな。コンビニで温められる物を適当に見繕うか”
しばらく歩いて、前方に十字路が見えた。僕は馴染みのコンビニへ向かうために、十字路を右へ曲がる。
すると、一面が赤に染まった。
それが視界に入った瞬間、僕の体は悪寒に襲われた。
コンクリートの地面に広がる血飛沫。その根源となるのは、道の真ん中に倒れている男だった。いや、彼と呼んでいいのかは分からない。なぜなら、彼の頭は半分ほど潰れていて、内側の肉が露わになっていたからだ。辛うじて背格好から男と連想できたということだ。
だが、それ以上にもっと非現実的な者がそこにいた。死体の傍らにいたのは、Tシャツ、短パンという(ありえない)姿の女だった。しかし、本来なら手足が露出している所は鋼鉄で覆われていた。いや、鋼鉄そのもので出来ていた。
一見すると義手義足のようだが、それにしては無骨で重鈍に見える。人の温もりなど皆無であろう無機物。彼女の異常性を語るのには十分だった。
街灯に照らされた彼女は嫌に妖しく見える。血に塗れた体を気に留める様子は無く、恍惚とした表情で宙を見つめていた。
「ウワァァァァアァァァ!!!!」
どうして人間というのは、非現実に遭遇した時に叫んでしまうのか。そんなことをすれば、向こうに襲ってくれと言っているようなものじゃないか。そんな後悔も虚しく、女は僕の存在を認知したようだ。こちらを見ては下卑た笑みを向けてくる。
「あらぁ、今夜はもう一人殺せるようね。運が良いわ。今日は運が良いせいで、明日には警察に捕まったりしないか心配になっちゃう」
逃げなくては。ここから逃げなければ、僕は間違いなくあの女に殺される。
来た道を振り返って走り出す。だが、恐怖のせいか足がもつれて地面に倒れ込んでしまう。
その間に、女は僕のすぐ側まで迫ってきた。僕の肌を突き刺すのは間違いなく女の殺意だ。女が近づくや否や、僕に跨って体を拘束する。抵抗しようともがくが、脱出することは叶わない。鋼鉄の四肢があるせいか、かなり重い。本当にこれが女性の体なのか。視覚で捉えるモノと体が感じるモノとの違和感が恐怖と絡み合って、形容しがたい心が生まれていく。
「そんなに嫌がらないでよ。大丈夫。最初は痛いかもしれないけど、殴られる内に感覚が麻痺して、むしろ気持ち良くなれると思うわ」
女は可笑しそうに微笑む。先ほどと同様の不気味さを醸し出して。
そもそも、鋼鉄で殴られて快感を得る訳が無い。殺されることが分かっているのに、興奮して喜ぶなんてイかれてる。僕は至って健全な性癖しか持ち合わせていない。
逃げたい。今すぐに逃げたい。みっともない醜態を晒す羽目になっても構わないから、この女から脱兎の如く逃げ出したい。
でも、それが出来ない。まるで、お前はここで死ぬ運命なのだと誰かに決定づけられたかのように。
女は重鉄を振りかざす。それを叩きつけられたら、僕の人生はあっけなく終幕となるだろう。
「それじゃあね。短い時間だったけど、会えて嬉しかったわ。……さようなら」
女は告げた。素性など知るはずもない僕への別れの言葉を。
その時の彼女の顔がやけに印象的だった。笑った時には意地汚い表情が浮かぶのに、別れを告げた時はどことなく悲しそうで儚げに見えた──────
「──────綺麗だね、君って」
「──────ふぇ?」
目前に迫る鋼鉄の拳。それは空中で静止していた。
なぜ、僕はそんな言葉を呟いてしまったのか。自分でもよく分からなかった。だが、それが結果として僕の命を守ることとなった。
拳の向こうにある女の顔を覗き見る。そこには悲哀の情は消失し、代わりに頬を赤らめた羞恥の心が存在した。
「な、ななな、何を言い出すのよアンタ! まさかこの私を口説き落として生き延びようという魂胆なのかしら!? 殺人鬼を相手に口説こうとするなんて頭がおかしいんじゃないの!」
狂人に頭がおかしいと言われてしまった。地味にショックを受けた。
気がつけば、もう彼女を恐怖する心はどこかへ行ってしまったようだ。そこで僕は、さらに気づいた。
僕の上に跨っているこの殺人鬼。一方では人を殺して悦に浸る残忍極まりない狂者。もう一方では、恥ずかしさを露わにできるほど感情が豊かな女。
そう、彼女は人の道理を外れた鬼でありながら、人の血が通う一人の人間なのだということに。
周りは血の海。暗赤色が床を侵食していく。
無惨に荒らされた部屋を、電灯が静かに照らしている。壁や床に飛び散る血痕。それが起こった悲劇の結果を痛々しく物語っていた。
手足の感覚はとうに無く、肩口や足の付け根からボトボト、と血が溢れている。さっきから妙に気だるい。もう何もしたくない。
そうして床に転がったまま、私は自らの死を意識していた。
私を襲った男はどこへ行ったのだろう。
私にナイフを向けた男の、吐き気がするほど気持ちの悪い笑顔は忘れたくても忘れられない。あれはもはや人間の顔ではなかった。血肉に飢えた獣の顔だった。
私の家族も、全員アイツに殺されてしまったのだろうか。人を殺すことを娯楽としているかのような、あの男が視界に入った人間を見逃すとは思えない。
必死に逃げ惑う家族の恐怖に満ちた顔と、それらを追いかける男の不気味な笑顔が脳裏をよぎる。
家族の安否が心配だ。しかし今の私には、もう家族の生死を確認することは出来ない。
気づけば、私の呼吸は不自然なほど穏やかになっていた。苦痛はいつしか平常と認識され、冥界の扉へ少しずつ近づいていた。視界は段々と闇に飲み込まれていき、光は少しずつ失われていく。
つい昨日まで、私はどこにでもいる普通の女の子だった。
優しい両親と生意気な弟に囲まれて何不自由なく育っていった。
気が合う友達とは馬鹿話をしたり休日に遊びに出かけたりして楽しい日々を過ごしてきた。
そして、人並みに恋もした。
好きなあの人になかなか声をかけられず、ヤキモキしたあの日。
あの人に告白する時も、胸がドキドキして言葉を発するのが苦しかったあの日。
初めてのデートで、お互いに顔を真っ赤にしながら手を握ったあの日。
その全てが私にとって幸せな日々だった。
今までの思い出が走馬灯のように脳内を駆け巡っていく。
さようなら。お父さん、お母さん、優介。
そして、○○くん。私と一緒にいてくれて、私を好きになってくれて本当にありがとう──────
そこで、私の意識は完全に途絶えた。
※
仕事を終えて会社を出ると、外はすでに真っ暗になっていた。今夜のお月様は欠けていらっしゃるようで、この地上に降り注がれる月光は微々たるものだった。冷たい風が僕の顔に触れ、夜の向こうへと駆けていく。
「うぅ~。まだまだ寒いなぁ」
冬もそろそろ終わりを迎えようとしているというのに、夜になると急に冷え込む。なのでマフラーは未だに手放せない。
寒い。ここは一刻も早く家に帰らねばなるまい。小刻みに震える体に鞭を打つように、僕は帰路を辿り始めた。
ここで、一人の男の話をしよう。
男の名前は、日比谷多助という。普通の家庭に生まれて平凡な生活を送ってきた一般的な青年である。大きな事故にも遭わず、健やかに成長していった。ただし、彼には一つだけ欠点があった。
それは、お節介焼きだということだ。
五歳の頃。多助が木から降りられなくなった子猫を助けようと木登りをしたら、途中で手が滑って地面に落ちたことがある。彼があまりの痛さに悶絶している中、子猫はひょい、と軽やかにジャンプしたことは今でもショックが強くて忘れられないでいる。
十四歳の頃。多助は数人の男子に囲まれている女子を見かけて、助けようとその中に割って入ったことがある。実はその女子は数人から同時に告白されていた途中で、カツアゲではなかったらしい。それを知らされて呆気にとられた僕に対して、「ホント、余計なお節介だったわね」と彼女は鼻で笑った。
二十歳の頃。多助はある女性を尾行している男を見つけたので、その男をとっ捕まえたことがある。すると、その男は刑事で追っていた女性は結婚詐欺の容疑者だということが分かった。つまり彼の勘違いだったのだ。危うく業務妨害で罰せられるところだったが、容疑者の女性は後日捕まったそうなので見逃してもらえた。
これはほんの一例で、こういったトラブルが日常的に起こっているのだ。
なぜ僕がこんなにも彼のことに詳しいかというと、それは日比谷多助というのが僕のことだからだ。
“多助”という名前。考えてみれば、まさに名が体を表しているといえよう。より多くの人を助けられる人間に育ってほしいという親の願いの元に名付けられた。しかし、その願いは半端な形で叶ってしまったようだ。
歩いていても一向に体は温かくならない。冷風のせいで、むしろ冷えていく一方である。大卒で入社したばかりでクタクタに疲れているというのに、さらに追い討ちをかけられている気分になる。
“今日の晩御飯は何にしようかな。コンビニで温められる物を適当に見繕うか”
しばらく歩いて、前方に十字路が見えた。僕は馴染みのコンビニへ向かうために、十字路を右へ曲がる。
すると、一面が赤に染まった。
それが視界に入った瞬間、僕の体は悪寒に襲われた。
コンクリートの地面に広がる血飛沫。その根源となるのは、道の真ん中に倒れている男だった。いや、彼と呼んでいいのかは分からない。なぜなら、彼の頭は半分ほど潰れていて、内側の肉が露わになっていたからだ。辛うじて背格好から男と連想できたということだ。
だが、それ以上にもっと非現実的な者がそこにいた。死体の傍らにいたのは、Tシャツ、短パンという(ありえない)姿の女だった。しかし、本来なら手足が露出している所は鋼鉄で覆われていた。いや、鋼鉄そのもので出来ていた。
一見すると義手義足のようだが、それにしては無骨で重鈍に見える。人の温もりなど皆無であろう無機物。彼女の異常性を語るのには十分だった。
街灯に照らされた彼女は嫌に妖しく見える。血に塗れた体を気に留める様子は無く、恍惚とした表情で宙を見つめていた。
「ウワァァァァアァァァ!!!!」
どうして人間というのは、非現実に遭遇した時に叫んでしまうのか。そんなことをすれば、向こうに襲ってくれと言っているようなものじゃないか。そんな後悔も虚しく、女は僕の存在を認知したようだ。こちらを見ては下卑た笑みを向けてくる。
「あらぁ、今夜はもう一人殺せるようね。運が良いわ。今日は運が良いせいで、明日には警察に捕まったりしないか心配になっちゃう」
逃げなくては。ここから逃げなければ、僕は間違いなくあの女に殺される。
来た道を振り返って走り出す。だが、恐怖のせいか足がもつれて地面に倒れ込んでしまう。
その間に、女は僕のすぐ側まで迫ってきた。僕の肌を突き刺すのは間違いなく女の殺意だ。女が近づくや否や、僕に跨って体を拘束する。抵抗しようともがくが、脱出することは叶わない。鋼鉄の四肢があるせいか、かなり重い。本当にこれが女性の体なのか。視覚で捉えるモノと体が感じるモノとの違和感が恐怖と絡み合って、形容しがたい心が生まれていく。
「そんなに嫌がらないでよ。大丈夫。最初は痛いかもしれないけど、殴られる内に感覚が麻痺して、むしろ気持ち良くなれると思うわ」
女は可笑しそうに微笑む。先ほどと同様の不気味さを醸し出して。
そもそも、鋼鉄で殴られて快感を得る訳が無い。殺されることが分かっているのに、興奮して喜ぶなんてイかれてる。僕は至って健全な性癖しか持ち合わせていない。
逃げたい。今すぐに逃げたい。みっともない醜態を晒す羽目になっても構わないから、この女から脱兎の如く逃げ出したい。
でも、それが出来ない。まるで、お前はここで死ぬ運命なのだと誰かに決定づけられたかのように。
女は重鉄を振りかざす。それを叩きつけられたら、僕の人生はあっけなく終幕となるだろう。
「それじゃあね。短い時間だったけど、会えて嬉しかったわ。……さようなら」
女は告げた。素性など知るはずもない僕への別れの言葉を。
その時の彼女の顔がやけに印象的だった。笑った時には意地汚い表情が浮かぶのに、別れを告げた時はどことなく悲しそうで儚げに見えた──────
「──────綺麗だね、君って」
「──────ふぇ?」
目前に迫る鋼鉄の拳。それは空中で静止していた。
なぜ、僕はそんな言葉を呟いてしまったのか。自分でもよく分からなかった。だが、それが結果として僕の命を守ることとなった。
拳の向こうにある女の顔を覗き見る。そこには悲哀の情は消失し、代わりに頬を赤らめた羞恥の心が存在した。
「な、ななな、何を言い出すのよアンタ! まさかこの私を口説き落として生き延びようという魂胆なのかしら!? 殺人鬼を相手に口説こうとするなんて頭がおかしいんじゃないの!」
狂人に頭がおかしいと言われてしまった。地味にショックを受けた。
気がつけば、もう彼女を恐怖する心はどこかへ行ってしまったようだ。そこで僕は、さらに気づいた。
僕の上に跨っているこの殺人鬼。一方では人を殺して悦に浸る残忍極まりない狂者。もう一方では、恥ずかしさを露わにできるほど感情が豊かな女。
そう、彼女は人の道理を外れた鬼でありながら、人の血が通う一人の人間なのだということに。
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