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魔王募集

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「この度、我は魔王を引退することにした。理由?とにかく疲れたからだ」

 俺は今日魔王試験に来た。試験会場には10名ほどの魔王候補者がいる。果たしてこの倍率で受かるのか…

「あーそこのやる気なさそうな君でいいや。合格」

「え?俺?」

 俺は無事魔王試験に受かった。


 前魔王によるとこの邪悪なデザインをした玉座に座っていればいいらしい。
 だが来る日も来る日も挑んでくる勇者は手前のミニボスにやられてしまい、ラスボスであるこの俺の、魔王のところまではたどり着けない。

 前魔王が様子を見に来た。

「調子どうだ?しっかり魔王やってるか?」
「あの、もう魔王引退したいんですけど…」
「ん?なんで?」
「勇者が誰もここまでたどり着けないんですよ…暇で暇で頭がおかしくなりそうです」
「わかるぞその気持ち。だから我は今勇者として旅をしている」
「えっ?前魔王さん、次は勇者になったんですか?」
「勇者は最高だぞ。ちょっといいことしただけで村人には感謝されるし、自分の行きたいところへ寄り道しても誰にも怒られない。旅の途中で仲間もできる。働かなくても適当に雑魚モンスターを倒しているだけで金も貯まる。とにかく生きていて楽しいぞ」


「勇者最高じゃないですか。よし、新しい魔王を募集しよう」




ー完ー
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